面接、プレゼンの順番は結果に影響するか…世界の研究が導き出した"意思決定者"のジャッジが甘めになる出番
大会、コンテストの研究で審査順が結果に関連すると判明
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就職面接やプレゼンの順番によって結果に差はでるのか。拓殖大学教授の佐藤一磨さんは「これまでも心理学や経済学の研究が審査順と結果の関係を指摘してきた。今年発表された『爆笑オンエアバトル』を題材にした研究は示唆に富む内容だ」という――。
登場順と評価の意外な関係
皆さんは、これまでの人生の中で、参加者を順番に評価し、最終的な勝者を決める大会やコンテストに参加したことはあるでしょうか。
英語のスピーチコンテスト、弁論大会、ピアノやバイオリンのコンテストなどが当てはまりますが、自分の番が来るのをドキドキしながら待ったのではないかと思います。
この順番ですが、多くの場合、名前の五十音順やくじ等で決めることが多く、その人の能力とは関係ないルールで決定されます。このため、順番と最終的な結果は関係ないと思われがちです。
しかし、この想定は間違っています。
実はこれまでの心理学や経済学の研究から、大会やコンテストの順番がその評価に関連することが指摘されているのです。
海外の研究では、エリザベート王妃国際音楽コンクール、ユーロビジョン・ソング・コンテスト、アイススケートの大会を題材に順番が評価に及ぼす影響が検証されています。面白い題材として、アメリカのアイドルオーディション番組の「アメリカン・アイドル」もあります(*1)。
これらの研究はいずれも順番と評価の関係を明らかにしているのですが、日本の例を用いた大変興味深い研究が今年発表されました。
その題材はなんと、NHKの「爆笑オンエアバトル」です。
1999年から2014年まで放送され、若手芸人にとって「勝てばテレビ出演!」という夢の舞台。その評価システムは驚くほどシンプルです。10組の芸人がランダムな順番でステージに立ち、100人の観客が「面白い!」と感じたら投票。得票率が高い上位5組のパフォーマンスがテレビで放送されます。
公平なシステムかと思いきや、どうやら「順番」が勝敗に影響を与えていたのです。
1番目の人はいい評価になりやすい
分析を行ったのは、龍谷大学の新居理有准教授と大阪公立大学の岡澤亮介准教授です(*2)。彼らは478回のコンテスト、4774組の芸人たちのデータを解析しました。
その結果、「最初に登場する芸人が圧倒的に有利」という衝撃的な事実を明らかにしたのです。なんと、1番目の芸人は他の順番の芸人より約9%も得票率が高く、トップ5入りする確率も約15%アップしていました。これは単なる偶然ではありません。
新居教授らは、最後に登場するほうが印象に残って有利であるという可能性も分析しています。しかし、このデータではあまり当てはまらず、最後の出演者はわずかに有利な程度でした。