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【産婦人科医監修】妊娠中からはじめる赤ちゃんへの授乳準備。母乳の仕組みと性質とは

【産婦人科医監修】妊娠中からはじめる赤ちゃんへの授乳準備。母乳の仕組みと性質とは

母乳が出る仕組みや母乳の性質、母乳育児の注意点をご紹介します。初乳と成乳の違い、妊娠中からできる授乳の準備なども、医学博士の産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック杉山太朗先生の監修のもと解説します。

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

母乳が作られる仕組み

母乳を飲む赤ちゃん
iStock.com/szeyuen

母乳の元となっているのは、乳房内の毛細血管の血液です。

赤ちゃんを出産すると「プロラクチン」というホルモンが分泌され、血液が乳房内の乳腺という場所にたくさん流れ込み、血液から母乳がつくられます。さらに「プロラクチン」と同じタイミングで「オキシトシン」というホルモンも分泌され始めます。オキシトシンは乳腺で作られた母乳を、乳頭を通って外に出す働きを担っています。

「母乳は血液が元になっているのに、なぜ赤色ではないのだろう」と疑問に思う人もいるでしょう。その理由は、母乳を作るために血液が乳房内に入る際、赤色の成分である赤血球は取り込まれないためです。

出産すると母乳が出る理由

妊娠中は胎盤からエストロゲンとプロゲステロンというホルモンが多く分泌されています。これら2つは、母乳を作る準備を進めますが母乳が分泌されるのを抑える働きを持っています。

出産して胎盤を外に出した後は、急激にエストロゲンとプロゲステロンの量が急激に低下し、母乳分泌を抑えるものがなくなるため、母乳が出始めるようになります。

出典:「授乳・離乳の支援ガイド」/厚生労働省

初乳と成乳

初乳 新生児
mrvirgin/Shutterstock.com

母乳は、分泌される時期によって少しだけ役割が異なります。

まず分娩後~5日目頃までに分泌される母乳を「初乳」といいます。黄色っぽくねっとり感があるのが特徴です。免疫物質とミネラル、たんぱく質などが多く含まれており、主に子どもの免疫機能を補う役割があります。

その後、1週間ほどかけて少しずつ成分や色が変化し、分娩2週間後には「成乳」が分泌されます。初乳にくらべてサラサラで色も白に近く、子どもの発育成長が主な役割です。高エネルギーで脂肪や乳糖が多いのも特徴のひとつです。

母乳の性質とは

赤ちゃんの免疫を強化する

母乳にはたんぱく質や脂肪、乳糖、ミネラルなど赤ちゃんの免疫機能を補う性質があります。そのため赤ちゃんが風邪などの感染症にかかる率が下がるといわれています。

子宮の戻りをサポートしてくれる

乳房で作られた母乳を外に出す働きを担う「オキシトシン」というホルモンは、出産で大きくなった子宮を収縮させ、早く元のサイズに戻す作用もあります。赤ちゃんにおっぱいを吸われると、オキシトシンがよりたくさん分泌され、母乳を飲ませればそれだけ子宮の戻りは早くなり、産後の回復が早くなるようです。

母乳育児
iStock.com/szeyuen

妊娠中にできる母乳育児の準備

母乳育児をスタートさせるために妊娠中からできることをピックアップしました。

ブラジャーで締め付けない

妊娠中がワイヤー入りのブラジャーで締め付けるより、ワイヤーなしで付け心地のソフトなブラジャーでおっぱいを解放してあげた方が乳腺の発達につながるといわれています。

妊娠後期に入ったら乳頭や乳房マッサージ

血行を良くすると、出産後母乳の分泌が促されるといわれています。赤ちゃんが舌で乳首をしごいて飲むため、乳首の伸縮性が大切になってきます。

妊娠後期に入ったら乳房の付け根を横や下からやさしくマッサージするといいでしょう。また乳首を軽く引っ張って伸ばす、かるくもむようにマッサージしておくと、授乳中の乳首の亀裂や裂傷を防げます。乳首専用の保湿剤などをつけるとマッサージしやすいでしょう。

ただし、乳房のマッサージは妊婦さんによっては向かない場合があります。必ず担当の産婦人科医に相談してから始めてください。とくに乳首は、マッサージによってお腹が張ることがあります。お腹が張りやすい、マッサージをするとお腹が痛いなどがみられたら、乳首のマッサージは中止しましょう。

母乳育児の際に注意すること

母乳をあげることは良い面もたくさんありますが、いくつか注意点があるのも忘れてはなりません。

どんな点に注意したらいいか、まとめてみました。

赤ちゃんの栄養が偏りがちに

母乳には、消化管や頭蓋内出血の予防となるビタミンK、骨の成長を助けるビタミンD、そして鉄分の量が少ないため、母乳のみで育てられた赤ちゃんには、それらの栄養素を補う必要があります。

ビタミンK:入院中と産後の1カ月健診でビタミンKのシロップを投与します。

ビタミンD:授乳中のママが意識的にビタミンDが豊富な食事をとったり、離乳食が始まったら魚やキノコなどを積極的に赤ちゃんに与えたり、お散歩や外気浴などで太陽の光を効果的に赤ちゃんに合わせることで補うことができます。

鉄分は、お腹の中にいる間に赤ちゃん自身が体内に溜めた貯蔵鉄で補うのですが、それでも貧血傾向な赤ちゃんには、鉄剤などが処方されることになります。

ママの体調管理に注意

授乳中は、プロラクチン(母性ホルモン)、オキシトシン(幸せホルモン)が分泌され、赤ちゃんを育てる使命感や責任感で頑張りすぎるママが多いようです。しかし、授乳や育児は想像以上にママの体にとって負担をかけます。

また新生児は生活リズムが整っていないため、夜中に授乳することがしばしばあります。夜間の授乳がママの睡眠不足につながり、ストレスの原因となることも多いようです。自分の身体の声を大切にして、赤ちゃんが眠っている時は一緒に眠るなど、上手に身体をやすめるように心がけてください。

母乳の仕組みや役割を理解して、母乳育児の準備を

赤ちゃん ママ
iStock.com/Yagi-Studio

母乳とは、ママのおっぱいから出る乳汁のことで、初産婦だと産後2~3日目頃から、経産婦は産後1~2日目頃から分泌されます。母乳をあげることは、赤ちゃんの免疫力を高め、感染症にかかりにくくなるという特徴や、子宮が元のサイズに戻るのを後押ししてくれる面もあるようです。妊娠中からバストを締め付けない、医師に相談しながら乳頭マッサージを行う、など自分の身体の声をよく聞きながら、母乳育児を進めていけるとよいですね。

監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック院長)

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杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

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信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。

患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

田園調布オリーブレディースクリニック

2018年09月21日

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