大谷翔平「憧れるのを、やめましょう」は脳科学的に正しい…「能力があるのにダメな人」と「結果を出す人」の違い
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仕事や勉強で結果を出せる人と、出せない人の違いはどこにあるのか。脳神経外科医で、日本大学名誉教授の林成之さんは「誰もが持っている潜在能力を最大限に発揮すればいい結果を出すことができる。大谷翔平選手の『憧れるのを、やめましょう』という言葉は脳科学的に効果的だ」という――。 ※本稿は、林成之『運を強くする潜在能力の鍛え方』(致知出版社)の一部を再編集したものです。
「苦しい」「辛い」「もう無理」は脳に悪影響
潜在能力を発揮するために必要な条件について改めて触れておきたいと思います。これは当然、育脳にも関わってくることです。
その第1番目に来るのは、本書(『運を強くする潜在能力の鍛え方』)で何度も言うように「否定語を使わない」ということです。否定語は、潜在能力にとっての大きな弱点です。
脳の情報処理の過程についてお話ししましたが、脳が情報を処理する第2段階でマイナスの感情を抱くと、第3段階の前頭葉の働きを鈍らせてしまいます。
皆さんも経験したことがあるかもしれません。スポーツの練習でも、試験勉強の途中でも、全力を投じているときに「苦しい」「辛い」「もう無理かも」といった後ろ向きの考えが浮かぶと、脳は新しい情報にすぐに反応してマイナスに機能してしまうのです。
たとえば、年齢を重ねると体の機能が変わってきます。若いときと同じように動かないことを感じると、つい「年を取った」という言葉が口をついてしまいます。
しかし、「年を取ったから」というのは、潜在能力にとって一番の禁句です。できる人は決して年齢を理由にしません。年のせいにするのは、「自分を守るため」に言っているのです。
“厳しい指導”は逆効果
潜在能力はいくつになっても尽きるものではありません。年を取ったからといって衰えるものではないのです。そう考えると、潜在能力というのはつくづく凄い言葉だと思います。日本中の人たちが潜在能力の本当の意味を理解すれば、日本は桁違いに進歩すると思います。
だから、潜在能力を発揮する第1の条件は「否定語を使わない」ことなのです。否定語を話すことはもちろん、頭にも浮かべない。大変難しいことですが、いたずらに練習や勉強にエネルギーと時間を費やすより、これを徹底するほうが効果的と言ってもいいと思います。
立派な人間に育てるために子どもを厳しく指導するという人がいますが、これも逆効果です。
厳しくされるほど、子どもは嫌になります。強制されたからやりたくないと考えるのが普通の反応なのです。だから、「そうだね」「なるほど」と言って肯定するところから始めなくてはいけないということなのです。「そうだね」は、子どもの潜在能力を引き出す魔法の言葉です。「こういう魔法の言葉が必要なんです」と、私は学校の先生にも言っています。子どもの意見を大切にして、「そうだね」「なるほど」と肯定してあげれば、全員が優等生になります。