妊娠が判明すると、カレンダーの出産予定日に〇をして赤ちゃんの誕生を心待ちにするママやパパもいるでしょう。しかし妊娠中の日数や月数の数え方は、一般的な暦とは異なるため、予定日の計算方法がわかりにくいものです。妊娠日数、週数、月数を知りたいというママ、パパに向けて数え方の紹介と妊娠の流れを紹介します。
妊娠は受精卵が着床し、胎芽から胎児、赤ちゃんへと成長する過程、または出産まで胎内で赤ちゃんを育てている状態をいいます。
妊娠期間の0日目とは、性交を行った日ではなく、妊娠直前の月経(生理)期間の初日をさします。
妊娠中も1週間は7日間で区切ります。妊娠0日目~6日目が妊娠0週、妊娠7日目~13日目が妊娠第1週という数え方になります。
欧米では、妊娠期間を週数で数えるのが普通ですが、妊娠期間は40週という考え方が一般的でこれも日数として計算しなおすと280日になります。
妊娠期間の1カ月は通常のカレンダー上の1カ月間ではなく、4週を1月として区切ります。すなわち妊娠月数で表す1カ月とは28日間です。
通常の暦では、9カ月前後の妊娠期間を10カ月というのは、28日間を1カ月として計算しているから、かつ、最終月経の月を妊娠1カ月として計算するためです。
妊娠をすると月経が来なくなることから、月経と妊娠は対極にあるものとして捉えがちですが、妊娠期間の開始日は最終月経(生理)の開始日と同日です。このことからも月経(生理)が、妊娠のための身体の営みであることがわかります。
月経(生理)とは、子宮内膜をリセットするための期間です。
子宮内膜とは、子宮の内側にある受精卵が着床する組織のことです。受精卵が子宮にたどり着いたときに、赤ちゃんを育てる環境や栄養となるため血液を蓄え、赤ちゃんを迎え入れる準備をしています。
しかし受精卵が子宮内膜にたどりつくことがないと血液や子宮内膜の入れ替えが起こります。一般的に約1カ月に1回、3日から1週間ほどの期間をかけて、子宮内膜がはがれ、卵子や血液と一緒に身体の外に排出されます。これを月経(生理)といいます。
月経(生理)の周期に合わせて女性の身体では排卵が起こり、この排卵が、妊娠のための大きな役割を担っています。
女性の身体には卵巣という器官があります。卵巣には、卵胞という卵子を蓄える器官があり、平均して約1カ月に1回の間隔で1つずつ卵子を出します。これが排卵です。卵胞から出た卵子は、卵管にとりこまれ、子宮に向かってゆっくりと進みながら精子が来るのを待ちます。
卵胞を飛び出した卵子は、排卵から24時間ほどしか生きられません。受精ができるタイミングはさらに短く、卵管にたどり着いた最初の6時間程度といわれています。その6時間の間に精子と出会い受精をすることで、卵子と精子は、胎児の始まり「受精卵」になることができます。
一般的に、生理(月経)開始日の約14日前に排卵を迎える女性が多いようです。
精子と卵子が受精卵になると、直後から細胞分裂をくり返し、成長しながら、卵管内から子宮へと場所を移動します。発育した受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠の成立です。受精から着床までは約1週間かかるといわれています。
妊娠が成立すると受精卵は赤ちゃんの原型である胎芽へと変貌します。また胎内では胎盤やへその緒といった、胎児の成長に必要な器官が形成され、機能し始めます。
妊娠が成立すると胎児だけでなく、ママの身体も目覚ましいスピードで、大きく変化していきます。ママの身体がどういった段階を経て、どのように変わっていくのか細かく見ていきましょう。
近年、妊娠1カ月前後の期間のことを妊娠超初期と呼ぶことがありますが、これは医療用語ではありません。週数にすると妊娠0週から妊娠3週ほどの期間をさします。
妊娠超初期、とは言っても妊娠0週は妊娠前の最終月経中です。受精卵が着床する前も含めた期間なので、妊娠に気づける人はいないでしょう。
妊娠の兆候などの影響や、妊娠5週目ごろから妊娠検査薬での判定が可能となることから、妊娠2、3カ月で妊娠に気づいたり、確定する人がほとんどです。しかし妊娠3カ月程度だと、ほとんどの妊婦さんが外見からは妊娠に気づかれない時期でしょう。
一方、40週にも及ぶ長い妊娠期間のなかで、妊娠初期が特につらかったというママが多いようです。体温の上昇に始まり、つわりや倦怠感を感じることが増え無理がきかない時期です。
妊娠初期の初めの時期は、ほとんどおなかのふくらみがなかった妊婦さんでも、個人差はあるものの妊娠3、4カ月頃になると、妊婦さんらしい丸みを帯びた体形になる人が増えます。
妊娠5カ月以降の妊娠中期は、週数にすると妊娠16週から28週ごろです。
一般的に安定期といわれていて、妊娠の初期症状やつわりなどが治まってくる過ごしやすい時期ともいえます。またおなかのふくらみが衣類の上からもわかるほどになり、妊婦さんらしい体形になるころです。個人差はありますが、胎動を感じられるようになる時期でしょう。
ママの体調が上向くこの時期は、急激な体重増加に注意が必要な時期でもあります。そんなに量は食べていないのにどんどん体重が増える、という経験をしたママも珍しくありません。
妊娠日数にして220日を超え、妊娠8カ月を迎えるとお腹が重くて歩いたり家事を済ませたりするのも大変になってきます。脚がむくんだり、転倒しやすい時期なのでくれぐれも無理は禁物です。また赤ちゃんが成長し、おなかの中で元気に動いたり、内臓が押されたりして「あとづわり」という吐き気を頻繁に感じるママも少なくありません。
妊婦健診は妊娠7カ月ごろから2週に1度のペースに戻ります。あとづわりのような症状やほかにも不調を感じるママは妊婦健診の際に医師に相談しましょう。
さらに正産期とも言われる妊娠10カ月以降はいつ赤ちゃんが産まれてもおかしくありません。ママや赤ちゃんの状態を確認するために週に1度妊婦健診を受けましょう。
予定帝王切開や無痛分娩のケースでは、妊婦さんと赤ちゃんの状態にもよりますが、37、38週ごろに手術、処置となることが多いでしょう。妊娠後期に入る前には入院や赤ちゃんを迎えるための準備を済ませておきましょう。
日本では昔から、妊娠期間のことを「十月十日」といいますよね。
妊娠280日目。妊娠40週0日目が妊娠月数で計算すると妊娠してから10カ月経過したことになります。
さらに出産予定日には計算上の誤差があったり、ママや赤ちゃんの個人差などがあるため、実際の出産日とは前後10日の差が出ることもある、という意味があるのだそうです。出産予定日当日に陣痛がなくとも、焦らずゆったりと過ごしてくださいね。
妊娠の日数や週数、月数は前回の最終月経(生理)の初日を0日、起点として計算します。妊娠の期間は 平均280日間、妊娠月数で計算すると10カ月とされています。妊娠中のカレンダーの数え方とは異なり、1カ月を4週、28日間で計算します。
出産予定日がわかったら、今自分がどの時期なのか確認しましょう。全妊娠期間を通して共通し重要なのは、赤ちゃんと自分のために無理をしない、ということかもしれません。
長いようで短い妊娠生活楽しんでくださいね。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
2018年06月22日
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