子育て×脳科学③イヤイヤ期や反抗期が起きるメカニズム【てぃ先生×瀧教授】

子育て×脳科学③イヤイヤ期や反抗期が起きるメカニズム【てぃ先生×瀧教授】

子育てや教育テーマをお届けする動画記事コンテンツKIDSNA TALK。第5弾は、現役保育士のてぃ先生と脳科学者である瀧 靖之教授、KIDSNA編集長・加藤による対談が実現!今回は「右脳と左脳」と「3歳児神話の真実」、また「イヤイヤ期と反抗期における脳の発達」についてお話いただきました。

KIDSNA TALK
220216

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加藤
今回は、「右脳と左脳」「視覚優位と聴覚優位」「イヤイヤ期と反抗期」「3歳児神話」などについて伺いたいと思います。
瀧 教授
脳科学的に見ると「右脳と左脳」という言い方は神話です。

言語に関して、右利きの9割くらいの人が左側で、言語を理解している。そして、右側で非言語的な感情などを理解しているということがわかっています。そういうことから「右脳と左脳」という分け方になったのだと思います。だから「右脳と左脳」という分け方はそもそもないんです。

もちろん、脳の右側で体の左を動かす、左の方で右を動かすというちょっとした機能は分かれてはいます。まず、その前提があるということは理解してください。そのうえで「子どもの教育」を考えると、生まれて育つ環境によって「得て、不得手」はあるかもしれませんし、私は、子どもの頃から絵を見てきているので、文字も写真を撮って見ているような「視覚優位」です。
加藤
「右脳と左脳」が神話であること、「視覚優位と聴覚優位」に関しても生まれつきの遺伝なのかな、と思っていたのでびっくりです。
瀧 教授
ほとんどが後天的なことだと思います。厳密な研究を私は存じ上げないですが、論理的に考えて、ほぼ後天的だと思います。
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てぃ先生
「右脳が…」とか、「左脳が…」とか言うのは、ぜんぶ言い訳ですね。笑
加藤
「視覚優位と聴覚優位」も親が促すことになると思うのですが、そこはどう判断するのがいいでしょうね。
瀧 教授
難しい問題だとは思いますが、まずは試してみることだとは思います。子どもにも「合う合わない」「得手、不得手」などあります。色々試してみて、子どもが一番やりやすいものをさせてあげる、ということに尽きると思います。それが一番の解決策のような気がします。
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加藤
子どもの「イヤイヤ期」「反抗期」はなぜ起こるのでしょうか。脳のメカニズムでどんなことが起きているのでしょうか。
瀧 教授
脳は感情の部分が先に発達します。一方で、社会的なルールを守るという部分は遅れて発達するので、個人差はありますが多かれ少なかれ、生物学的に反抗期はあるということです。

脳が発達し、自分と外の世界の区別がついてくると外の世界に興味を持つようになり、楽しいことを感じるようになる反面、嫌だと思うことも起こります。大人のように嫌なことを乗り越えるほど大脳皮質が発達していないので、苦痛に思う結果、「イヤイヤ期」が起こります。

だから、イヤイヤすることがあたりまえで、「この子の責任ではなくて、脳の発達で仕方がない。」と思えると少し気が楽になると思います。
てぃ先生
そうですね。理由は明確で、別に悪意を持って「嫌だ」って言ってるわけではなくて、脳の発達であれば「仕方がない」って思えますよね。
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加藤
「イヤイヤ期」は脳のメカニズムで当然、あるべきものですが、子どもの反抗期は「あった方がいい」のでしょうか?それとも「ない方がいい」のでしょうか?
瀧 教授
生物学的にはあるものですが、ない子も中にはいます。
てぃ先生
瀧先生はありました?
瀧 教授
私は今でも反抗期ではないかと思います。笑 普通に思いっきりありました。
てぃ先生
幼き頃からこんなこんな感じなのかな、と。
加藤
瀧先生が反抗しているイメージがまったくないんです。
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瀧 教授
兄がいるんですが、子どものころには毎日、喧嘩していました。これが面白いもので、人生における兄弟喧嘩は子どものころに全部終わったのかな、と思うくらい今はとても仲がいいです。

