【体験談】都内暮らしで畑と触れ合う。自然やご近所づきあいの大切さを改めて知る

【体験談】都内暮らしで畑と触れ合う。自然やご近所づきあいの大切さを改めて知る

子どもにとって、土や野菜と触れ合うことは遊びの一種かもしれません。都内でも畑が身近にある生活を通じて子どもたちが野菜を好きになったことと、それがご近所づきあいが広がるきっかけになったエピソードをご紹介します。

子どもたちが、野菜が大好きな理由

KIDSNA編集部の白石です。うちには小学2年生と幼稚園児の息子がいるのですが、ふたりとも大の野菜好き。その理由は、今住んでいる場所の環境と地域の人びとのおかげでした。今回はその体験について書きたいと思います。

コインロッカーの野菜スタンド

現在、東京の西の方に住んでいるのですが、住宅地であるうちの周囲には畑が点在しています。そして「野菜スタンド」があります。これはコインロッカーに野菜が入っていて、コイン(だいたい100円)を入れると、ロッカーが開いて野菜が取り出せるしくみになったもの。点在する畑の向かい側にはたいていその「野菜スタンド」があって、息子たちは小さい頃からからこの「野菜スタンド」へのお散歩が大好きでした。

毎朝、野菜を買うのが日課に

幼い息子たちにとって「コインを入れて、野菜を取り出せる」というのは楽しい遊びの一種だったようです。長男がよちよち歩きの時から(次男は兄の散歩につき合わされて、生後1週間から)ほぼ毎日、野菜を買いに行きました。家から歩いて5分ほどの距離だったので、私も無理なく日課にできたのかもしれません。

こうして毎朝、大きな畑の向かい側にある「野菜スタンド」で野菜を買うのが、うちの日課になりました。春はおいしい春キャベツや菜の花、夏はもぎたてのキュウリやトマト、秋は茄子や銀杏、冬はネギや大根など、旬の野菜を買うことができます。ピーナッツや赤いオクラなど珍しいものも並ぶので、季節ごとにどんな野菜がコインロッカーに並ぶのかいつも楽しみにしています。

「はじめてのおつかい」も野菜

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長男が3歳、次男が1歳のころは「ぼく、キャベツ持ちたい」「ずるい!ぼくも持ちたい」など、取り合いするように。次男はほうれんそうを抱えて走るのが好きでした。自分が家まで運んだ野菜を食べることがうれしかったようです。冬は、ネギをめぐって兄弟げんかをすることも。ネギが剣みたいで、持っているとかっこいいと思ったようです(笑)

長男は夏のズッキーニが特に好きで、幼稚園の年長になったころには、毎朝ひとりで買いに行くようになりました。そこでご近所の方たちと仲良くなり、おばさまたちの井戸端会議に参加して「うちはオリーブオイルで焼いて、塩ふっておやつに食べてるよ」と情報交換までしていました。「うちのおかあさんは土曜日はなかなか起きてくれない」といった子どもなりの愚痴もきいてもらっていたようで恥ずかしい思いもしましたが…

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ご近所づきあいのきっかけにも

同じように野菜スタンドに通うご近所さんたちと毎朝のように会っていると、少しずつ会話が始まり、仲良くなっていきました。特に、私の母ぐらいの年齢のおばさまたちは「もっと適当でいいのよ」などと、私に子育てのアドバイスもしてくれるように。その頃、私は子育てとフリーランスの仕事の両立がうまくいかず悩んでいました。そんな相談に乗ってもらっていたら「それは大変ね。今日は私が子どもたちを散歩に連れ出してあげるから、そのあいだにのんびりするといいわよ」と声をかけてくれるようになりました。

元気すぎる2歳差の兄弟を育てながらの不安定な仕事。その苦労を誰かと共有できる機会もなく孤独を感じていた時期だったので、本当にうれしく思いました。そしてその方のおかげでご近所ネットワークがどんどん広がり、私たちに地域のいろんなことを教えてくれる人がいたり、息子たちが悪いことをしたらあたたかく叱ってくれる人も出てきました。

「子どもを家だけではなく、地域で育てる」ということが実践できたのは子どもたちにとってもよかったと思います。実家が遠い私にとっても、人生の先輩たちにいつでも悩みを相談できるという安心感はとてもありがたいものでした。

畑しごとを体験

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毎朝行く畑の農家のおじさん、Yさんとも仲良くなりました。息子たちは特にその畑の野菜の大ファンで「Yさんのネギ」とか「Yさんのトマト」など、野菜に名前までつけて大事に食べていました。Yさんの大根で作った大根サラダをおやつに食べたい!とリクエストされることも。

Yさんは、寒い日も暑い日も朝早くから畑しごとをしています。そのYさんの働く背中を見て、6歳になった長男が「ぼくも畑ではたらきたい」というように。それをきいたYさんは「じゃあ、大根を抜いてもらおうか」と、畑しごとを手伝わせてくれるようになりました。長男は「大根は抜くのが大変だったけど、土があったかくてきもちよかった」「ネギはなんかかわいい」「虫がいた」など、子どもなりに畑しごとの喜びを感じたようです。

また、4歳になった次男が、ある夏の日に「えだまめくださーい!」とコインを握りしめて畑に行くと、Yさんに「ハイ」とハサミを渡されました。枝豆の実の収穫を自分でしておいで、とのこと。暑い夏の日にいっぱい汗をかいて枝豆を収穫した次男。その日の食卓に並んだ枝豆を食べながら「ぼくが実をとったんだよ!」とうれしそうに畑の話をしてくれました。

おやつに野菜

こんな感じで、赤ちゃんのころから野菜が身近にある生活だったので、息子たちは野菜が大好きになりました。畑で黄色い花を見かけると「早くオクラが大きくならないかな」、風に揺れている葉を見て「茄子の季節だね」、トウモロコシは畑を見るだけで「おいしそう!」というように。毎日畑を眺めていたので、いつのまにかそれぞれの野菜の葉や花の形が区別できるようになっていました。

夏野菜は特に好きで、トウモロコシやオクラ、プチトマトは毎日おやつに食べていました。ズッキーニは毎日2本があっというまになくなりましたが、お菓子を買うよりはいいかと考え、好きなだけ食べさせていました。人気商品のトウモロコシは朝のうちになくなるので、長男は直接Yさんに予約をお願いしてました(笑)

新鮮なので、そのまま食べる・ゆでる・焼くなどシンプルな調理法でも十分おいしい野菜たち。その味を知ることができたのは、息子たちにとっていい体験になったと思います。

体験することで好きになる

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ただ野菜を食べるだけではなく、それがどこで、どんな人に育てられているか。野菜が食卓に並ぶまでどんな手順があるのか。そういったことを日常生活の中で体験できたことで、子どもたちに食の大切さを伝えられたような気がしています。私はほとんどなにもしていませんが、地域の方たちが子どもたちのそういった部分をていねいに育んでくれたことを本当に感謝しています。

最近は、東京都やそれぞれの区で畑を貸し出すサービスもあるそうなので、週末だけでも、子どもと一緒に畑しごとをしてみるのもいいのではないでしょうか。そこまでしなくても、まずはマンションのベランダで野菜を育てることから始めてもいいですよね。育てる楽しみ、食べる楽しみを体験することで、子どもがもっと野菜を好きになるかもしれません。

2017.01.25

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