「退職金で住宅ローンを一括返済」は正解か…FPが「繰り上げ返済はしなくていい」と考えるこれだけの理由
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住宅ローン借り換えの基準となる金利とは
住宅ローンはどのように返済していくのがいいのか。ファイナンシャルプランナーの横田健一さんは「年金生活に入る前に全額返さねばならないという考え方は合理的ではない」という――。(第2回)
※本稿は、横田健一『増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
住宅ローンの返済の前に確認すべきこと
定年後も住宅ローンの返済が続き、完済できるのは70代半ば、という人も少なくありません。30代後半で35年返済のローンを組めば70代以降も返済が続くことになるので、そう珍しいことでもないのです。
今後の返済はどうするかを考える前に、まず行いたいのが、ご自身が利用している金利タイプの確認です。7~8割程度の方が利用しているのが、借入後も定期的に金利が見直される変動型です。
金利が上がれば利息が増えますが、多くの金融機関では金利は半年ごとに見直すものの、返済額は5年間変更しない「5年ルール」を採用しています。金利が上がっても、前の見直しから5年間は返済額を変えず、返済額に占める利息と元金の割合を変えていきます。
簡単にいうと、毎月10万円を返済し、3万円が利息、7万円が元金の返済に回っていたのに、金利が上がると利息が3.5万円に増えて、元金の返済に回る額が6.5万円に減るといったイメージです。同じ額を返しているのに、ローン残高の減りが鈍くなるのです。