高校教育で「資産形成」を。保護者が考える「お金教育」とは

高校教育で「資産形成」を。保護者が考える「お金教育」とは

2021.11.17

2022年度から始まる高校の新学習指導要領では、家庭科の授業で「資産形成」の視点に触れるよう規定。家庭科の先生が裁縫や調理実習に加え、株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴や資産形成について教えることになる。保護者はこの話題に何を感じ、家庭での「お金教育」はどのようにしているのか、調査した。

高校家庭科のカリキュラムに「資産形成」の内容が加わる

2022年度から実施となる高校の新学習指導要領では、家計管理などを教える家庭科のカリキュラムの中で「資産形成」の視点に触れるよう規定されている。

予測不可能な現代において、生涯を見通して資産形成を考えるには、単純な家計の収支管理だけでは不十分。病気や失業などリスクへの対応や、預貯金、株式、投資信託などの金融商品のメリット・デメリットを知ることも必要であり、それらを高校教育で教えていく方針。

しかし、これまで裁縫や調理実習を教えていた家庭科の先生がそのまま金融商品や資産形成についてを教えることになるため、教育現場では戸惑いも広がっている。金融庁は教育現場の準備をサポートする取り組みとして、学校の先生を対象にしたセミナーの開催をしている。

iStock.com/gyro
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出典:高等学校学習指導要領解説/文部科学省

出典:先生のための金融教育セミナー 金融広報中央委員会/金融庁

この話題を受け、保護者の率直な意見は

この話題を受け、未就学児~小学生の子を持つ保護者に率直な意見を聞いた。概ね好意的な意見が寄せられつつも、家庭科の先生が授業を受け持つことへの不安や、内容を網羅できるのかという疑問の声もあった。

30代/6歳児のママ
30代/6歳児のママ

わたしたちの世代だと、投資についての知識が全くない人がとても多く、始めたいと思ってもハードルが高いのが現状。学校教育で触れることで、知識のベースができるのであれば大変意義のあることだと感じる。

30代/11歳・9歳・4歳児のママ
30代/11歳・9歳・4歳児のママ

まずは「家庭科の授業なの?」と疑問に思いました。また、金融といっても幅広い内容があるのに、家庭科の授業の一部だけで対応できるのかなと、感じました。取り組み自体はとてもよいことだとは思っていますが……。

30代/6歳・4歳児のパパ
30代/6歳・4歳児のパパ

家庭科の先生をイメージすると、ちゃんと教えられるのかな、と少し不安に思います。

30代/9歳・5歳のママ
30代/9歳・5歳のママ

子どもが学校で習ってきたときに家で投資の話をされても、今の自分では会話できる自信がありません。自分もあらかじめ知識をつけて、子どもと対等に会話ができるように準備しておかないといけないと感じました。

30代/5歳児のパパ
30代/5歳児のパパ

とても大切だと思うが、これまで裁縫や調理を教えてきた家庭科の先生がきちんと教えられるのかが疑問。例えば金融業界の会社とタイアップをしたり講師に招いたり、専門の人と協力した取り組みなどが必要だと思う。

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保護者が期待することとは

Ann in the uk/Shutterstock.com
Ann in the uk/Shutterstock.com

高校教育で「資産形成」を扱うことについて、具体的にはどのようなことを期待しているかを聞くと、下記のような声があがった。

30代/5歳児のママ
30代/5歳児のママ

金融は保護者のリテラシーの差が、そのまま子どもに影響する分野だと思うので、教育機会が公平に与えられることはよいことだと思います。今後は高校からではなく、小学校・中学校の義務教育でも取り入れていってほしいと思います。

30代/6歳・3歳・2歳児のママ
30代/6歳・3歳・2歳児のママ

日本にはお金を稼ぐことがある意味「悪」だと捉えるような傾向や、投資をばくちのように考えている人が多いように思うので、学校教育で取り入れることによって、若者には正しい認識を持ってもらえたらいいなと思う。

30代/6歳・4歳児のパパ
30代/6歳・4歳児のパパ

子どもたちだけではなく我々世代も同様ですが、今後は国に頼るのではなく自身で財産をストックしていかなければいけない時代なので、学校教育で取り入れていくのはよい取り組みだと思う。

40代/12歳児のパパ
40代/12歳児のパパ

どこまで学校で習うのかは分からないが、テーマが限定的になってしまうとあまり期待できないと感じる。「金融全般」の教育をすることで、知識と教養、社会の構造への理解が深まると思う。

家庭での「お金教育」についてどのように考えているのか

学校での教育に大きな変化がある一方で、家庭ではお金教育をどのように捉え、実際に行っている教育方法はどのようなものかを聞いた。

30代/11歳・9歳・4歳児のママ
30代/11歳・9歳・4歳児のママ

人生ゲーム、モノポリー、桃鉄など、まずは遊びやゲームを通してお金に親しみを持ち、そこから興味を持ったことを深掘りしていくようにしている。

女性/11歳・7歳・5歳児のママ
女性/11歳・7歳・5歳児のママ

我が家ではおこづかいのすべてはお手伝い制で、自分の時間と労働力をお金に変えることができると小さいうちから教えています。いらなくなったおもちゃはフリマアプリなどで売ることもあります。

11歳の長男はカードゲームの売り買いで、モノの価値というのは定価だけでなく、市場の需要と供給で変動するということを理解しています。

30代/5歳児のパパ
30代/5歳児のパパ

まだ子どもは5歳なので『お金とは』という概念を教えている。もっと大きくなったら、具体的なことをいろいろと教えていきたい。

30代/6歳・4歳児のパパ
30代/6歳・4歳児のパパ

大学くらいまでは教育するつもりはない。自身でお金を稼いでこそ分かることが多いと思うので……。

30代/12歳・7歳のパパ
30代/12歳・7歳のパパ

投資教育は経済を知るうえで、非常に効果的な手段だと考えています。12歳の我が子には、子ども本人が興味のあるゲーム業界などを中心に、実際に株式運用をさせています。有価証券報告書を読む機会なども出てくるので、お金教育には効果的だと思っています。

近年はiDeCoやNISAの導入などで投資についての話題が増えたり、日本人のお金に対する意識にも少しずつ変化はありそうだが、実際にはまだまだ貯金が中心で多くの人は投資に積極的でない現状がある。

今後ますます予測不可能な時代を生きていく子どもたちには、資産形成を学生のうちから理解して、自ら資産を運用できるような人材になってほしいと願う。


【調査概要】

・対象:保護者に向けてアンケート調査を実施

・調査期間:2021年11月2日~2021年11月4日

・回答数:9人


<執筆>KIDSNA編集部

2021.11.17

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