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扶養の種類について気になるとき。税制上と社会保険上の扶養とは
扶養に入れる条件について解説
これから産休に入るママや、パートを始めようと考えているママのなかには、扶養にはどのような種類があるのかや入れる収入の上限額などが気になる方もいるのではないでしょうか。今回の記事は、扶養の種類を紹介する他に、税制上や社会保険上の扶養に関する内容についてお伝えします。
扶養の種類について気になるとき
出産後に家族が増えた場合やパートなどで働きたいと考えるとき、「扶養控除」という制度が気になるママもいるのではないでしょうか。扶養にはどのような種類があるのかや、入れる条件などが知りたい方もいるかもしれません。
そこで今回は、扶養の種類や内容などについて資料や体験談を交えてご紹介します。
扶養の種類
扶養には税制上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があるようです。国税庁と協会けんぽの資料を参考に、それぞれの制度についてご紹介します。
税制上の扶養
税制上の扶養控除とは、所得税や住民税の控除、配偶者控除や配偶者特別控除に関するものを指すようです。国税庁の資料によると、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられるとされています。
扶養される家族は「扶養親族」、親族を扶養している人は「納税者」と呼ばれ、生活の面倒をみる家族がいる納税者は扶養親族の分の出費があるため、税金を控除するというのがこの制度の目的だそうです。
社会保険上の扶養
協会けんぽのの資料によると、健康保険上の扶養は以下の用に説明されています。
“
健康保険では、被保険者が病気になったりけがをしたときや亡くなった場合、または、出産した場合に保険給付が行われますが、その被扶養者についての病気・けが・死亡・出産についても保険給付が行われます。
出典: 被扶養者とは?/全国健康保険協会
社会保険上の扶養では、扶養される家族は「被扶養者」、家族を扶養している人は「被保険者」または「扶養者」という呼び方をするそうです。被保険者の扶養に入ることで、被保険者と同じ医療給付が受けられる制度のようです。
税制上の扶養と社会保険上の扶養とは全く別の制度であるため、ママの働き方や収入については、どちらの扶養が前提なのかをはっきりさせてから考えるとわかりやすいかもしれません。
税制上の扶養親族の内容
税制上の扶養に入れる条件や扶養の収入の上限などが気になる方もいるかもしれません。税制上の扶養親族の内容について、資料とママたちの声をもとにご紹介します。
扶養親族の範囲
税法上の扶養は「扶養親族」と「配偶者」が対象のようですが、具体的に誰のことを指すのでしょう。国税庁の資料によると、以下の条件を全て満たすことで税法上の扶養親族となるようです。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)又は都府県知事から養育を委託された児童(里子)や市町村長から養護を委託された老人
- 納税者と生計を一にしている
- 年間の合計所得金額が38万円以下
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない又は白色申告者の事業専従者ではない
扶養親族の中でも控除を受けられる控除対象扶養親族とは、12月31日現在の年齢が16歳以上の人であると定められています。従来は子どもの年齢に関わらず扶養控除の対象となっていましたが、児童手当といった子育て支援策が始まったことから、16歳未満の子どもに関しての扶養控除は廃止されました。
扶養親族の収入要件
国税庁の資料によると、給与のみの場合はその年の1月1日から12月31日までの給与収入が103万円以下、年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であることが、扶養親族に該当する人の範囲とされています。扶養親族がママの場合は給与収入が103万円を超えると、配偶者控除の対象内ではありますが所得税や住民税が発生し、150万円から201万円までは配偶者特別控除の金額が少しずつ減額され、納税者の税負担が増えていくと考えるとよいかもしれません。
収入が201万円を超えると配偶者特別控除の対象外となり、扶養親族から外れることになるようです。
社会保険上の扶養家族の内容
社会保険上の扶養家族の内容について資料と体験談を交えてご紹介します。
扶養に入れる条件を決める期間
社会保険では「被扶養者が社会保険の扶養に入る日から、将来に向かって1年間の見込み収入額」が扶養に入れるかどうかの条件となるようです。例えば6月に扶養する場合は翌年の5月までという単位になります。
社会保険の扶養に入る条件額について考えたとき、給与収入なのか所得なのかが曖昧に感じたため、住民票のある自治体へ確認したというママの声もありました。
被扶養者の範囲
協会けんぽの資料によると、被扶養者の範囲は以下のようになっています。
“
1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人 ※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。 2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人 ※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。 ① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く) ② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子 ③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子
出典: 被扶養者とは?/全国健康保険協会
直系尊属とは、パパなどの被保険者から見て父母、祖父母までの家族のことをさすようです。配偶者や直系尊属、子、孫、兄弟姉妹までの近い家族は同居していなくても被扶養者の対象にはなるけれども、それ以外の親族や内縁関係にある家族の場合は同居していることが条件となると考えるとよいかもしれません。
被扶養者の収入要件
日本ねんきん機構の資料によると、被扶養者の条件として以下のように記載されています。
- 年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入が180万円未満)かつ同居の場合は、収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満であること
- 別居の場合は収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であること
扶養内で働きたいと考えたママからは、収入が130万円を超えるとパパの社会保険の扶養から外れることになるため、1年間の収入を調整しているという声も聞かれました。年間103万円以下で働いていた方が年間130万円を超える収入を得た場合には、税制上においては扶養親族のままでいられるようですが、社会保険料の支払いが新たに発生することになるようです。
扶養の種類には2種類ある
他者を養い続けるという扶養の制度には、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があるようです。扶養といってもそれぞれ収入の上限が異なる全く違う制度になるため、税法上では扶養から外れているけれども、社会保険上では扶養内という状況もあり得ると考えるとよいかもしれません。
世帯収入やワークライフバランスなどについても考えながら、ママと家族にあった働き方を考えていけるとよいですね。
※記事内で使用している参照内容は、2020年3月7日時点で作成した記事になります。