ママの働き方を考える②「派遣」として働くこと

ママの働き方を考える②「派遣」として働くこと

「そろそろ働きたいけれど週5日となるとむずかしい」「子育てや家事と両立できるような仕事が見つかるのかな」と悩まれる方もいるのではないでしょうか。働き方を考える時、正社員、アルバイト、パートの他に「派遣社員」という選択肢もあります。派遣社員のメリットや休みを取る時に気を付ける点など、子育てと仕事を両立させたいママのために「派遣」の働き方について考えてみました。

ママが感じる「派遣」への素朴な疑問

「派遣」と「直接雇用」ってどう違うの?

正社員・アルバイト・パートなどは「直接雇用」=勤務先の企業に雇われます。ですが派遣は派遣会社の社員(分りやすく、以下「派遣スタッフ」と呼ぶ)として、派遣先の企業で働く働き方を指します。

会社で働いているけれど、その会社の社員ではない。これが派遣という働き方の最大の特徴といえるでしょう。また、派遣スタッフは必ず契約書を交わし、一定期間ごとの更新が必要です。大抵は3ヵ月毎の更新となりますが、初回1ヵ月更新を挟んでからの場合がほとんどです。


「派遣」という働き方

「派遣」とは当初、高スキルの人材を企業が雇うための採用手段でした。しかし最近では「未経験」でもできる派遣のお仕事が非常に増えてきました。また「扶養控除内」「時短」「週3日以内OK」「ブランクOK」という仕事も多いため、「子育てと仕事の両立をはかりたい」ママにはいい部分がたくさんあります。

「派遣」のメリット・デメリット

ママが派遣スタッフとして働く場合のメリットとデメリットを考えてみました。

派遣で働くメリット

時給が高め(但し交通費込みが基本)

職種により異なりますが、一般事務(派遣)の平均時給はおおよそ1,200~1,500円が相場です。時給は交通費込みという理論(交通費の値段関係なく)のため、交通費が安く済むような勤務地であればパートで働くより多く給与がもらえるケースが出てきます。また、経験者や企業側が求める資格を保持している人であれば、先ほど述べた金額よりもさらに高時給で働くことができます。


決められた業務内で働くことができる

事前に契約書を交わすため、「残業なし」という契約内容なら残業が発生することは基本的にありません。アルバイトやパートの身分では断りづらいものですが、派遣の場合には派遣会社へ間に入ってもらうこともできるので面倒なトラブルにご自身が巻き込まれることも回避できます。派遣スタッフに本来の契約以上の仕事を任せてはいけない決まりになっているため、「気がつけばなし崩し的に業務量が増えてしまった」ということも防げるため、子育てとの両立により、「保育園への送り迎えの時間が決まっている」場合などにも問題が起きずに迎いに行けます。


派遣会社の福利厚生サービスが受けられる

一定基準を満たせば、健康診断受診や社会保険の加入が可能です。宿泊施設・エステやマッサージなどの割引サービスが用意されている派遣会社も今や珍しくありません。さらに大手派遣会社では、スキルアップ講座をはじめ、託児付きのママ向け復職講座を設けるなど子育てと仕事を両立させたいママにとってメリットのあるサービスを増やしつつあります。


いろんな会社で働くことができる

自力では入れないような超大手企業でも、派遣スタッフとしてなら勤務できるケースは少なくありません。また、同じ派遣会社からの紹介なら職歴を増やさずともたくさんの経験ができるため「まずはいろいろ経験してみたい」「まだどんな仕事が自分に向いているか分からない」というママにとって、有利な経験ができると思います。

通常なら、

・A社パート→転職→B社パート→転職→C社アルバイト…

と転職回数が増えてしまい、職務経歴上で「短期間で仕事をころころ変える」という印象がついてしまいますが、派遣スタッフなら

・D派遣会社(A社→B社→C社)

と、一社で働いていることになるので、すっきりした職務経歴になります。

派遣で働くデメリット

契約更新されない場合がある

「自分はもっと働きたい(更新したい)」と思っていても、派遣先企業の都合で契約終了となることがあります。会社の経営状況が悪化してしまえば、たとえ勤務態度がよかったとしても更新してもらえません。(ただ、もし契約更新されない場合には派遣会社がすみやかに次の仕事を紹介してくれる場合もあります)


契約以上の仕事はできない

仕事が楽しくて「もっといろいろ任せてほしい」「これにも挑戦したい」と思っても、契約以上の仕事はやらせてもらえないのが派遣業の決まりごとでもあります。「自分は自分」と割り切って働けるのがメリットではありますが、「もっとがんばりたい」と思うタイプの人にとってはデメリットに転じる場合があるでしょう。


