行楽シーズンが近づいてきました。楽しい旅行の計画のあるご家庭も多いでしょう。しかし、旅行先では思わぬ料理にアレルギーを起こす可能性のある食物が含まれていることがあります。そこで今回は、できるだけ安心して旅行できるようにアレルギーを意識した旅行の準備について考えてみました。
内科医として約10年間地方の病院・診療所に勤務した後、現在は総合診療医として非常勤勤務しながら、二人の子どもの育児中
旅行先ではソバ、マンゴー、ピーナッツなど、アレルギーを起こす可能性のある食物が料理に含まれていることがあり、これまでにアレルギーと診断されている人も、されたこともない人も、旅行先でアレルギーの重い症状が出る可能性があります。
その対策として、エピペン、カード、救急要請の方法、保険など事前に準備できることを確認しておきましょう。
旅行中の食物アレルギー対策で最も大切なことは、
「アレルギーを防ぎ、アナフィラキシーを防ぐこと」
「もしアナフィラキシーになった場合、すみやかに適切な治療を受けること」
です。
「アナフィラキシー」とは、アレルギーによる重い症状で、急激にのどの粘膜が腫れて呼吸ができなくなったり、血圧が下がったりという全身の症状が現れ、死に至ることもあります。特に、
・呼吸の様子がおかしい(苦しそう、強く咳き込む)
・繰り返し吐く
・唇や爪の色が青白い
・ぐったりして意識がもうろう
などの症状があれば、直ちに医療が必要です。救急車を呼びましょう。
どんな食物もアレルギーを起こす可能性がありますが、その中でもアレルギーを起こす頻度の高い食品があります。
卵、牛乳、小麦、ソバ、魚類(サバ)、甲殻類(エビ)など
はよく知られていますが、その他にも
南国で有名なくだもののマンゴーはウルシ科で、強いアレルギー症状を起こすことがあります。
また、外国の料理ではピーナッツの粉を料理に使用することがあるので、
ピーナッツアレルギーの方はピーナッツの形が見えなくてもピーナッツが使用されていないか注意が必要です。
最近では、アレルギーの原因物質は「必要最小限の除去」が原則とされていますが、旅行先ではアレルギーになったことのある物質は食べない方が無難だと考えます。
国内旅行では日本語で食品の原料を確認できたり、医療機関を検索したりできるので比較的安心ですね。宿泊するホテル・旅館などが決まっている場合、お食事にアレルギーがあれば予め連絡しておくと良いでしょう。
食物アレルギーで現在通院中の人は、まずは出発前に主治医に相談しましょう。特に、比較的程度が重い場合、あるいは医療機関にかかりにくい地域への旅行の場合は、
アナフィラキシーショックの症状を一時的に緩和できる「エピペン」という自己注射のお薬が処方され、携帯することができる場合があります。
自分で(あるいは保護者が)注射する薬、ということで少しハードルが高いですが、いざという時に命を救ってくれるお薬なので、必要かどうか医師とよく相談してみてください。
日本では、食べ物を見れば原料はなんとなく推測できますが、海外では思わぬ料理にアレルギーの原因物質が含まれている場合があります。アレルギー物質が分かっている場合、
旅行する国の言葉でカードなどに「○○アレルギーがあります」と書いて、レストランで見せられるように準備しましょう。
英語なら「I’m allergic to ○○. 」です。他の言語の場合、翻訳サイトなどで予め翻訳して、いつでも見せられるよう、カードなどの形で携帯すると良いでしょう。
救急車を呼ぶ方法(電話番号など)は、国によって異なります。インターネットで検索しておくか、一般的なガイドブックの巻末などにも非常時の情報が書かれていますので、確認しておきましょう。
災害時の避難経路と同じで、症状が起きていない時に確認しておくことが大切です!
ホテルやレストランの係員などに助けを求められそうでしたら、助けてもらいましょう。もしもアナフィラキシーの症状があれば、一刻も早い対応が必要です。
国によっては、治療費が高額になることがあります。旅行保険に加入するか、クレジットカードなどに保険が付帯していることを確認しておきましょう。
国や地域によっては、「食物アレルギーレストラン」などのリストがインターネット上でまとめられている場合がありますので、事前に検索してみるのもいいかもしれませんね。
かかりつけの医療機関からも遠く、食文化も異なる地域への旅行は心配もありますが、準備することで心配を減らし、もしも命に関わるアナフィラキシーの症状が出た場合にも適切な対応を取ることができるでしょう。
旅行中はできるだけアレルギーの原因物質を避け、もしもアナフィラキシーになってしまった場合には、速やかに医療機関を受診できるよう、準備しておくといいですね。十分に備えて、旅行を楽しんでくださいね。
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2017年04月20日
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