反抗期でしてはいけないのが抑えつけることなんです。もちろん、時と場合によって押さえつけることも必要なときがありますが、必要以上に押さえつけてしまうことはよくないと思います。子どもたちは、第一次反抗期であろうと、第二次反抗期であろうと自分の中ででコントロールできないモヤモヤしたものがあって、それを抑えつけてしまうのはよくないのではないかと個人的に思います。
加藤
てぃ先生は反抗期ありました?
てぃ先生
ないと思っていたんですが、「親に僕はなかったよね」と言ったら、「おもいっきりあったわ!」と言われました。自覚はなかったんです。笑
瀧 教授
自覚ってあんまりないものかもしれませんね。
てぃ先生
「一緒に出かけないよ」みたいなのが、反抗期だったのかもしれません。
加藤
面白いですね、自分ではないと思っていたことがあった、というのは。
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加藤
おふたりにお聞きしたいのですが、もし子どもが「イヤイヤ」することが起きたときにどうやって沈めていけばいいでしょうか。
瀧 教授
私が理論的で、てぃ先生が実践的なことになると思いますが、そもそも理論的には「コントロールできないのが普通」なんです。感情が優先され、ブレーキをかけることができないという乖離があるので、致しかたないと生理現象であると認識するしかないんです。なので、ほかのことに気を紛らわせるしかありません。どうしても自分の力でブレーキをかけることはできませんし、ほかの人が言っても聞かないものです。

実践的なことはぜひ、てぃ先生にお聞きしたいです。
てぃ先生
気持ちの切り替えが大事です。YouTubeで動画を見せる保護者の方もいますが、決して悪いことではありません。見え方によっては、きちんと向きあうことから逃げていると思われがちで、保護者の方も、「またこんな解決法をしちゃった」といった罪悪感を持つ方もいますが、そんなことはないです。
加藤
スマートフォンなどのデバイスにすべてを頼るのはよくないとは思いますが、物理的な状況や場所で使用することは当然あっていいということですね。
てぃ先生
はい、現実的にはそういう方法もいいと思います。

保育園では、とりあえず子どもが「嫌だ」って言ってることをとにかく掘り下げていく作業をしていきます。「嫌だ」って言っている子どもに対して「嫌じゃないでしょ」って言っても、解決にはなりません。理由はわからなくてもとにかく「嫌なんだね、嫌なことあったんだね。その気持ちすごくわかるよ」と共感して、嫌なことの理由を掘り下げていくと、子どもも落ち着いていきます。

その上で、子どもはまだ自分の気持ちをきちんと話すことができないので代弁し、子どもが「うん」「いいえ」で答えられるような投げかけをしてあげます。そうすると子ども自身が、「なんで自分が嫌だったのか」というところに立ち帰ることができ、落ち着くケースが多いです。
加藤
共感が大事ということはわかるのですが、外で「ギャーギャー」泣き叫ばれると、周りの目も気になるし、余裕もなくなります。
てぃ先生
外だと、もはや「イヤイヤ」子どもが言っていることに、イライラしているのではなくて、人前で叫んでいることにイライラしてしまうんですよね。だからスーパーの中などで「わぁ」となったときには、子どもの気持ちをゆっくり聞いてあげることは難しいし、周りの目も気になるので、そんな悠長なことはできないと思います。

そこは一旦抱きかかえて、人目につきにくいところに行って、大人自身が落ち着いてから対応しないと良い対応ができない気がします。
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加藤
大人が気持ちを落ち着かせることが大事ですね。
てぃ先生
大人は、「イヤイヤ期」や「反抗期」を早く終わらせたいと思うから、終わらせようと抑えつけるんですね、きっと。実は、それが逆効果なんですよね。
瀧 教授
そうです。また固執しないことが脳科学的にも大事だと思います。喧嘩でもよくあることですが、相手がヒートアップしているときは、こちらもぶつかりがちです。だからこそ心の余裕を持って、かわす方が大事です。
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加藤
いわゆる「3歳児神話」が浸透している一方で、根拠がないとする論文もあります。
てぃ先生
改めて「脳科学」の視点から、「3歳児神話」はどうですか。
瀧 教授
私も正直、「わからない」というのがひとつの答えです。

