こちらの記事も読まれています
子どものアレルギー対策。花粉症メガネやヨーグルトって効果ある?お医者さんが答えるQ&A
前回の記事では、子どものアレルギー検査や遠隔医療についてのご質問にお答えしました。今回は、花粉症対策や費用についての素朴な疑問について一緒に考えていきます。
著者:箕島みな
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中
看護師さんは、花粉症のお薬をどうしているの?
ママの質問
Q.
前回の記事に「だいたい30日分以上の薬を貰うなら、病院の薬の方が安くなる」と書いてありましたが、他のインターネットの記事では「病院に行くと検査の費用もかかるので、市販薬の方が安い」と書いてあるサイトもありました。病院で働く人たち、たとえば看護師さんは花粉症のお薬をどうやって購入しているのでしょうか?
お医者さんの回答
A.
この季節になると、病院では看護師さんから「先生〜、私のカルテ受付しておいたので、花粉症のお薬、出してくださーい」と言われます。病院に勤める看護師さん達は、花粉症などの症状が出た時に市販薬を買うことはまずありません。病院で処方してもらう方が「健康保険が使えて薬を3割の自己負担(つまり、70%オフ)で買える」ということを、看護師さん達は知っているからです。
もちろん、勤務先が病院なので通院の時間が不要だということ、医師と知り合いなので希望しない検査を断りやすい(ので検査費がかからない)ということもあります。病院に勤める看護師さん達は「お薬を手軽にもらう達人」なのかもしれません。
さて、「達人」ではない一般のママ達もこれを参考にすることができます。ひとつは「自分の受けたい治療」のイメージを持ち、伝えることです。「薬だけ欲しい。検査は希望しない」のか、「花粉症の種類を確かめたいので、お金がかかっても検査してみたいと思っている。新しい治療法についても質問してみたい」のかです。
それを考えてから病院に行くと、受診時にスムーズにお医者さんに要望を伝えることができそうですよね。
病院で最も安く薬を手に入れる方法は?
ママの質問
Q.
それでもこの時期はけっこう薬代がかさみます…。経済的なお薬のもらい方があればおしえてください。
お医者さんの回答
A.
以下に、病院で最も安く薬を手に入れる方法をまとめてみます。
(1)他の病気で通院中の方は、その受診のときに一緒に処方してもらう。そうすると、診察料や処方料がかかりません。内科や耳鼻科以外のどの診療科でも(例えば整形外科でも)、お願いすると花粉症の薬を出してくれることが多いと思います。医師に聞きにくい場合は、事前に看護師さんや受付の事務員さんに「○○先生って花粉症のお薬も一緒に出してくださるでしょうか?」と聞いてみると良いと思います。
(2)現在、病院にかかっていない方は「初診」という区分になり、「初診料」という料金が必要となります。初診だと、お互いにニーズが掴みにくいですが、もしも「お薬だけ安く欲しい」という場合には、「花粉症の症状があり、検査は不要で、薬だけ欲しい」ことをはっきり伝えましょう。
(3)ジェネリック医薬品(後発医薬品)を処方してもらうことができます。医師に「ジェネリック希望です」と言うと、さらに安い薬を処方してもらえます(詳細は、下記の「政府公報オンライン」のリンクを参考にしてください)。
(4)花粉症の薬には、飲み薬以外に目薬・点鼻薬もあります。これらも効果がありますが、点鼻薬を使うのは苦手など人によって好みがあるので、もし不要な場合ならはっきりと「目薬は欲しいけれど点鼻薬は要りません」などと伝えましょう。
花粉予防のメガネは効果がある?
子どもに関するママの質問
Q.
うちの子、目薬が苦手だからメガネをさせているのですが、花粉予防の効果はありますか?
お医者さんの回答
A.
普通の(近視・遠視など用の)メガネでは花粉を避ける効果はありませんが、ゴーグルタイプでは花粉をかなりブロックできるといわれています。目薬が苦手とのことですが、飲み薬でも目のかゆみを和らげる効果がありますので、飲み薬も併用しながら乗り切るというのはいかがでしょうか。
花粉症の時期の布団、干すべきか、干さないべきか
ママの質問
Q.
花粉症の時期、外に布団を干すと花粉がつくのが心配です。かといって、まったく干さないのも抵抗があります。どうしたらいいでしょうか。
お医者さんの回答
A.
花粉症の場合、布団を外に干してしまうと、布団に花粉が付着してしまうのでおすすめできません。これは、洗濯物も同様です。ただし、布団を干さないとダニが増殖してしまうので、布団乾燥機などを利用してダニ対策を行うのがいいかもしれませんね。
ヨーグルトって効果があるの?
子どもに関するママの質問
Q.
花粉症にヨーグルトが効くときいたことがあるのですが、やっぱり子どもにも食べさせた方がいいのでしょうか?
お医者さんの回答
A.
厚生労働省「花粉症の民間療法について」によると、
「使用頻度が増加しているヨーグルト、乳酸菌剤ですが、一般医療機関を受診しているアレルギー性鼻炎患者さんの調査では、効果ありと判断されている方は30%以下」となっています。
とのことでした。
ヨーグルトは特に有害なものではないので、「効果がある」と感じられる方は食べていただいていいと思いますが、もし「効果がないかな?」と思われている方は、無理に続ける必要はないと思います。個人的には、内服薬の方がコスパが高いと考えています。
私はズボラな母でしょうか…
子どもに関するママの質問
Q.
私、子どもの花粉症の症状に気付いているのですが、検査も対策も治療もしていないズボラ母なのです。こんな母ではダメですよね…。
お医者さんの回答
A.
ズボラ母って、「見極め」と「見守り」が上手なお母さんなんじゃないかな、と、個人的には思っています。
花粉症は命に関わる病気ではありませんが、目のかゆみや鼻水などの症状で、遊びや勉強に集中できなくなることもあります。そして、適切に花粉を避ける対策をしたり(マスク、ゴーグル、外出した後の服の処理、布団など……)薬を使うことによって、その症状を緩和することができます。
もし「わが子、つらそうだな」と思ったら、この記事に書いた花粉症対策や、薬局や病院のことを思い出してもらえればうれしいです。
おわりに
大人も子どももつらい花粉症。この時期をうまく乗りきれたらいいですね。できる限り中立的な回答を心がけましたが、状況のちがいや個人差がありますので、気になる場合にはお近くの医療機関にご相談してみてくださいね。
著者:箕島みな
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中