高い給料がもらえる"就職予備校"になっている…コンサルが"東大生に最も人気の職業"になった本当の理由
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東大生の就職先としてコンサル業界の人気が高まっている。なぜ頭のいい学生たちはコンサルを希望するのか。『東大生はなぜコンサルを目指すのか』(集英社)を書いた批評家のレジーさんは「スキルが身に付き、成長できる就職先として“安パイ”になっている。だが、人気になったからこそ業界の特別性は失われつつある。成長とは何かを考える必要がある」という――。(第2回) ※本稿は、レジー『東大生はなぜコンサルを目指すのか』(集英社)の一部を再編集したものです。
東大生と京大生の人気上位は「コンサル」
野村総合研究所
ボストン コンサルティング グループ
アクセンチュア
KPMGコンサルティング
デロイト トーマツ コンサルティング
三菱商事
マッキンゼー・アンド・カンパニー
アビームコンサルティング
PwCコンサルティング
資生堂
この10個の企業名の並びが何を意味するものかおわかりだろうか。これは新卒採用向け求人サイトのワンキャリア(複数ある同種サイトの中でも現在主流になっているサイトの一つである)が公開している就活人気企業ランキング(2026年卒)の「東大・京大ランキングTOP30」のうち、上位10社を抜粋したものである。
総合商社の三菱商事とメーカーの資生堂をのぞいた実に8社が、コンサルティング業界に属する企業である。クライアントの経営課題や事業課題を解決すべくコンサルタントをチームで派遣し、その対価として決して安くはない報酬を企業から得るこれらの企業は、一般に「コンサルティングファーム」と呼ばれる。
新卒でコンサルになったCさん
Cさん(20代)は東京大学から新卒で大手ファームに入社。「スキルを磨いてお客さんにより貢献したい」という意識とともに戦略領域で様々な業界のプロジェクトに参画している一方で、今の状況を「モラトリアム」と評する。
――もともと“コンサルになりたい”という思いは強かったんですか?
「就職活動の際に戦略系のコンサルを希望してはいたのですが、その業界だけ受けようと初めから考えていたわけではなかったです。理系なのでメーカーの研究職も選択肢にありましたし、国家公務員にも関心がありました。ただ、最初に内定をもらったのが今のファームだったので……」
――そうか、採用タイミングが早い業界ですよね。
「結局1社しか受けなかったです」
――コンサルファームの入社試験には独特のスタイルがありますが、何か準備はしましたか?
「そこまでがちがちにやったわけではないですが、『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』は読みました。学生時代に頑張ったことを聞かれるような面接よりは自分に合っていたと感じます」