【産婦人科医監修】赤ちゃんの黄疸と母乳。いつまで続くのか原因と対処法

【産婦人科医監修】赤ちゃんの黄疸と母乳。いつまで続くのか原因と対処法

黄疸の診断目安について

2019.04.03

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杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

赤ちゃんの黄疸が長引いているといつまで続くのか、病気なのではと心配になるママもいるでしょう。なぜ黄疸がでるのか、原因や母乳との関係性について解説します。また、黄疸が長引くときの対処法や受診目安も併せてご紹介します。

黄疸とは

黄疸は、皮膚と白目が黄色っぽくなる状態です。

新生児は黄疸がでやすく、「新生児生理的黄疸」と呼ばれ、生後2~3日頃に現れ、4~5日頃に最も強くなります。

「新生児生理的黄疸」は、通常1~2週間程度で消えます。

寝ている新生児の赤ちゃん
iStock.com/kuppa_rock

赤ちゃんに黄疸がでる原因

赤ちゃんはなぜ黄疸がでやすいのでしょうか。黄疸の原因は以下のようなことが考えられます。


ビリルビンの色素増加

赤ちゃんは、ママのお腹のなかにいるときは胎盤を通じて酸素や血液などの栄養を受け取っています。胎児の赤血球は、成人の赤血球に比べて数が多く、分解が活発に行われています。

生まれたあとは呼吸や消化吸収を自分の力で行うため環境が変わり、古い赤血球が壊れて、ビリルビン色素が増加し、皮膚や粘膜に沈着するため黄色になって黄疸がでます。


肝機能がまだ十分に発達していない

ビリルビンは肝臓で胆汁といっしょになって小腸や大腸を通って身体の外に出ます。

赤血球が壊れてビリルビンができるスピードが速いと、肝臓がビリルビンを処理して身体の外に排出するスピードに追いつかなくなり、体外に上手く排出されず黄疸がでます。


母乳

母乳に含まれる成分が赤ちゃんの肝臓の働きを抑えて、通常は1~2週間で消える黄疸が1カ月以上長引くことがあり、「母乳性黄疸」と呼ばれています。

「母乳性黄疸」は病的なものではなく、黄疸以外に特に問題ありません。以前は数日間、母乳をやめるように指示されることもあったようですが、母乳の出が悪くなることもあるため、母乳を中止する必要はなく、特別な治療は必要ありません。

黄疸が長引くときの対処法

赤ちゃんの黄疸が長引くときの対処法をご紹介します。


日光浴

陽のあたる部屋
iStock.com/wanchai_Khammuean

日光には、ビリルビンを壊す働きがあるため、黄疸の数値が高いときには適度な日光浴を試してみるとよいでしょう。

新生児は肌が繊細なので直接日光を浴びるのは控え、1日30分程度を目安に、室内でカーテン越しに日光浴をすることがポイントです。

日光浴のあとは、脱水状態にならないように母乳やミルクで水分補給をしましょう。


母乳を頻繁にあげる

ビリルビンは便と共に身体の外に排出されます。

こまめに母乳をあげて、便といっしょにビリルビンを排出させましょう。


光線療法

黄疸の原因のビリルビン数値が高いときや、基準の数値を超えそうなときに、光線療法を行う場合があります。光が当たると、ビリルビンが体外に排出されます。

光線療法は、赤ちゃんを裸にして蛍光灯のような専用の光を全身に当てて行いますが、目はアイマスクなどで保護するため、視力に支障はありません。

専門家も以下のように言っています。

光線療法でビリルビンを分解して、下げることができます。長期間高くなければ後遺症は残りません。

出典: AskDoctors

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診察目安と診断

黄疸に以下のような症状が見られるときには注意が必要です。


  • 生後24時間以内に黄疸が現われる
  • 生後2週間以上をすぎても黄疸の症状が消えない
  • 黄疸の症状が異常に強い
  • 足やお腹まで黄疸が広がっている
  • 元気がない、ミルクやおっぱいをあまり飲まないなど黄疸以外の症状を伴う

ビリルビンが過剰に作られていたり、肝臓でビリルビンが上手く処理できていない、胆汁の排泄が妨げられるなどが原因で、感染症や代謝の異常、肝臓の病気にかかっているなど病的黄疸になっているかもしれません。病的黄疸は、生後24時間以内に分かることが多いです。

赤ちゃんが白っぽいうんちをしている場合は、胆道閉鎖症になっている可能性があるので注意が必要です。

病的黄疸かは、血液検査をしてビリルビンの数値を調べて判断します。

赤ちゃんの黄疸の状態を把握して正しく対処しよう

ママを見る赤ちゃん
iStock.com/Yuji_Karaki

赤ちゃんの皮膚と目が黄色い黄疸の症状が長引いていると、いつまで続くのだろう、病気ではないかと心配になるでしょう。

黄疸がなぜでるのかは、ビリルビンの増加や母乳の成分が原因になっていることが多いです。

新生児は黄疸が出やすく、母乳を飲んでいる赤ちゃんは母乳の成分が原因で黄疸が長引いている場合があります。母乳性黄疸は、黄疸以外に異常はないので心配はいりません。

しかし、生後24時間以内に黄疸が現れたり、2週間以上黄疸が消えないとき、黄疸が強く出ているときはほかの病気にかかっている可能性が考えられます。

検査でビリルビンの数値が高いときには適切な治療が必要になるので、赤ちゃんの黄疸の様子をしっかり見て状態を把握することが大切です。

赤ちゃんの黄疸が長引いて気になるときは、黄疸の原因のビリルビンの排出を助ける働きをする日光浴やこまめに母乳をあげるなどのホームケアを取り入れてみましょう。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

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杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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