【整形外科医監修】膝の痛みなど、子どもの成長痛。症状や起こりやすい年齢

5歳など幼少期でもなるものなの?

【整形外科医監修】膝の痛みなど、子どもの成長痛。症状や起こりやすい年齢

子どもの膝の痛み以外に異常がなく、特にぶつけたり、ひねったりしたわけでもない痛みは成長痛かもしれません。成長痛の原因や症状、起こりやすい年齢、部位について解説します。また、成長痛が起きたときの対処法や将来に影響が出るのかについても説明します。

成長痛とは

成長痛とは骨などに異常はありませんが、成長期の子どもが痛みを訴えるときに呼ばれている名前です。

成長痛の原因や症状、症状が出やすい部位などについて詳しく見てみましょう。


原因

スマホでゲームをする男の子
iStock.com/Yuji_Karaki

原因は不明ともいわれていますが、運動不足や運動過多なども一因です。

運動不足、ゲーム機器、スマホの普及などにより、以前に比べて毎日の運動習慣が無い子どもが増えています。運動不足により筋肉や腱の柔軟性が低下し、体重が増加し、体が硬くなった状態になってしまいます。

そのような状態で急に動くと、関節や筋肉、腱に大きな負担がかかってしまうのです。

運動過多やスポーツなどで激しく体を酷使して、もともともっている体の柔軟力を越えて負荷がかかると四肢の関節痛や腰痛、大腿・下腿の筋肉痛などきたすことがあります。


症状

さまざまな部分に痛みがでます。

我慢できる程度の鈍い痛みであったり、夜に眠れないほどの痛みであったりと、痛みの強さは人それぞれです。


成長痛の特徴

成長痛は、夕方から夜にかけて痛みが出やすく、痛みは不定期に起こることが多いです。

痛みの度合いには個人差があり、泣いて痛がる子どももいますが、さすったり、お風呂で温めていると痛みは和らぎ、翌日には痛みが治まっていることがほとんどです。

痛みは一時的で、数時間すると落ち着くことが多いのも成長痛の特徴です。

またレントゲン検査で異常が見られないことを確認することも重要です。


成長痛になりやすい年齢

3~13歳の子どもによく見られますが、そのなかでも4~6歳によく見られます。13歳以降でも急激に伸長が伸びる時期に成長痛が見られることはしばしばあります。


成長痛が見られやすい部位

膝から足にかけて痛みが出やすく、股関節や膝のまわり、太もも、ふくらはぎ、かかとなどに痛みを訴える子が多いです。

両側同時に痛む傾向が見られます。

対処法

成長痛の痛みには個人差がありますが、泣くほど痛いときの対処法をご紹介します。


患部をマッサージする

痛みが出ている場所を優しくマッサージします。ママやパパがマッサージすると子どもも安心できます。

幼児であれば、抱っこをしてあげてもよいでしょう。


湿布を貼る

痛みが出ている部位に湿布を貼ると痛みが和らぐ場合があります。

受診すると、鎮痛剤入りの湿布をもらえることがあるので、痛みが強く出ているときには整形外科を受診するとよいでしょう。


お風呂に入る

お風呂に入る女の子
iStock.com/RyanKing999

お風呂で温かいお湯につかると痛みが和らぐ子どももいます。大事なことは冷やさないことです。冷やすと血流が悪くなり、かえって痛みが長引いてしまいます。冬場は入浴後に靴下を履かせて冷え防止に努めましょう。


ストレッチをする

全身のストレッチを日々行うことが最も効果的です。お子さんと一緒に親御さんも行うことで家族みんなの健康増進にもつながります。

<アキレス腱ストレッチ>
1番のおすすめは、アキレス腱を伸ばすストレッチです。

反動をつけずに、片方ずつ大股で30秒間ずつ行います。そのあとは膝を地面近くまで曲げて30秒間キープします。この体操は足先から腰まで全体を伸ばすことができるので、成長痛予防にも有効で、成長痛になった状態でも、ゆっくり行うことで、早くに痛みをとることが見込めます。

1日に3回は行うようにしましょう。

<背伸び>
背伸びも大事なストレッチです。

立ち上がってゆっくり10秒間背伸びします。深呼吸しながら行うことで全身の筋肉に酸素を巡らせ、こわばりをほぐします。

大事なことは腰を反らせないこと。腰が痛いときにはかえって痛くなってしまいます。


安静にする

たくさん動いた日や、激しい運動をした日に成長痛は起こりやすいです。動いた日の夜は足をゆっくり休ませ、安静にすごすことが大切です。

鎮痛薬剤を飲むことは避けましょう

痛み止めの使用は極力避けたいところです。小さいころから痛みに対して痛み止めを飲む習慣がついてしまうと、薬に依存しがちになってしまうからです。

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成長痛が将来の身体に影響するのか?

きちんと検査で他の病気が否定されていれば、成長痛が将来の身体形成に影響がでることはまずありません。しかし、骨折、骨端症、骨壊死や骨腫瘍など成長痛に似た症状である外傷や病気を見逃してしまうと、将来歩けなくなることもありますので、おかしいと感じたら、整形外科受診をお勧めします。

こんな症状のときは早期受診を

  1. 痛みが2週間以上続く
  2. 関節や四肢が赤く腫れてきた
  3. 痛みが段々強くなる
  4. 日中にも痛みがある
  5. 歩き方がいつもと違う、違和感がある

気になる症状が見られるときには受診しましょう

足の診察をしてもらう子ども
kdshutterman/Shutterstock.com

成長痛自体が身体の成長に支障をきたすことはありませんが、上記のような症状がある場合は、成長痛ではなくほかの病気の可能性があるため、1度受診をすることが重要です。


監修:千葉直樹(上高田ちば整形外科・小児科)

Profile

千葉直樹(上高田ちば整形外科・小児科)

千葉直樹(上高田ちば整形外科・小児科)

上高田ちば整形外科・小児科 院長。日本整形外科学会 整形外科専門医。 整形外科・リハビリテーション科を担当。お子様が楽しく通えて、お母様も安心のクリニック作りを目指して地域に貢献する医療に取り組んでいる。

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