なぜ「タダ乗りする人」に猛烈な怒りがわくのか…半沢直樹の「倍返しだ!」ブームが今考えるとちょっと怖い理由

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「正しい怒り」は本当に存在するのか

「怒り」は存在しないほうがいいのか。東洋大学文学部哲学科の稲垣諭教授は「必ずしも否定すべきものではない。歴史をふりかえれば、ときにこうした感情が世の中をよくする原動力になってきた。むしろ問題なのは、度を超えた懲罰感情だ」というーー。 ※本稿は、稲垣諭『やさしいがつづかない』(サンマーク出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

このクイズに正解できますか?

次のクイズに答えてみてください。

これは心理学の実験で世界的にも有名な「4枚カード問題」といわれるものです。

図1にあるように、「A」、「K」、「4」、「5」という4枚のカードが並んでいます。

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【図1】出典=『やさしいがつづかない』(サンマーク出版)

それぞれのカードの片面にはアルファベットが、その裏面には数字が書いてあります。問題は何かというと、これら4枚のカードを見て、「母音のカードの裏はいつも偶数」という規則が正しいことを確認するには最低どのカードを何枚めくればいいか、というものです。

少し考えてみてください。あなたはどのカードを何枚めくる必要があると思いますか。

もちろん全部のカードをめくれば答えは明らかですから、全部めくるのではなく、不必要なカードはめくらないようにしてほしいというものです。どうですか。わかりましたか?

正解は……「A」と「4」の2枚

ではなく、「A」と「5」の2枚です。どうでしょうか、あっていましたか?

なぜ4をめくりたくなってしまうのか

私はこの問題をいろいろな大学の講義で実施していますが、本当に多くの大学生が「A」と「4」と答えることで間違ってしまう光景を見てきました。

このクイズは世界各国で行われていて、同じような結果になりますので、たとえあなたが間違ってしまっても落ち込む必要はありません。むしろ重要なのは、そのような思考になってしまう私たちの脳のメカニズムのほうです。

「A」は母音ですから、その裏に奇数が書かれていたら規則違反になります。ですからこれはめくってみないといけません。そこまではいいのです。

では、「4」はどうなのでしょうか。もしこの裏に「母音」が書かれていたとすれば、規則通りなので問題ありません。では、その裏に「子音」が書かれていた場合はどうでしょう。「子音のカードの裏に偶数」が書かれていても、特に問題はありませんよね。そもそも子音のカードは問題になっていないのですから、どちらでもいいということになります。

つまり、「4」のカードは、母音であろうと子音であろうと正しいことからめくる必要がないものです。それなのに私たちは「4」をめくりたくなってしまうようです。

そして、本稿の悪意にかかわる問題は、この先にあります。

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https://kidsna.com/magazine/article/entertainment-report-250630-12911437

2025.07.14

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