【取材】多様な働き方を堂々と語れる「豊富な幸せの尺度」をもった社会とは

【取材】多様な働き方を堂々と語れる「豊富な幸せの尺度」をもった社会とは

2018.06.14

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地域コミュニティに緩やかなつながりをつくろうと「ANYTIMES」を起業した角田さんのインタビュー前編につづき、後編では起業のもうひとつのきっかけとなった「働き方」について、代表として働く角田さんの仕事への向き合い方と併せてご紹介します。

【取材】地域に緩やかなつながりを。超高齢化社会の実情から学んだ新しいコミュニティのかたち

<前回記事> 【取材】地域に緩やかなつながりを。超高齢化社会の実情から学んだ新しいコミュニティのかたち

転職で感じた社会の固定観念

大学卒業後に勤めた民間企業で超高齢化社会の実情を目の当たりにし、希薄化した地域コミュニティを解決したいと考えた角田さんですが、このほかにも日本が抱える課題を感じていたようです。

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iStock.com/AH86

「私は一度転職をしているのですが、そのときに働き方に対する固定観念や、社会の枠にとらわれた考え方に疑問を抱きました。

私が就職した当初はまだ『大手企業ブランド』『ひとつの会社に定年まで勤めあげる』といった考え方が根付いていて、私の転職を『道を誤った』とまで捉える方もいました。私としてはポジティブな転職だったので、社会の固定観念を実感した出来事でしたね」

多様な働き方を堂々と語れる社会に

1社に勤め続けることが正しいとされたり、転職回数がマイナス要因になりうる社会に疑問を抱く角田さんは、社会をどのように変えていきたいと考えたのでしょうか。


「転職での周りの反応をきっかけに『豊富な幸せの尺度をもった社会の実現』を考えるようになりました。個々人それぞれが『豊富な幸せの尺度』をもち、多様な生き方や働き方を選べ、それを堂々と語れる社会へと変えていきたい思いが、今の事業へとつながっています」


政府が「働き方改革」を進めることで、ゆっくりであっても着実に社会の流れは変わろうとしているようです。今まで注目されなかった問題点に多くの人が目を向けるようになったことで、働き方の多様性も広がり始めていると角田さんは考えています。


「今は働き方改革が進められ、固定観念も柔軟になりつつあります。副業を許可している大手企業も増え、『ANYTIMES』に副業として参加している方も増えてきました。ただ、会社が認めていても『私は副業をしています』と堂々とは言えない、言いたくないという声があるのも現実です。

今、世の中は変わろうとしているので、この部分も今後より進められていくと思います」

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10年後の日本社会、どう見ている?

シェアリングエコノミー協会の理事も務める角田さんは、10年後の日本の社会はどのように変わるとみているのでしょうか。

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「多様な働き方が広がり、兼業で働く方が増えるのではと考えています。そうなると、産休中や育休中もリモートワークなどで柔軟な働き方ができるようになりますよね。子育て中の女性も今よりさらに働きやすく、育児と仕事を両立しやすい社会になるのではないでしょうか」


起業したり業務委託やフリーランスでの働き方が主軸となると、企業の形態も変わり、個人に求められる能力も変わってくる、と角田さんは考えています。


「今の労働集約型の企業形態は少しずつ減少すると考えています。それにともない、多様な働き方を支えるプラットフォームも増えるのではないでしょうか。シェアリングエコノミー協会はそのひとつとして、スキルやスペースのマッチングなどさまざまなニーズを集め、今よりさらに個人事業主として働く人々を支える場となっていくと思います。

多様な働き方ができる社会を作る側に立ち、個人に必要とされるスキルなどもサポートしていきたいですね」

失敗は経験になる。踏み出すことが一番のリスク回避

スキルのシェアリングサービスとして新たな雇用を創出している「ANYTIMES」ですが、起業時に不安などを感じることはなかったのでしょうか。

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「私の場合はやりたいことが固まっていたので、起業時に踏み出さない選択肢はありませんでした。逆に将来やりたいことからかけ離れていると焦りを感じていたので、当時の勤務を続けたほうが自分にとってリスクだと考えていました。もしかしたら失敗するかもしれないけど、失敗は経験になりますよね」


行動してみないと結果はわかならい、と語る角田さんにとって、失敗は成長し目標に近づくチャンスであるようです。最後に、角田さん自身の働き方に対する考えついて伺いました。


「私にとって仕事は、プライベートの要素のひとつとして存在しています。仕事をネガティブなものと捉えると線引きをして切り替える必要がありますが、私にとって『ANYTIMES』の仕事は好きなことであり人生のビジョンでもあります。私が感じた問題を解決するための手段であり、日常の様々なちょっとした事が仕事につながってきます。

生活のなかで気づいたことを仕事に活かせると、プライベートにもよい刺激と影響を与えてくれます。楽しく働ける状態というのは『プライベートを構成する要素の一つに仕事がある』と考えられることだと思っています」

緩やかなつながりをもち、自分らしく働く生き方を

今回、角田さんのお話を伺ったことで、「超高齢化社会」や変化する社会の流れについて改めて考えると同時に、日本が抱える問題と変化する社会のなかで自分はどのように働き、どのような生き方を選択してくのかを考える機会になりました。

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iStock.com/Masao

日本の社会が変わるということは、子どもたちが将来活躍する社会が変わるということ。その将来が角田さんのいう「豊富な幸せの尺度をもった社会」であれば、子どもたちは今の私たちよりももっと充足感のある働き方ができ、人々との緩やかなつながりを楽しみながら毎日を過ごせるのかもしれません。

将来子どもたちが自分らしい生き方を選択できるように、私たち大人が見本となって、自分らしく働くこと、生きることを考えていけるとよいですね。


角田千佳 プロフィール

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、新卒で野村證券に入社。その後IT企業を経て、 2013年に株式会社エニタイムズを創業。 同年末に、スキルシェアリングサービス「ANYTIMES」をリリース。株式会社エニタイムズの代表取締役のほか、一般社団法人シェアリングエコノミー協会の理事も務める。

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