妊娠糖尿病の検査結果で引っかかったら無事に出産できるのか、お腹のなかの赤ちゃんは大丈夫かなど心配になりますよね。妊娠糖尿病と糖尿病の違いや検査方法と診断基準についてご紹介します。また、妊娠糖尿病の再検査になった場合に気をつけることを解説します。
妊娠糖尿病とは、すい臓から分泌されるインスリンが不足して血糖値が高くなって起こる糖代謝異常の病気です。
妊娠中に初めて発症した場合に妊娠糖尿病といい、妊娠前から糖尿病と診断されていた場合は妊娠糖尿病には含まれず糖尿病合併妊娠になります。
妊娠前は血糖値が正常であっても妊娠してから血糖値が急に上がり、妊娠糖尿病になる人もいます。
妊娠糖尿病になると、将来的に糖尿病になるリスクが高まったり、妊娠糖尿病から妊娠高血圧症候群や胎児発育不全などの合併症を引き起こす可能性があるため、正しい治療が必要です。
妊娠糖尿病の検査と診断は二段階に分けて行います。
妊娠初期と妊娠中期の健診で「随時血糖」と言われる普通に食事をした状態の血糖値を測定するスクリーニング検査をします。
妊娠初期は健診で妊娠糖尿病の検査が陰性であっても妊娠週数が進むと、血糖値を下げるホルモンが効きにくくなり、血糖値が上がりやすくなるため妊娠中期にも検査をします。
妊娠初期の妊娠糖尿病検査は全妊婦さんが対象になります。随時血糖を測り、血糖値が高く陽性と診断された場合、ブドウ糖負荷試験を行います。
妊娠中期の妊娠糖尿病検査は、妊娠初期の検査で陰性であった妊婦さんまたは、あきらかな妊娠糖尿病と診断されなかった妊婦さんを対象に行います。50gのブドウ糖負荷試験で、妊娠糖尿病の可能性があると診断された場合に75gのブドウ糖負荷試験を行います。
検査結果が以下の基準に1つでも当てはまった場合に妊娠糖尿病と診断されます。
普通の糖尿病は、インスリンを作るすい臓の細胞が何かしらの原因で壊されて十分に作用しなくなり、血糖値が高くなっている状態です。
高カロリーな食べ物をたくさん食べたり、運動不足、肥満などの生活習慣が原因で発症するといわれています。
妊娠糖尿病は、妊娠中初めて発症し、胎盤ホルモンの影響で血糖値が上がる糖代謝異常のことをいいます。妊娠糖尿病は出産が終わると症状が治まる場合がほとんどです。
通常の糖尿病と妊娠糖尿病は別の病気になります。
以下のような人は妊娠糖尿病になりやすいので注意が必要です。
専門家も以下のように言っています。
妊娠糖尿病の検査で引っかかると再検査までに以下のようなことに気をつける必要があります。
妊娠糖尿病で再検査になった場合、カロリーを摂りすぎているケースがほとんどです。1日のカロリー摂取量を見直して、高カロリーや脂肪分の多い食事は控えて栄養バランスのよい食事を意識しましょう。
再検査の前日はいつもより早めに夕食を済ませておくとよいかもしれません。
空腹の状態で食事をすると、血糖値が急激に上がって高血糖状態になります。
妊娠糖尿病との疑いがあると検査に引っかかった場合、血糖値を下げるために再検査までの食事を工夫する必要があります。
1回の食事量を減らして、1日の食事の回数を5~6回程度に増やすことで空腹状態を避けることができます。
まずは野菜から食べて、次に肉や魚などのタンパク質、汁物、最後に炭水化物を食べるなど食べる順番を意識することも重要です。
食後の軽い運動が血糖値の上昇を防ぎます。
ウォーキングまでしなくても、家の中でストレッチや体操をしたり、家事で身体を動かすことでもよいので食後にすぐ寝てしまったり、座ったままの生活にならないように気をつけましょう。
妊娠すると、妊娠糖尿病に気をつけるように医師から伝えられる人もいるでしょう。
妊娠糖尿病は、胎盤ホルモンが原因で起こる代謝異常です。妊娠前に糖尿病になったことがない人でも妊娠して発症する人もいます。
妊娠糖尿病の検査基準は、血糖値を測定するスクリーニング検査とブドウ糖負荷試験を妊娠初期と妊娠中期に分けて行い、診断します。
妊娠糖尿病の疑いがあると検査結果が引っかかったら、再検査までに高カロリーや脂肪分の多い食事を控え、なるべく和食中心の食事にしたり、1回の食事の量を減らして食事の回数を増やすなど食事のとり方を工夫することが大事です。
また、適度な運動で血糖値の上昇を防ぎましょう。
妊娠糖尿病についての正しい知識を身につけて対策をとることが大切です。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
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2019年05月09日
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