算数の宿題に電卓を使ってもいい…「ケーキの切れない非行少年たち」著者が説く「やってはいけない」親の声かけ
失敗した後にダメ出しするのはやる気を削ぐだけ
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子どものやる気を育てるにはどうすればいいのか。児童精神科医の宮口幸治さんと、小学校教諭の田中繁富さんの共著『「頑張れない」子をどう導くか 社会につながる学びのための見通し、目的、使命感』(ちくま新書)より、一部を紹介する――。
「だから言ったじゃない」はなぜダメなのか
大人は子どもの失敗が怖いものです。「失敗を恐れずチャレンジしよう」と声かけしたりすることもありますが、これはいってみれば大勢に向けた建前の言葉かけであって、大人の本心は目の前の子や自分の子どもが失敗するのを見るのはとても辛いことだと感じます。
そんな中、大人の言うことを聞かず、無茶をするように見える子どもたちもいます。例えば、一輪車の練習をやっている子どもたちを見るとヒヤヒヤします。そして大人は心配してつい「転んだらどうするの!」「危ないからやめなさい!」と声をかけることがあるでしょう。
成功体験をもたせようと思うがあまり、子どもを失敗させたら駄目だと考え、事前に無茶をするなと伝えるのです。でも子どもはなかなか言うことを聞きません。そしてついに転倒して怪我をしてしまった場合、大人としては歯がゆくなったり苛立ちを感じたりして何か一言、言いたくなってしまいます。
「ほら、だから言った通りでしょう」
と言ったりすることもあるでしょう。でもこれは結果的に失敗した子どもに対して「あなたには無理なんだよ」とダメ出しをしているのと同じです。これが子どもの見通しを奪い、気持ちをさらに沈ませる原因になることがあります。