だから「広島の洋服店」が「世界のユニクロ」になれた…ユニクロが「定番の普段着」ばかりを売る合理的な理由
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決断や選択を迫られると、いつもと同じものを選んでしまうのはなぜなのか。『世界は行動経済学でできている』(アスコム)を書いた橋本之克さんは「人は“自分を傷つけないように”考えてしまう傾向がある。その心理を戦略的に使っているアパレル企業がある」という――。(第6回)
人間は「合理的な判断」ができない
学生時代に好きな人ができると、すぐに告白する友人がいました。失敗も恐れずに告白する姿に、こんな質問をしたことがあります。
「告白して、フラれたらショックが大きすぎるんじゃない? なんですぐに告白できるの?」
すると、友人はこう答えました。
「僕みたいにモテない人の場合、告白しなければ、好きな人と付き合える確率はほぼ0%。でも告白すれば、それが20%にも30%にもなる。合理的に考えれば、告白しない理由はないよね」
この回答を聞いて、なるほどと思いました。確かに、告白するほうが付き合える確率が上がるのであれば、合理的な判断と言えます。でも、人はそんなに簡単に好きな人に告白ができないですよね。世の中の人はどのくらい告白をするのかが気になり、アンケートデータを調べてみました。ある調査によると、好きな人に告白したことがある人の割合は約6割、残りの4割の人は告白をしたことがまったくないそうです。
一方、同じ調査で面白い結果も出ていました。告白経験者のうち半数以上が「これまでの告白成功率は5割以上」と回答しているのです。なんと、半数の人は約2回に1回は成功しているということです! 告白することの成功率はかなり高いにもかかわらず、約4割は一度もしたことがないのは、なぜでしょうか。ここに「合理的な判断ができない」という、人間の特性が出ています。