「自分の時間がなくなるのが耐えられない」子どもができても実家に入り浸る「子ども部屋夫」の身勝手さ
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離婚の原因に変化が起きている。離婚・男女問題に詳しい弁護士の堀井亜生さんは「最近は、親子が仲がいいのは当たり前になっており、結婚しても親離れができず、自分の部屋を実家に残して入り浸る『子ども部屋夫』が増えている。そのために新たな家庭を作ることができず、離婚に至る夫婦もいる」という――。 ※本原稿で挙げる事例は、実際にあった事例を守秘義務とプライバシーに配慮して修正したものです。
荷物が極端に少なく、週末不在になる夫
地方に住む会社員のA子さん(32歳)は、友人の紹介で知り合った7歳年上の東京在住の会社員の男性と遠距離恋愛で関係を深めて、1年後に結婚をしました。
夫は年上で頼り甲斐がありそうだったこと、年収も安定していて落ち着いた生活を送れそうなところに魅力を感じたことが結婚の決め手になりました。
また、夫の実家は都内にあるものの、「親とはあまり仲がよくない」と言っていたため、面倒な義実家との付き合いがなさそうな点も好印象でした。
結婚してA子さんは上京し、夫のマンションで一緒に暮らし始めましたが、どうも様子がおかしいことに気がつきました。夫の荷物が極端に少ないのです。
最初は、必要最小限の物だけで暮らす“ミニマリスト”かと思ったのですが、そうではなさそうです。たとえば夫の着る服はその季節のものだけが家にあり、季節ごとに入れ替わります。夫は趣味でゴルフをしていたり、漫画やフィギュアを集めてSNSにアップしたりしていますが、ゴルフ用品も漫画もフィギュアも、家の中には見当たりません。
もう一つ気になるのが、夫は週末になると「ちょっと出かけてくる」「仕事に行く」と言って長時間不在にすることでした。
週末は“疎遠”のはずの実家に
不倫をしているのか、別宅があるのかと怪しんだA子さんがある日後をつけていくと、夫は疎遠だと言っていたはずの実家に入っていきました。
不倫でないことにほっとしたものの、嘘をつかれていたことはショックでした。
帰宅した夫に、荷物のことや週末不在にしていることを詰め寄ると、「荷物はこちらの家をきれいに使いたいからあっちに置いている」「実家に通っているのは親の体調が悪いから」と言われ、それ以上反論ができなくなってしまいました。