【産婦人科医監修】妊娠中は寝汗をかきやすい?寝汗の原因と対処法

【産婦人科医監修】妊娠中は寝汗をかきやすい?寝汗の原因と対処法

妊娠中の寝汗で気をつけること

2019.02.15

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠してから寝汗をかきやすくなったと感じるようになった妊婦さんは多いようです。なぜ妊娠すると寝汗の量が増えるのでしょうか。妊娠時の寝汗の原因と対処法についてご紹介します。

妊娠中の寝汗

妊娠してから寝汗をかくようになったという妊婦さんは少なくないようです。妊娠中の寝汗はいつから感じやすくなるのでしょうか。寝汗は妊娠初期、妊娠後期に起こりやすい症状といわれています。なかには、足や太ももなど下半身の寝汗が特にひどく、夜中に着替える妊婦さんもいるようです。

妊娠するとなぜ寝汗をかきやすくなるのでしょう。

寝汗の原因

妊娠中の寝汗は以下のようなことが考えられます。


基礎体温の上昇

体温計
iStock.com/Ridofranz

妊娠すると女性ホルモンであるプロゲステロンの分泌量が増えるため、ホルモンバランスが変化して体温が高くなります。基礎体温の高温期ともいわれます。

特に妊娠後期は、身体の脂肪が増えて新陳代謝もよくなるため、体温がより上がりやすくなっています。身体が上昇した体温を冷やそうと汗をかくので、妊娠中は特に寝汗をかきやすくなります。


ストレス

妊娠で身体の変化を感じたり、お腹のなかの赤ちゃんを気遣っていつも以上に慎重に行動することが増えるでしょう。妊娠中は不安な気持ちを感じたり、精神的にもストレスを感じやすい状態です。

ストレスから交感神経と副交感神経の切り替えが上手くできなくなり、自律神経が乱れて体温調節ができなくなることが寝汗につながる場合があります。


乳腺の発達

妊娠をすると身体が母乳の準備を始めます。乳腺が発達して血行がよくなるため、胸に熱を持ったり、胸が張ったりしていると感じる妊婦さんもいるでしょう。乳腺の発達で、寝ている間に胸や脇腹に汗をかきやすくなります。


着込みすぎている

妊婦さんは、身体をなるべく冷やさないようにといわれて、お腹のなかの赤ちゃんのことも考えてしっかりと寒さ対策をする人が多いでしょう。

そのため、いつもより厚着になりがちです。厚着をしたまま寝ると身体に熱がこもって寝汗の原因になります。

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対処法

ベッド
iStock.com/Gladiathor

妊娠中に寝汗がひどいと感じたら以下のような対策をすることが大切です。


こまめに汗を拭く

寝汗をかいてそのまま放っておくと、風邪を引いたり、体温が下がるので身体が冷えてお腹の張りや足のむくみの原因になります。妊娠初期の場合は、冷えからつわりが悪化する可能性もあります。

寝汗をかいたらタオルでこまめにふくことが大事です。寝る前に、枕元にタオルを準備しておくと寝汗で夜中に起きたときにもすぐに汗をふけます。


寝具を見直す

身体を冷やさないようにと毛布や布団を何枚も重ね掛けしていることも寝汗の原因になります。寝汗がひどいときには寝具の素材も見直してみましょう。

ベッドや枕の上にタオルを敷くのも1つの方法です。


就寝時の服装に配慮する

寝るときは汗を吸収しやすく、速乾性のある綿やコットンの素材を選ぶことがおすすめです。冬の場合は、タオル生地やガーゼ生地は汗の吸収性が高く適しています。

フリース生地はあたたかいですが汗を吸いにくく、身体に熱をこもらせてしまうので就寝時には避けた方がよいです。

肌へのはりつきや身体を締めつけないようにゆったり着られるサイズのパジャマがよいでしょう。


グッズを使用する

寝汗でベタベタして気になるときには、布団の上に除湿パッドや汗とりパッド、防水シーツなどのグッズを活用するのもよいでしょう。

夏場であれば、ジェルマットや氷枕を時間を決めて使用することもおすすめです。

汗をしっかり吸収して、快適に寝られるでしょう。


入浴後すぐに寝ない

新陳代謝が活発な妊婦さんは、入浴後は特に汗をかきやすい状態になっています。

お風呂に入ったあとは身体も温まり、熱がこもっているのでそのまますぐに寝てしまうと寝汗を大量にかきやすくなるので、お風呂から出たあとは少し時間をおいて、熱を冷ましてから布団に入るようにしましょう。


室内環境を整える

室内の温度や湿度を調整することで寝汗をかきにくくすることもできます。長時間エアコンをつけると身体の冷えや肌の乾燥につながるかもしれないので注意が必要ですが、エアコンや扇風機を上手に使って室内の温度を調節しましょう。除湿器を使うのもおすすめです。


水分補給を意識する

妊婦さんはお腹のなかの赤ちゃんのことも考えて普段よりも多くの水分が必要ですが、寝汗をたくさんかくと、体内の水分量が減ります。

こまめな水分補給を意識して、脱水状態にならないように気をつけましょう。

上手な寝汗対策で妊娠期間を過ごそう

お腹を見つめる妊婦
iStock.com/Ridofranz

妊娠すると、ホルモンバランスの変化や乳腺の発達などから身体にさまざまな変化が起こります。寝汗もその1つで、妊娠初期に寝汗をかきやすくなったと感じる妊婦さんは多いようです。寝汗は、病気ではないので心配しすぎることはありませんが、寝汗をかいたまま放っておくと風邪をひいたり、身体の冷えにつながります。

寝具や寝るときの服装の素材を見直したり、入浴後すぐには寝ない、汗をこまめに拭くなどしっかりと寝汗対策をすることが大切です。

寝汗がひどくて心配なときは、妊婦健診のときに医師に相談してみるとよいでしょう。

また寝汗が多いと、妊婦さんの体内の水分が自然と減るので脱水状態にならないようにこまめな水分補給を意識することが必要です。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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