「エラくなるとエラい目に遭う」昇進しても給料しょぼい…管理職のなり手が不足して登場した"上司代行"の正体
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部下をどうマネジメントすればいいかわからない。そうした悩みを持つ人が増え、管理職になりたい人も減っている。そんな中、一部の上司の業務を外部の人材に依頼する「上司代行」という新しいビジネスが話題になっている。人事ジャーナリストの溝上憲文さんが現場を取材した――。
部下との関係に神経を擦り減らす管理職
部下をどう指導したらよいのかわからない――。部下の育成などマネジメントに頭を抱えている管理職が増加している。
「企業の管理職研修の際、元上司が今は部下になっているという管理職が3割程度いた。年上の部下のマネジメントやリモートワークによる物理的に離れた環境で部下の業務を把握し、部下を育てていかないといけないという困難に直面し、非常に悩んでいる管理職が多い」
こう語るのは管理職研修を手がけるALL DIFFERENT(本社:千代田区)の事業開発推進本部シニアマネジャー・根本博之CLM(最高育成責任者)だ。
同社のラーニングイノベーション総合研究所の「管理職意識調査」(2024年5月20日~7月17日調査)によると、課長クラス以上の管理職の悩みで最も多かったのは以下の通りだった。
「部下の育成」(55.2%)
「部下とのコミュニケーション」(30.4%)
「部下の評価・フィードバック」(27.4%)
部下に関する項目が上位を占めている。
では、部下育成のために管理職はどんな努力をしているのか。同調査の結果はこうだ。
「部下と業務時間に積極的にコミュニケーションをとる」(46.8%)
「部下からの意見に積極的に耳を傾ける」(44.3%)
「部下に期待や役割を伝える」(42.3%)
同シニアマネジャーは「部下に寄り添うことに意識的に努力している傾向がうかがえる。何か注意するにしても、ハラスメントと思われないように言葉を選ぶときの難しさを感じている。あるいは指摘しても本当に自分の思いが届いているかがわからず、確認するために良くも悪くも寄り添わざるをえない状況にある」と語る。
部下を育成・指導するために涙ぐましい努力をしている管理職の姿が浮かび上がる。