一流を育てられるのは一流しかいない…双子の息子を「現役医学部合格」に導いた平凡な共働き夫婦の「集中投資」
習い事にも本気で向き合い、小学1年でグランドピアノを2台買い与えた
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医学部生で双子のピアニスト『兄ーズ』として活躍する山下順一朗さん、宗一郎さんの両親は、子育てをする中で「努力と一流に触れることの大切さ」を実感した。「ピアニストとしての成功」と「医学部現役合格」をどのようにして両立させたのか。2人の著書『夢を奏でる ピアニストと医師の二刀流を目指す双子の物語』(KADOKAWA)より、一部を紹介する――。
子供の習い事への親の熱量
息子たちがピアノを習うまで、私たち夫婦はただただ命が存続すれば良いという思いで日々の子育てに奮闘していました。「将来、こんな子に育ってほしい」「習いごとはこれをさせよう」、そんなことを考える余裕はなかったのです。
ところが、ピアノを習い始めたら、私の中に「先生から出された宿題をやって、次のレッスンに行かなくては」という使命感のようなものが湧き上がってきました。
振り返ると、私自身は宿題をちゃんとやる子どもで、忘れものをするのも嫌なタイプでした。生来の気質から息子たちのピアノに対してもしっかりやらなくてはならないと思うのは、当然のことでした。
保育園時代からコンクールに挑戦することにしたのは、うちの子たちは今どのぐらいのレベルなのだろう? という疑問が出てきたからです。
コンクール挑戦を告げると、夫は「仕事か? そこまでさせなくていいんじゃないの? 音楽は楽しむものなんだから」とドン引きしていました。ところが、コンクール後に出る個別評価を見て、「これはいいね!」と変心。コンクールを目指してピアノレッスンを受けるというのは、夫婦の一致するところとなりました。
「天才」でない子供が突き抜けた成績を残すために
ピアノに関しては、夫婦とも本当に厳しく接してきたと思います。
ピアノの練習は、息子たちの自主性に任せることはありませんでした。常に夫か私が寄り添う形で、練習は長時間に及びました。
小学生になってからは、外遊びの時間はコンクールが終わった次の日だけという大変極端なものでした。もう少し要領良く練習できれば良かったのでしょうが、息子たちはいわゆる普通の子です。天才肌ではないので、技術が身につくまでに時間がかかりました。そんな子が突き抜けた成績を残すには、みんなと同じような時間の使い方では通用しません。
「続けていれば、いつか必ず良いことがあるよ」と息子たちに繰り返し伝えて、私自身もそれを信じて、一緒に練習に向かいました。
息子たちも真剣にピアノに取り組みましたが、私たちも必死でした。