定年後の住まいは「賃貸と持ち家」どっちがいいか…高齢になるほど「戸建ての持ち家」がしんどくなるワケ
老後の住まいを考える「住居費チェックシート」
Profile
老後生活を考える上で住まいをどうするかは悩ましいところ。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは「選択肢は4つあるが、いずれにもメリット・デメリットがある。まずは住居費チェックシートで考えてみるのがいい」という――。 ※本稿は、井戸美枝『ゼロ活 お金を使い切り、豊かに生きる!』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
老後の住まいにはどんな選択肢があるか
定年後の住まいをどうすべきか。これは、私がいろいろな方からよく受ける相談のひとつです。最も大きな出費である住居関連費用をイメージする際、特に想定してほしいのが「もし自分に介護が必要になった場合」です。
この大きな出費を見越して、自身の価値観と照らし合わせて計画的に資金を準備するのは、老後を快適に過ごすために大切なポイントとなります。定年後も今の住居に住むか、住み替えるか? 住まいの選択肢にはどんなものがあるのでしょうか? 4つご紹介していきましょう。
1つ目の選択肢は、「今の自宅をバリアフリー化して住み続ける」というもの。自宅で暮らし続けるなら、メンテナンスの費用も考える必要があります。介護保険の認定を受けているなら、介護保険を活用したリフォーム(20万円まで)がおすすめです。
手すりや段差解消など、一般的には数十万〜200万円程度で可能ですが、大規模なリフォームになると500万円以上かかるケースもあります。自治体の指定業者や自己負担割合も事前に確認しておきましょう。住宅ローンが残っている場合は、なるべく早い返済を意識しましょう。
有料老人ホームは安心だが費用が高額になる
2つ目は、「コンパクトな住宅へ住み替える」。子どもが独立したあと、広すぎる自宅は防犯面でも不安があるので、徒歩圏内に生活施設がある小さめのマンションなどもいいですね。住み替えの際には、現在の自宅の売却費用のみで購入できる物件を選ぶと安心です。住居費のコストも減るかどうか、年金で支払えるかなど検討しましょう。
3つ目は、「サービスつき高齢者向け住宅(サ高住)」を検討するというもの。高齢者が安心して生活できるようにコンシェルジュによる見守りや緊急対応が整った住宅です。月額の家賃は15万〜25万円程度が一般的です。支払い続けられるか検討します。
4つ目は、「有料老人ホーム」への入居です。有料老人ホームは、食事や医療ケア、介護サービスまで総合的に受けられる施設です。一時金は数百万〜数千万円、月額利用料が10万〜30万円程度と高額ですが、安心感があります。
趣味活動が充実している施設も多く、暮らしを楽しむ要素が豊富です。自宅を売却して有料老人ホームに入るので、事前の調査は欠かせません。ケアマネージャーの経験や人数、食事、退去の要件、経営が健全かどうか。終のすみかになるわけですから、慎重に。