「マツダ地獄」から「マツダ天国」へ…この15年で安易な安売りから脱却できたマツダの潔い割り切り
2%のユーザーに確実に買ってもらえる尖った商品にする
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サービスや商品の根強いファンを獲得するにはどうしたらいいか。モータージャーナリストの鈴木ケンイチさんは「多くのユーザーを獲得しようとすると、どうしても無難なデザインや機能をもったありきたりの製品になり価格競争に陥る。そうではなく、少数のユーザーに確実に買ってもらえる尖った商品にするというのがスバルやマツダがやっている戦略だ」という――。 ※本稿は、鈴木ケンイチ『自動車ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
ブランドロイヤルティを重視するスバルとマツダ
ビジネス用語として「ブランドロイヤルティ」という言葉があります。ロイヤルティ(Loyalty)の意味は「忠誠心」。つまり、ブランドロイヤルティといえば、そのブランドに対する忠誠心を表します。
具体的には、「いろいろとあるブランドの中から、顧客がひとつのブランドに忠誠を誓って、同じブランドを買い続ける」ことを「ブランドロイヤルティがある」と表現します。顧客がブランドのファンになっていると言ってもいいでしょう。
そうした、ブランドロイヤルティを重視しているのが、スバルとマツダです。
近年のスバルは、アメリカでのビジネスが好調で、業績は安定していますが、数多くクルマが売れているわけではありません。2023年度の世界での販売は97.6万台です。
トヨタの10分の1以下しかありません。
ところが、スバルは昔から「スバリスト」と呼ばれる、強力なファンが存在しています。
それこそ昭和の時代から、綿々と続いているスバルのファンを指す言葉です。何台もスバル車に乗り継いでおり、そしてスバル車に乗っていることを誇りに感じているようです。