【小児科医監修】母乳と子どものアトピー性皮膚炎の関係性

【小児科医監修】母乳と子どものアトピー性皮膚炎の関係性

食べ物と母乳の影響や食事の注意点

2018.11.16

Profile

眞々田容子

眞々田容子

クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎だったり、アトピー性皮膚炎が疑われる場合、「授乳中にアトピーを悪化させる原因となりうる食べ物をママが食べると、赤ちゃんにも影響がでるのでは」と心配する人もいるでしょう。ママが食べた物が母乳を通して子どもへどのくらい影響するか、母乳育児をするときのママの食事の注意点をご紹介します。

アトピーと母乳の関係性

アトピー性皮膚炎は、増悪と緩解を繰り返す痒みのある発疹が続くと診断されます。

赤ちゃんがアトピー性皮膚炎やアトピー皮膚炎が疑われている場合、ママ自身が子どもの頃にアトピー性皮膚炎だった場合、「ママがアトピー性皮膚炎を引き起こしやすい食べ物を食べると、母乳を通して赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状が悪化する可能性がある」と、聞いたことがある人もいるかもしれません。

実際のところ、母乳が原因で子どものアトピー性皮膚炎が悪化するとは限りません。反対に、授乳中のママがアトピー性皮膚炎の原因となりうる卵やミルクを制限することで、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状を軽減したり、改善できるとも言い切れません。

アトピー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎が疑われる赤ちゃんにママが母乳をあげるときにはどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

アトピーのときは母乳をやめる?ミルクに切り替える?

粉ミルク
iStock.com/stevanovicigor

子どもがアトピー性皮膚炎のときには、ミルクに切り替えて母乳をやめるべきか悩むママもいるでしょう。ママのなかには「母乳をやめてミルクに切り替えるとアトピー性皮膚炎の症状がよくなった」という人もいますが、ミルクに切り替えて母乳をやめると、確実にアトピー性皮膚炎が改善するがどうかは一様にはいえません。

また、母乳には赤ちゃんの免疫を高めるなどのポイントもあるので、自己判断で母乳を中止するのは望ましくないでしょう。

アトピー性皮膚炎で母乳育児をする際のママの食事の注意点

バランスのとれた食事

母乳をあげるママは、食事に注意することは大切かもしれませんが、アトピー性皮膚炎の原因となる食べ物を完全に食べるのを止める必要があるかは医師の判断を聞きましょう。

アトピー性皮膚炎の原因となる食べ物をママが完全に食べないようにしても、子どものアトピー性皮膚炎の症状が劇的に改善するとは限らないといわれています。

ママの食事が子どものアトピー性皮膚炎に影響するのではないかと気になるときには、自分で判断してすすめるのではなく、小児科の医師に相談してみるのがいいでしょう。


油分の多い食べ物は控える

母乳を通して赤ちゃんがアトピー性皮膚炎やアレルギー体質にならないとは言い切れませんが、ケーキやチョコレートなど、甘いお菓子や添加物が多く含まれるスナック菓子などを食べ過ぎることで赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状に影響が出る可能性があるかもしれません。油分や添加物の多い食べ物の摂り過ぎは控えましょう。


便秘を解消する

ママの腸内細菌の数が赤ちゃんの腸内細菌数に影響を与え、腸内細菌数のバランスが悪いと赤ちゃんや子どもがアレルギーを引き起こす可能性が高くなるといわれています。便秘気味のママは、食物繊維が多く含まれている果物や野菜、豆類、きのこ類、こんにゃくなどの食べ物や、納豆やヨーグルト、乳酸菌飲料などの発酵食品を積極的に摂りましょう。

また、たまねぎやアスパラガス、ごぼう、バナナなどの食べ物は、腸内細菌であるビフィズス菌を増やす効果があるといわれていて便秘解消に適している食べ物です。

こちらの記事も読まれています

赤ちゃんの離乳食の進め方については、小児科医に相談を

離乳食
iStock.com/FotografiaBasica

以前は、アトピー性皮膚炎が疑われるときは、遅らせる傾向にありましたが、現在は5~6カ月から開始する方がよいと言われています。

母乳はまだ飲んでいるけれど「もうすぐ離乳食が始まる」、「すでに始まっている」場合もあるでしょう。

子どもの離乳食についても、勝手にママが食物を除去すると栄養バランスが偏り、赤ちゃんに十分な栄養がいかなくなるかもしれません。

食べ物や食事メニューが子どものアトピー性皮膚炎に影響するのではないかと心配な場合は、小児科医に離乳食の進め方、使う食材などについて相談してください。

アトピー性皮膚炎と母乳の関係に悩んだとき、何科を受診する?

まずは小児科を受診し、子どものアトピー性皮膚炎の症状、原因などを診断してもらい、そのうえで母乳を与える際のポイントを相談するといいでしょう。

より専門的な治療が必要なときには小児科から皮膚科やアレルギー科などを紹介してもらえます。

自己判断せず気になることは医師に相談を

授乳後の赤ちゃん
iStock.com/monzenmachi

卵や牛乳、ピーナッツなど、アレルギーを引き起こしやすい食べ物は、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる原因になるのではないかと心配して摂取を控えるママもいるでしょう。

母乳を授乳中のママがアレルゲンとなりうる食べ物を口にしたとしても、それが赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の症状の悪化につながるとは限りません。逆にママが自己判断して、特定の食べ物を制限してしまうと栄養バランスが偏ってしまいます。

アトピー性皮膚炎かなと思った赤ちゃんを持つママが、母乳を授乳中する食事で気をつけたいのは、特定の食べ物を完全に食べないようにするのではなく、バランスのとれた食事が大事です。
また、油分の多い食事を控える、腸内環境をととのえる食材を積極的に食べることもいいでしょう。

もし、子どもがアトピー性皮膚炎かもしれないと思う症状が見られて、母乳を授乳するのが心配なときには、小児科医に今後の対策や進め方を相談してみてください。


監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)

Profile

眞々田容子

眞々田容子

台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。

産後カテゴリの記事

天才はどう育ったのか?幼少期〜現在までの育ちを解明

天才の育て方

この連載を見る
メディアにも多数出演する現役東大生や人工知能の若手プロフェッショナル、アプリ開発やゲームクリエイターなど多方面で活躍する若手や両親へ天才のルーツや親子のコミュニケーションについてインタビュー。子どもの成長を伸ばすヒントや子育ての合間に楽しめるコンテンツです。ぜひご覧ください。
【KIDSNA STYLE】一緒に盛り上げてくれるアンバサダーを大募集

KIDSNA STYLEと一緒に、全てのママへ素敵な子育て情報を届けよう!KIDSNAアンバサダーに登録された方には限定プレゼント、記事出演やイベントを通じたアンバサダー同士の交流会をご用意しております。限られた子育て期間を、素敵にアップデートしてみませんか。