トム・クルーズは「イーサン・ハント」そのものだった…なんでも自分でやる俳優が「監督」だけは他人に任せるワケ

トム・クルーズは「イーサン・ハント」そのものだった…なんでも自分でやる俳優が「監督」だけは他人に任せるワケ

俳優トム・クルーズが出演した最近の映画で、アクションがない作品はほとんどない。彼のスタント人生の起点はどこにあったのか。アカデミー賞ウォッチャーのメラニーさんの『トム・クルーズの真髄』(星海社新書)より紹介する――。(第1回)

俳優トム・クルーズの最大の特徴

“俳優”トム・クルーズの特徴として特に今日挙げられる一番大きなものは、彼が自身で行うスタントである。ここ10年の彼の作品で、アクションがない作品はほとんどなく、彼はそのアクションを全て自分でこなす事を売りにしている。

これは、観客を喜ばせたいという彼の一流のサービス精神によるものだと私は思っているが、サービス精神があったとしても、現実には出来ない、というのが普通の俳優である。

「知識と技術」を重んじる前にクルーズに備わっているもの、それはフィジカルの強さとスタミナだ。エネルギーは持って生まれたものという側面があるかもしれないが、身体の強さは一朝一夕で出来るものではない。

クルーズは若い頃から常にスポーツをしている少年で、運動神経も抜群だったらしい。小学生の頃に住んだカナダでは、同級生から認められるためにはナショナルスポーツであるアイスホッケーのスキルがマストだったが、引っ越した当初、クルーズはスケート靴を履いたこともなかった。

彼は与えられたフィギュアスケート用の靴で放課後毎日スケートの練習をし、数週間後にはアイスホッケーチームに入るようになった。身体を鍛えることの重要性を知った彼は、毎日走り、筋トレをするようになった。

サボる共演者を尻目に宙返り練習

彼はデビュー作『エンドレス・ラブ』ですでに、ムキムキの足丸出しの短パンルックでその筋肉を見せつけているが、その後の『タップス』『卒業白書』でも、作中には身体を鍛えるシーンが必ず出てくる。

『アウトサイダー』のリハーサルではオクラホマの体育館で器械体操を練習させられた、とロブ・ロウが語っているが、他のメンバーがさぼる中、クルーズはバク転や前方宙返りを練習し続けたという。そして、その成果は作品の中にも出てくる。

クルーズ演じるスティーヴは、チーム内でもひときわテンションの高い役柄だが、意味もなくバク転、前方宙返りをするシーンが完成作品の中にしっかり入っているのだ。クルーズは毎日のジョギングと筋トレのローテーションで、 『タップス』のデビッド役では体重を6キロ増量し、『卒業白書』では8キロ絞るというように自在に体型を変えた。

かつてロバート・デ・ニーロに代表されたそのプロフェッショナリズムは、20歳の俳優ではあまり見られなかった。毎日のジョギングは子供の頃からの習慣だった上に、『アウトサイダー』撮影時には、共演者が週末バーに繰り出すさなか、クルーズはひとり早起きして、その頃流行っていたノーチラスのジムに行っていたという。

スターになり、ミリオネアになってからは、これが自宅の常設ジムへと変わったに違いないが、これらの習慣で作られた強靱な身体でクルーズは、自身のスタントを全てこなす偉業を成し遂げるようになったのである。

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