【産婦人科医監修】妊娠37週(妊娠10ヶ月)の妊婦さんの身体と赤ちゃんの様子

必要な出産準備とは

【産婦人科医監修】妊娠37週(妊娠10ヶ月)の妊婦さんの身体と赤ちゃんの様子

妊娠10ヶ月に入った妊娠37週目はいつ赤ちゃんが生まれてきてもおかしくない「正産期」に入り、妊婦健診も週1回になります。臨月である妊娠37週の妊婦さんの体調の変化や過ごし方、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。

妊娠週数37週目とはどんな時期?

妊娠37週目は週数でいうと、妊娠10ヶ月の2週目です。臨月の2週目ですね。

また妊娠37週から妊娠41週目は出産に最も適した時期である「正産期」ともよばれます。いつ赤ちゃんが産まれてもおかしくない時期に入りました。この時期に感じる腹痛は陣痛のサインかもしれません。


妊娠37週目の妊婦さん

妊娠10ヶ月、臨月である妊娠37週目の妊婦さんの状態や過ごし方について詳しく見ていきましょう。


体調

赤ちゃんが下がってくることで逆流性食道炎になりやすく、胃痛や吐き気を感じやすくなります。

正産期に入ると、黄体ホルモンの量は減少してきますが、卵胞ホルモンの量は増加するため、ホルモンバランスが乱れてイライラしたり、情緒不安定になりやすくなります。また、卵胞ホルモンの分泌量が増えることで、眠気やだるさを感じやすくなります。


お腹の大きさ

大きくなってきたお腹
Valeria Aksakova/Shutterstock.com

みぞおちまで上がっていた子宮底は、子宮口に向けて少しずつ下がってきます。おへそより下あたりが膨らんできて、お腹の大きさはスイカ程度まで膨らみます。


妊娠37週目の妊婦さんの様子

子宮が下がってくるため、心臓や肺への圧迫が軽減され、動悸、息切れの症状が和らぎます。胃腸の圧迫や腹痛も落ち着いてくるため、食欲が戻ってきて体重増加に注意が必要な時期です。

一方で、子宮が下の方に下がってきて膀胱の圧迫が強くなるため、頻尿や尿漏れの症状は激しくなったり、下半身への負担がかかり、血行不良でむくみやすくなります。また臨月はお腹のなかの赤ちゃんが骨盤内に入ってくるため、腹痛や恥骨、足の付け根に痛みが出やすい時期です。

こうした理由から歩いたり動いたり、といった動作がつらくなることも臨月の妊婦さんの体重増加に注意が必要な理由といえます。

出産に向けて産道が柔らかくなり、骨盤の関節がゆるんで広がります。腹痛は子宮収縮が起こっているからです。腹痛が不規則に起こることが増え、子宮口が開きやすい状態になっていますが、子宮口の開きには個人差があります。

ホルモンの影響でおりものの量が増え、おりもののニオイが気になったり、粘り気が強くなる、茶色や黄色いおりものが出るなど、おりものの状態にも変化が起こることがあります。

また、ホルモンの関係で今まで便秘だった人が下痢になることがあります。

妊娠37週目の赤ちゃん

赤ちゃんの身体

妊娠37週の赤ちゃんの身長は、48~50㎝程度です。赤ちゃんの体重は、2700g~3100gくらいになります。臨月に入ったころの赤ちゃんは、1週間で約200g程度の体重増加が一般的なようです。

心肺機能が完成し、体温調整も可能になります。

赤ちゃんの全身を覆っていた胎脂が少なくなり、皮下脂肪がついて身体全体がふっくらして、張りのあるピンク色の肌になります。3Dエコー検査で見ると、目や耳、唇の形もはっきりし、髪の毛の量まで見えるようですよ。


胎内での様子

赤ちゃんはお腹のなかで、頭を下にして背中を丸め、両手で膝を抱え込んだ状態でいるでしょう。骨盤内に赤ちゃんが入ると、赤ちゃんはあまり動けなくなるため、妊娠37週になると胎動が少なくなったと感じるママも多いようです。

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妊娠37週目のうちにやっておきたいこと

健診内容を理解しておく

正産期である妊娠37週は、いつ出産となってもおかしくない時期なため、子宮口の開きや子宮頸管の長さなど、出産の兆候がないかを詳しく確認するため健診が週1回になります。

しかし、子宮口はお産が始まる何週間も前に開き始める人もいれば、お産の直前まで開かない人もいて個人差があるものです。子宮口が開いていなくても、赤ちゃんの誕生が遅れるというわけではありません。焦らず、健診で確認するものなのだとおおらかに受け止めておくのがよいでしょう。


