不妊治療の保険適用が来春開始。妊娠を希望する女性はどう考える?

不妊治療の保険適用が来春開始。妊娠を希望する女性はどう考える?

高額な費用がかかる不妊治療がついに来春、保険適用開始となる。不妊治療を検討している女性たちは、治療の開始時期をどう考えているのだろうか。今回は、医療法人浅田レディースクリニックが行った「不妊治療の保険適用に関する意識調査」の結果とあわせて、医師の見解について紹介する。

2022年4月、不妊治療の保険適用が開始することで注目度が高まっている。不妊治療を受けたいと考える人や、治療の開始時期の延期を検討する人も増えると予想されるが、実際に将来妊娠を希望している女性たちはどのように考えているのだろう。

不妊治療専門の医療法人浅田レディースクリニックが、全国の20代~40代女性300人を対象に実施した「不妊治療の保険適用に関する意識調査」の結果と、不妊治療の保険適用待ちに関する医師の見解もあわせて紹介する。

将来妊娠を希望していても不妊治療の知識を持つ人は少ない

浅田レディースクリニックの調査によると、「現在または近い将来、妊娠を希望していますか。」の質問に「希望する」と回答した人は20代~40代で30.3%。

そのうち、「不妊治療に対してあなたはどの程度知識がありますか。」という問いでは、「詳しく知っている」と回答した人はわずか18.0%で、妊娠を希望している人でも、不妊治療への知識に対する自信がないことが明らかに。

不妊治療に関する意識調査

また、「不妊治療の保険適用範囲が2022年春から拡大されることを知っていますか。」と聞くと、「はい」と回答したのは38.3%に対し、「いいえ」と回答したのは61.7%。

不妊治療の保険適用開始について、全世代共通で2人に1人が知らない状況にあることがわかった。

不妊治療に関する意識調査

保険適用されるまで治療延期を検討する人は全体で8割超

「近い将来、妊娠を希望している」人で、現在または過去に不妊治療を行った経験がない人は、全体の73.0%と大多数。

そのうち、「保険適用された場合に不妊治療を検討したい」と答えた人は56.1%と、半数以上が不妊治療を検討していることがわかり、不妊治療を行う人や検討する人が増えると予測できる。

不妊治療に関する意識調査

「現在または過去に不妊治療を行った経験がある」または「検討中である」と答えた人へ、「不妊治療の保険適用範囲が広がることを受けて、治療の開始時期の延期を検討しますか。」と質問したところ、全体の83.9%が「延期を検討する」と回答。特に30代は92.3%という結果となった。

不妊治療に関する意識調査

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不妊治療の経験者の中には治療開始時期を後悔する人も

「現在または過去に不妊治療を行った経験がある」と回答した人へ、「治療を始めた時期が適切だったと思いますか。」と聞くと、20代から治療を始めた人のうち、33.0%の人が「もっと早く始めれば良かった」と回答。20代で治療を開始した人でも、3人に1人が開始時期を後悔していることがわかる。

不妊治療に関する意識調査

比較して、「現在または過去に不妊治療を行った経験がない」と答えた人に対して、「不妊治療を検討もしくは開始する場合、何歳からの開始が適切だと思いますか。」と聞いたところ、「30代が適切だと思う」と回答した人は約55.0%。治療経験者と未経験者の間でギャップがあることが明らかになった。

不妊治療に関する意識調査

不妊治療の保険適用待ちはリスクになる可能性も

浅田レディースクリニックの浅田義正先生によると、20~30年前の不妊治療は、卵管が詰まっている、精子が少ないなど原因がある人を不妊症として治療していたが、現在は外来患者の平均年齢が40歳くらいとなり、多くの人が卵子の老化による「原因不明不妊」として治療しているという。

妊娠率は35歳くらいからどんどん低下していく。そのことから、40歳に近い女性が来年の保険適用のために半年待っていると、その間に妊娠率が低くなり、より治療が不利になるということを考える必要がある。

もともと不妊症でなければ、3カ月で6割、半年で7割、1年で8割妊娠すると言われている。そのため、何歳であっても「1年避妊していないにもかかわらず妊娠しない場合」を不妊症と定義とし、不妊治療はどの年齢においても開始すべきだと浅田先生は話す。

また、生理不順やひどい生理痛が、妊娠に不利となる子宮内膜症や早発閉経、早発卵巣不全などの疾患により起きている場合も。不妊症の主な原因は卵子の老化や年齢だが、妊娠に不利になる疾患も年齢と共に増えていくため、これから妊娠しようと思っている人、また思うように妊娠できないと感じている人は、たとえ症状がなくても産婦人科を受診したほうがよいとしている。

延期するデメリットも考慮し、後悔のない選択を

来春開始が決定されている、不妊治療の保険適用。かといって、安易に治療の開始時期を延期することで、治療が思うように進まなくなってしまう可能性も考えられるようだ。

保険適用を待つべきか、待たずに治療を開始すべきか。さまざまな要因を踏まえ、自身にとってベストな時期で開始できるよう検討することが大切かもしれない。

【調査概要】

インターネット調査

・調査方法:インターネットアンケート  

・調査実施機関:株式会社ネオマーケティング 

・調査実施期間:2021年9月9日(木)~2021年9月10日(金)

・対象地域:全国

・対象者:300名(20~40代 各年代 100名)

※医療法人浅田レディースクリニック調べ

<執筆>KIDSNA編集部

2021.11.12

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