夫婦それぞれの部屋は必要?
東京ガス都市生活研究所の調査によると、「夫婦にも別々の部屋」が必要と考える人が増えています。
仕事でストレスを感じている人に、自宅でのストレス解消に「一人になれる場所の充実」がどれくらい重要か聞いたところ、「とても重要」または「重要」と回答した割合は、05年の69.2%から、20年には約15ポイント増の85.5%になりました。
ステイホームで家族が顔を合わせる機会が増えたことも、「一人になりたい」と考える人が増えた原因のひとつといえるでしょう。
「一人になりたい」という考えの増加にともない、「夫婦にも別々の部屋が必要である」と考える人の割合も、90年の59.1%から20年は73.9%と、約14ポイントも増加しています。
「自分ひとりの時間や場をつくっている」人も、05年の73.4%から20年は83.7%へ増加しており、ひとり時間を確保するための場所が求められていることが分かります。
05年以降、「狭くても便利な都心」に住みたいと考える人が緩やかに増加していましたが、20年は減少し、「都心から離れても広い方がよい」と考える人の割合とほぼ同じとなりました。
リモートワークの推進により、都心に通勤する必要がなくなったことも影響していると考えられます。
「戸建て住宅がよい」と考える人は67.7%と根強い人気ですが、「集合住宅がよい」と考える人も徐々に増加しており、08年の20.1%から20年には32.3%となりました。
集合住宅が好まれる背景としては、共有部分のメンテナンスなどの必要がないこと、立地によっては年数が経っていても売却しやすいことなども考えられます。
夫婦といえど異なる人間同士。常に同じ空間にいると、些細なことでストレスが溜まってしまうものです。
趣味に没頭する、あるいはひとりでゆっくりと過ごす時間を作るなどして、妻でも夫でもないひとりの人間としての自分と向き合うことが求められているのかもしれません。
<調査概要>
東京ガス都市生活研究所「生活定点観測調査」
首都圏に暮らす人々の生活・意識・行動の現状及び変化を経年的に把握するために定期的に行っている。1990年を始点に3年ごとに実施し、今回で11回目となる。
N数(有効サンプル数)
1990年2783、1993年2826、1996年3107、1999年3484、2002年2336、2005年2580、2008年3112、2011年3267、2014年4295、2017年3914、2020年3991
出典:東京ガス都市生活研究所「生活定点観測レポート2020」