母乳マッサージ

臨月のこの時期に母乳マッサージをして乳頭や乳輪を柔らかくしておくと、産後の母乳育児がスムーズに進むかもしれません。ポイントは、強い力ではなく、優しくマッサージすることです。

母乳マッサージは、乳頭を刺激し子宮の収縮が促されるため、お腹の張りを感じている場合は無理に行わず、かかりつけ医に相談して行うようにしましょう。


赤ちゃんグッズを揃える

ベビーカー
Andrey Burstein/Shutterstock.com

臨月の正産期に入ったら、赤ちゃんがいつ生まれてきてもおかしくない時期です。

赤ちゃんが生まれたら1ヶ月は外出できず、ママも思うように動けないことも多いでしょう。妊娠37週ころになったら赤ちゃんの洋服やおむつなど、産後の赤ちゃんとの生活を考えて、必要なものを揃えておく必要があります。

産後でも間に合いますが、今のうちに助産師さんにおすすめの沐浴グッズを聞いておいたり、すぐに使うわけではないけれど、抱っこ紐やベビーカー、ママバッグといったお出かけグッズをチェックするとより赤ちゃんとの生活が楽しみになりますね。


出産の兆候の目安を知る

妊娠37週の正産期に入ったら出産の兆候は知っておきたいですね。おしるしや腹痛(陣痛)、破水などが主な兆候です。

とくに、この時期に粘り気のある少量の出血があったら、もうすぐ赤ちゃんに会えるという合図の「おしるし」かもしれません。おしるしが出たからといって、すぐに出産ときまったわけではありませんが、

一般的には「おしるし→陣痛→破水→出産」もしくは「おしるし→破水→陣痛→出産」の流れで出産になります。しかしなかには、おしるしがなかったり、おしるしに気づかずに陣痛や破水から出産する人もいるようです。

腹痛は陣痛かもしれません。陣痛は、初産だと10分間隔、出産を経験したことのある人は15分間隔で起きたときが病院に行く目安になります。

妊娠37週目の妊婦さんが注意すること

体重増加に注意

妊娠37週は、子宮が下がってきて、胃腸の圧迫が軽減されるため、食欲が戻ってくることが多いです。産後外食をするのもなかなか難しくなることから、この時期においしいものを食べたいと望むママも少なくありません。しかし、この時期は体重増加に要注意。食べ過ぎないよう気をつけましょう。

正産期であっても、急激な体重増加は、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。ほうれん草や海藻類など鉄分やカルシウムの多い食材を積極的に取り入れて、質や量を配慮した栄養バランスがとれた食事で体重を管理することが大事です。


急な破水に備える

妊娠37週目の正産期はいつ破水が起こるかわかりません。急に破水をしたり、産院に行くこともあり得るので、外出時は近場でも母子手帳と健康保険証を持参しましょう。

さらに破水は自分で止めることができないので、破水したとき用にバスタオルを持ち歩くことをおすすめします。破水するということは、赤ちゃんを保護していた卵膜が破れることなので、破水が起きたらすぐに病院に行きましょう。


無理せず仮眠をとる

妊娠37週になると、卵胞ホルモンの分泌量が増えて、熟睡しにくくなります。お腹が大きくなると横になるのも大変になるため熟睡できなかったり、膀胱が圧迫されてトイレが近くなり、夜中に起きる回数が増える人も多いようです。今まで以上に睡眠がとれなくなり、日中に眠くなることが増えるかもしれません。


軽い運動やストレッチで眠気を覚ますことはできますが、妊娠37週目のママの過ごし方として、眠いときには日中でも昼寝をするなど睡眠時間を確保することが大切です。

出産について正しい知識を身につけよう

出産の知識をつける
New Africa/Shutterstock.com

臨月である妊娠37週は、「正産期」に入り、子宮口が開いていつ赤ちゃんが生まれてもよい状態です。赤ちゃんの様子とママの状態を詳しく観察するために、健診は週1回になる時期です。出産に備えてお腹の位置が少し下がるため食欲が増し、急な体重増加に注意が必要な時期です。

ママは陣痛や破水などについての知識をつけて、陣痛や破水が起こったときに焦らず、正しい対応が出来るように心構えや準備をしておくことが大切です。

ホルモンバランスの影響で精神的に不安定になったり、激しい眠気が続いたりすることも増えるかもしれません。急な身体の変化や出産に対しての不安があるというのも当然でしょう。しかし赤ちゃんに会えるのはもうすぐ。赤ちゃんと一心同体で過ごす妊娠期間ももうすぐ終わりを迎えます。

赤ちゃんグッズを揃えたりしながら、残り少ない妊娠期間を楽しみましょう。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

2019.09.30

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