3歳頃は、感情が育つ上でコントロールする大脳皮質、特に前頭葉の発達が遅れてきますので、そのアンバランスな時期であると思うんですね。だから、感情的にコントロールできない時期でもあります。生物学的に言えば、ミスマッチな状態の変形脳と大脳皮質。本能的な動きとそこにブレーキをかける発達の状況が見られるのが3歳児かな、とは思います。
加藤
実際、子どもの早期教育は脳の発達にはどんな関係がありますか。
瀧 教授
大変難しい問題です。

私が申し上げることではないかもしれませんが、研究によると早期教育で行ったことは、年齢を経ていくことで薄まっていくことがわかっています。だからと言って、早期教育を否定するわけではありません。そして、やっていなかったからダメ、ということでもありません。
てぃ先生
早期教育にも様々な考えがあると思うんですが、例えば勉強であれば小学校1年生のとき、最初につまずくと「もう勉強やだ、面白くない。算数嫌い」となりがちだと思います。そういう意味でのハードルを下げておく、ということでは意味があるのではないかと思うんです。
瀧 教授
それはありますね。確かに「小学校4年生の壁」ではないですが、だんだん勉強が難しくなってくることを避けるために、ひとつの方法としてはあると思います。一方で、劣等感を持つリスクもあるかもしれません。そのバランスをとることが大事です。
てぃ先生
「教育法」という難しいことでなくても、「3歳くらいまでにこんなことをしておくといい」ということはありますか?
瀧 教授
好奇心を育てる活動です。子どもは2歳ぐらいから少しずつ「自分と外の世界が別である」ということを理解できるようになります。「自者と他者の分離」です。その時期になると、外の世界に興味を持つようになりますので、「好奇心を伸ばすこと」が重要です。

そして、私が好奇心を育てるために必要だと思うことは二つあります。ひとつは「本を読ませる」こと、もうひとつは「外でたくさん遊ぶこと」。この二つを伸ばしてあげることで、色々なことに興味を持っていくと思っています。

そして、補足することとして、子どもの「自己肯定感」を高めて、「利他的行為を褒める」ことも必要だと思っています。
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加藤
子どもの最適な教育法は、どのようにして見つけていくのがいいでしょうか。
瀧 教授
もちろん、様々な教育法があると思いますので、これでなければダメということはないと思います。だからこそ、「まずは試してみる」ということでいいと思います。そして、子どもも年齢とともに変わっていくので、常に柔軟に考えればいいのだと思います。

てぃ先生
確かに!「脳の可塑性で人間はどんどん変わっていく」とおっしゃっていましたものね。だから3歳のときはこの方法でやっていたけど、4〜5歳になったら違う方法に変えていく。同じ教材を使うのではなく、教材を変えていく必要があるということですね。

一方で、シナプスとかは4歳くらいまでで最大化されると聞きますが、実際はどうでしょう。
瀧 教授
脳は、可塑性があるのでそれもまったく問題はないです。脳の体積というのは普通の人であれば、20代後半でネットワークがマックスになり、そこから体積としてはゆっくり下がっていきます。

しかし、そこで運動をやるか記憶を鍛えるなどしていくとその部分がどんどん特化していきます。大人でも鍛えることで変わっていくことができるのですから、子どもであれば「3歳からじゃなきゃ」とか、「5歳じゃ遅い」とかそんなことはまったくないです。
加藤
やはり機会が大事ということですね。何かを始める機会に関しても脳に可塑性があるということををきちんと理解していればポジティブに取り組むことができそうですね。
次回のKIDSNATALKは2/23更新予定!お楽しみに!

2022年02月16日

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