だから一流は接待に「お座敷」を選ぶ…芸妓遊びを愛した財界の大物が「支払い」でさりげなくやっていた粋なこと

だから一流は接待に「お座敷」を選ぶ…芸妓遊びを愛した財界の大物が「支払い」でさりげなくやっていた粋なこと

接待ではどのような店を選ぶといいのか。ノンフィクション作家・野地秩嘉さんの連載「一流の接待」。第3回は「接待のプロが『お座敷』を選ぶ理由」――。

接待の「絶対領域」をもつ

わたしは「絶対領域」という言葉が好きだ。本来は「何人にも侵されざる聖なる領域」という意味だが、なぜか今では、ボトムスとソックスの間から微妙に覗く素肌の太もも部分のことになっている。だが、意味はさらに転じている。絶対領域とは何人も付いてくることのできない得意技の領域としてわたし自身は使っていきたい。

接待こそ絶対領域として自分の得意技にするべき技だ。接待は食べたり飲んだりするだけのことではない。相手をもてなすために全力で考え行動することだ。自分のなかにある、そこはかとない「萌え」の気持ちを表現することでもある。

そんな接待のなかの最高峰、お座敷の宴席は今や伝える人が少なくなった。ここでは最後のお座敷達人とも言うべき、ある飲料メーカーの老賢人経営者の伝統芸を記しておく。老賢人の絶対領域芸については元幹部から聞いた。ここに書いたことが日本に伝わるお座敷宴席の作法である。

接待の王様のやること

接待のなかでもっとも難度が高いのがお座敷を使った宴席だろう。接待の極地、伝統芸の最たるもので、メジャーリーグで言えばワールドシリーズみたいなものだ。元幹部が伝えてくれた珠玉の技は、お座敷での宴席に参加した時に大いに役立つ。招かれる機会がない場合は一生懸命、働いて、お座敷の宴席を一度は経験することだ。

わたしが会ったことのある老賢人は東京、京都、大阪の宴席、そして、銀座と北新地の高級クラブの王様とも言える達人だった。ここでは元幹部2人の話から座敷での宴席を説明する。予約方法から見送り、手土産、心づけの渡し方までだ。

なお、お座敷の宴席といっても座敷には2種類ある。ひとつがお茶屋、待合の茶屋だ。お茶屋は調理をしない。料理は仕出し屋から取る。京都の祇園にある一力茶屋が代表だ。一方、料亭は調理施設があって料理を食べるのが主目的である。東京で座敷の宴席をやる場合、お茶屋はほぼない。料亭で宴席を開いて、芸妓を呼ぶという形になる。

今はそれぞれの地域で組合を作っていて、ホームページもあればインスタグラムもやっている。そこを見てから予約するのだけれど、行ったこともない人が「すみません、宴席を1週間後の午後6時から6名です。芸者さん、何人いればいいですか」と電話しても、警戒されるだけだ。

座敷での宴席をやろうと思ったら、経験者、それも慣れている人に紹介してもらわないといけない。

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2025.06.16

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