「派遣さん」としての扱い

他の雇用形態と同じように接してくれる企業が大半ですが、派遣スタッフの入れ替わりが激しいゆえに名前すら憶えてもらえずずっと「派遣さん」としか呼んでもらえないような職場が、稀にあります。「正社員とアルバイトは仲良くしているのに、派遣スタッフとの間には壁がある」など、マイナスに感じてしまう人は辛くなってしまうこともあるかもしれません。


契約途中での退職は基本的に許されない

残業を契約に基づいて断れる反面、契約期間途中での退職は基本的に認められません。「どんな理由であっても絶対に辞められないのか?」というと、現実的にはそうではありませんが、ただその理由によっては、派遣会社からの信用はなくなり次回の仕事を紹介してもらえなくなってしまう場合があるのでご注意ください。

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派遣会社への登録~勤務開始までの流れ

仮登録

仕事を紹介してもらうには、まずは派遣会社への登録が必須です。個人情報や経歴を事前に伝えておくことで、本登録の時間短縮ができます。(仮登録は派遣会社のホームページで情報入力、または電話でできます)


登録面談(スキルチェック)

ほとんどの場合、一度は派遣会社に来訪し本登録をする必要があります。PCスキルチェック、希望条件のヒアリングなどを行います。支店がある派遣会社であれば、本社まで行かなくても済みます。家の近くまで担当コーディネーターが来てくれる「出張登録」サービス、大規模施設で合同登録会を行うような派遣会社もあります。


お仕事紹介

早ければ登録面談時にそのまま紹介してもらえます。その際に気に入った仕事が見つからなかったとしても、後日、電話でお仕事紹介の連絡が入ります。紹介してもらえる仕事が多い場合には1日に何度も電話が入ることもあるので、遠慮せず、希望条件を事前にしっかり伝えておくとよいでしょう。


派遣先企業への訪問(顔合わせ)

本来、派遣先企業との面接は行わないのが決まりです。ただ、企業としても働く人にとっても一度も顔を合わせないのは不安、ということで勤務先を訪問することがほとんどです。それを「顔合わせ」といいます。あくまで面接ではなく、職場見学のようなものです。


就業開始

初日は、派遣コーディネーターが一緒に会社まで来て見送ってくれることが多いです。勤務中は、派遣会社へ出勤記録を提出します。(PCで毎日入力する、月末にタイムシートを送るなど)更新前には派遣会社が派遣先企業・派遣スタッフ双方の意思確認を経て、新たに契約を結びます。契約更新のタイミングで時給アップする場合もあります。

派遣から正社員を目指す場合

派遣社員として働くママの中には、子どもが成長したり、子育てと仕事の両立ができはじめてキャリアアップを考えたりと派遣社員から正社員を目指す方もいるでしょう。

派遣社員から正社員へ登用しないといけないということは法律では決まっていませんので、特別な方法というものはありません。

会社によっては試験や面談を設けている所もありますので、希望をされている場合は、会社の上司に勇気を出して相談をしてみるといいかもしれません。

「派遣」として働く際に気をつけたい点

時給を言わない

同じ派遣会社のスタッフ同士でも、人によって時給は違います。アルバイトやパートとも雇用先が違うので時給も全く違います。仲良くなると時給の話題になることは多いですが、時給に差があると分かると、とにかくモメる事が多いです。誰に聞かれても自分の時給を絶対に言わないことが鉄則です。


休む時の相談の仕方

ご自身の体調や、子育てをしながら仕事となるとお子様が体調を崩す時もあるでしょう。欠勤、遅刻、早退などの報告・相談をする際には、派遣社員の場合は「派遣先」と「派遣会社」へ連絡が必要になります。まずは派遣先へと連絡をして報告・相談をしてから、派遣会社に事情を伝えていきます。休んでしまった分の給料はもらえませんので、体調管理には気を付けましょう。


割り切れるか

「仕事は仕事」と割り切れる人は派遣という働き方に向いていると思いますが、「もっと派遣先の会社のために尽くしたい」「正社員と同じように働きたい」と考える人にとっては、派遣スタッフとして働くことがつらくなってしまうことがあるでしょう。ご自身が派遣という働き方に向いているのかよく考えてみることは大事です。

ママにとって、自分らしい働き方を

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「なんだか自分に合っているかも」と思うなら、派遣会社に一度相談してみてもいいかもしれませんね。筆者自身、派遣社員として働いた経験もありますが、正社員では働けないような企業で働く経験ができるメリットがあり、パートでは得られないものもありました。周囲にも、土日だけ子どもをパパに預けて派遣スタッフとして働くママ友もいます。最近は子育てと仕事を両立させたいママに適した短時間のお仕事も増えているので、ぜひ情報を集めてみてください。自分らしい働き方が見つかるといいですね。

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2017.02.11

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