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【産婦人科医監修】新生児の母乳育児の悩みと乗り切り方。授乳の量や時間を解説
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
新生児期に多い授乳の悩みと、解決法について、医学博士で産婦人科医の田園調布オリーブレディースクリニック院長杉山太朗先生監修のもとご紹介します。また2007年に出された厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」をもとに新生児への母乳について解説します。
母乳育児の特徴
母乳育児の性質
ママにとって母乳育児は、体重の戻りが早くなったり、子宮が妊娠前の大きさに戻りやすくなるといわれています。さらに授乳することで、幸せホルモン(オキシトシン)がより多く分泌されるため、母子の関係が深まりやすいという特性もあるといわれています。
母乳育児が赤ちゃんにもたらす影響
赤ちゃんにとって、母乳の特徴として、必要な栄養が摂取できる、免疫力を高め、感染症にかかりにくくなるという点を産婦人科医、杉山太朗先生もあげています。
新生児期の母乳育児
まずは、新生児期の1回あたりに飲むおっぱいの量や時間の目安をみていきます。
新生児1回あたりの適量
母乳の飲み方や消化にかかる時間は赤ちゃんによって個人差があります。厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」の資料によると、「 赤ちゃんが欲しがるときは、いつまでもお母さんが母乳を飲ませてあげられるようにしましょう。 」と記載されています。
新生児期の赤ちゃんが1回の授乳で飲む母乳の目安は、生まれたばかりだと30~50ml、生後1週間は70~80ml、生後1カ月で80~120mlとなっています。
1回あたりの授乳時間
片方のおっぱいを5分ずつ交代で授乳します。トータルで20分前後を目安にするのがいいでしょう。30分以上飲ませると生まれたばかりの赤ちゃんは疲れてしまい、ママの乳首も傷つきやすくなるので注意してください。
新生児期によくある授乳の悩み
母乳が足りていないかも…
母乳はミルクと異なり、飲んでいる正確な量を測るのは難しいです。ただし、母乳が足りているかは赤ちゃんのサインでわかります。
・体重の増え方が芳しくない(厚生労働省の資料によると、出生児~2カ月で1.8㎏、2カ月~3カ月で1.05㎏、3~4カ月で0.8㎏の体重増加が平均値※)
・1日のおしっこやうんちの回数が少ない(個人差はあるものの、新生児の場合おしっこは3~10回、うんちは2~5回ぐらいが目安)
・飲んだ直後なのに泣く、グズグズすることが多い
上記のような様子が見られたら母乳が足りていない可能性があります。足りない場合は、母乳の量が増えるように、ママが水分をこまめに摂るようにしてください。また、夜間に母乳を飲ませると母乳が作られる量が増える傾向にあるので、夜間の授乳を増やすのも方法のひとつです。
それでも足りない場合は、粉ミルクを足します。足す量は小児科医や産科の助産師に相談してください。
また、母乳とミルク、混合で与える場合は飲ませる順番が大切です。最初に母乳を飲ませてから粉ミルクを飲ませると、母乳が出始めたときに母乳のみにしやすいといわれています。
母乳の出が心配なときは
「母乳の出が悪いかも」と感じても、赤ちゃんにママの母乳の量がたりていれば大丈夫です。充分に母乳が足りているかどうかを調べるには、授乳前、授乳後の赤ちゃんの体重を確認してください。
ご自宅の体重計では細かい体重を確認するのが難しい場合は、保健師さんの新生児訪問の際に体重を測定してもらう、産後の健診などで産院に行った際に授乳前と授乳後の体重を測ってみるといいでしょう。
測った結果、増えていなくて母乳の出が悪い場合は、産院の医師や助産師さんに相談しましょう。母乳の出がよくなるマッサージや、授乳時の赤ちゃんの抱き方についてアドバイスしてくれます。
赤ちゃんが母乳を嫌がる
乳首の形が吸いづらい可能性があるので、乳首に保湿剤をつけてマッサージをしてみるのもいいでしょう。ほかにも
・授乳姿勢をいつも同じではなく、授乳クッションのある、なしで授乳のしやすさや赤ちゃんの飲みやすさを比べてみる
・横、たて、フットボールのようにわきにかかえて授乳する
などの方法を試して、赤ちゃんが少しでも長く吸える姿勢を見つけるのもポイントです。
おっぱいを吸われると痛みがある
授乳時に乳頭専用の保護クリームをつけて刺激からガードすると、痛みが軽減されます。また、授乳時間を20分以内にするよう意識しましょう。搾乳してから赤ちゃんに飲んでもらうという方法も、傷を悪化させないための方法です。
母子ともにストレスのない授乳タイムを
母乳をあげることは、新生児にとっては必要な栄養が摂取でき、免疫力を高め、感染症にかかりにくくなるなど嬉しい影響があります。また、ママにとっても母乳育児を行うことで体重や体形の戻りが早くなる、子宮復古を促進し、身体が妊娠前と同じ状態に戻るのを後押ししてくれます。さらに、授乳を通してママと赤ちゃんの母子関係が生まれるともいわれています。
新生児の1回あたりの授乳時間や授乳量の目安、厚生労働省がまとめた「授乳・離乳の支援ガイド」に掲載されている「授乳について困ったこと」とその対策法を参考にし、ママにも赤ちゃんにも負担のない授乳スタイルを探してみてください。
監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
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杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
※記事内で使用している参照内容は、記事作成の2018年8月30日時点のものになります。