生まれ変わったJRとは大違い…なぜ日本郵政グループで不祥事が続くのか「民営化のせいではない」本当の原因
一向に「民間企業らしい規律」が働かない組織
Profile
日本郵政での不祥事が絶えない
日本郵政での相次ぐ不祥事の原因は何なのだろうか。郵便局・郵送事業子会社の日本郵便が6月25日、配達員の点呼を適切に行っていなかったとして国土交通省から処分された。貨物運送事業の許可を取り消され、トラックやバンなど約2500台の車両が5年間、配達に使用できなくなったのだ。
点呼の不備で、なぜトラックの使用停止なのか。実は、点呼では飲酒の有無などを確認する呼気検査などを行うことになっているのだが、3188カ所の郵便局のうち75%に当たる2391カ所で、適切に行われていなかったことが調査で判明したのだという。そのうえ、虚偽の点呼記録の作成なども明らかになった。
どうやら、郵便局のトラック運転手の中には、前日に深酒したり、乗務前に飲酒することが常態化し、それを誤魔化すために虚偽の記録作成まで行っている人もいた、ということのようなのだ。処分の後も、5月に全国の13支社のうち10支社の郵便局で29件の酒気帯び運転などが確認されたと日本郵便が公表している。
トラックが使用できなくなったことについて、日本郵便では処分対象外だった郵便局の軽車両などを使って輸送したり、大手運送会社に事業の一部を委託することで、配達には支障なく対応できるとしている。一方で、国交省はそうした軽車両でも不適切な点呼が行われていたのではないかと見て、調査を進めている。
1000万人分もの名簿を不正にリスト化
日本郵便ではこの他にも不祥事が続いている。九州支社の期間雇用社員が配達すべき500個の荷物を、ゴミ置き場に廃棄していたとして7月1日付けで懲戒解雇されている。解雇された社員は「配達が面倒だった」と説明しているという。
昨年9月には、グループのかんぽ生命の保険商品を勧誘するために、ゆうちょ銀行の顧客のべ155万人分の情報を、顧客の同意なく不正にリスト化していたことが判明。その後の調査で、不正にリスト化した名簿は1000万人分にのぼっていたことが明らかになった。
さらに2025年3月には、「一時払い終身保険」について保険業法の販売許可を得る前に顧客に勧誘を行っていたとして金融庁から報告徴求命令を受けている。
配達を委託する業者から不当な「違約金」を取っていたことも明らかになった。配送ミスやクレームに対して、十分な説明をせず不当に高額な違約金を徴収していた郵便局があったことが問題視され、公正取引委員会から下請法違反で指導を受けていたのだ。