今年の夏休みの帰省時に親に持ちかけたいプロジェクト…腰の重い老親が「生前整理」にがぜんやる気を出すワケ
親亡き後に子供が「遺品整理」するのはしんどすぎる
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亡くなる前に親自身が実家に詰まっている「思い出の品」を整理しないと、「遺品整理」は子供が引き受けることになる。だが、これがかなりの重労働。どうしたら老親は「生前整理」に前向きになってくれるだろうか。介護の現場に詳しいフリーランスライターの旦木瑞穂さんが取材した――。 ※本稿は、旦木瑞穂『しなくていい介護』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
「生前整理」のメリット
荷物の持ち主がすでに亡くなっている「遺品整理」は、単純に荷物の片付けや処分になりがちだ。なぜなら、持ち主が本当はどうしてほしかったのか、売却か寄付か、大切に受け継いでほしかったのか、もはや確認することができないからだ。そのため、残すものよりも処分するものの方が多くなってしまう場合が少なくない。
その結果、故人が大切にしていた物や本当は価値のある物でも、それを知らない遺族や遺品整理業者によって、ゴミとして無造作に扱われてしまう可能性がある。
一方、荷物の持ち主が生きているうちに行う「生前整理」なら、本人がどうしたいのかを聞くことができるのはもちろんだが、自分の手で整理をすることで、様々なメリットがある。
・不要な物を売却することでお金に換えられる ・不要な物を処分することでその物が占めていたスペースを空けられる ・その物の価値がわかる人や施設などに託すことができる ・遺したい物やその理由を子どもに伝えることができる(親から聞くことができる) ・大切な写真や手紙など思い出の品が見つかることで久しぶりの友人や知人に連絡をとりたくなる ・若い頃挑戦したかったことを思い出す=生きているうちにやっておきたいことに気付くことができる |
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このように、生きているうちに自らの手で荷物を整理すれば、たくさんのメリットがある。
「生前整理」を親子で行うことができれば、親の若かった頃の話や、普段なかなか聞けない現在の不安なこと、自分の死後にどうしてほしいかなどを聞き出す、かけがえのない時間にすることも可能だ。