妊娠中の仕事に関する法律。労働基準法や妊産婦が利用できるサポート

妊娠中の仕事に関する法律。労働基準法や妊産婦が利用できるサポート

仕事をしたい気持ちはあるものの、体調を気遣いながら働く必要がある場合は、一歩踏み出す勇気が必要です。妊娠中の女性へ向けて、妊娠に関わる法律や労働基準法を知ってもらい、働きやすい環境を作ってもらうきっかけになる情報を紹介します。仕事に関してさまざまな不安を抱える妊娠中の女性が利用できるサポート体制を見ていきましょう。

働く妊産婦をサポートする労働基準法

妊産婦が働くためのサポート体制に関する基準を設けているのが労働基準法です。主な基準としては、


産前産後休業(産前産後に休みを確保できる)

軽易業務転換(負担の少ない仕事に切り替える)

変形労働時間制の適用制限(勤務時間を変更する)


などが挙げられ、それぞれ妊娠週数によって適用範囲が異なっています。妊娠中でも仕事をしたい気持ちがあるなら、どのようなサポート体制があるのか事前に把握しておくことが大切です。

妊娠初期、主に利用できること

妊娠初期に仕事をするときは、健康診断を受けるための時間や、体調を気遣うための必要な時間をとることができます。妊娠初期は体調が安定しない日が続く傾向にあり、つわりの症状が見られる妊婦が多くいるようです。


健康診断を受けるための時間を確保

妊娠初期のプレママが事業主に対し、健康診断を受けるための時間の確保を求めた場合、事業主はプレママの要求を引き受けなければいけません。


妊娠週数が0~23週までなら、4週間に1回が定められている回数です。


妊娠週数によって回数は異なっていますが、妊娠初期には1カ月に1度を目安に健康診断を受けるための時間を確保しましょう。

ほかにも、健康診断を受けるための時間の確保と合わせて、妊娠中の体調を考えた業務の調整を行う、休憩時間を確保する、といった要求をすることもできます。


体調を気遣うための必要な時間の確保

健康診断を受ける日程はプレママ側の希望日に合わせることが必須です。時間を確保する際には、健康診査・保健指導申請書の申請様式に沿って書面で申請する必要があります。

申請のタイミングとしては、時間の確保を申し出る前に行いましょう。出産予定日がわかったらなるべく早めに事業主へ届けを出し、妊娠中であることを知っておいてもらうことが大切です。

妊娠中にできる、会社への申し出

妊婦

妊娠中全般においては、妊娠中の通勤緩和、休憩の確保、妊娠中または出産後の症状に対応する措置などを、事業主に対して申し出ることができます。


通勤時間をずらすことができる「通勤緩和」

始業時間をずらして通勤時の混雑を避ける方法が、時差通勤です。30~60分程度の時間差をつけることによって、つわりの悪化が防げるかもしれません。時差通勤は終業時間にも利用することができるので、通勤時の環境に不安がある場合は速やかに申し出ましょう。

他にも、1日30~60分程度勤務時間を短縮する、混雑の少ない通勤経路に変更する、といった通勤緩和方法もあります。


体調を気遣うための「休憩の確保」

休憩の確保については、休憩時間を延ばす、休憩回数を増やす、休憩時間帯の変更などが対象です。妊娠中に仕事をしていると、身体的・精神的な負担を感じやすくなります。

妊産婦は仕事中に休憩を確保しやすい環境作りを事業主に求める権利があるので、自身の仕事における環境を見直すことから始めましょう。


妊娠中または出産後の症状への対策

妊娠中または出産後の症状への対策については、妊娠中と出産後1年以内のプレママ・ママが対象です。負担の大きい作業が割り振られている場合は、負担の少ない作業へ切り替えを希望してみましょう。

ほかにも、休業や休業環境の変更も対象となることを把握しておいた方がよいかもしれません。

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妊産婦が利用できるサポート体制

出産直前・直後に利用できることとしては、産前産後休業、解雇制度、出産手当金などが挙げられます。


産前産後に休みを確保できる「産前産後休業」

産前6週間、産後8週間の就業禁止を労働基準法で定めているのが、産前産後休業です。対象期間は仕事をすることができない状況とみなされるので、事業主はプレママ・ママを休業させる義務があります。


妊娠を理由に解雇できない「解雇制度」

産前産後休業の期間中とその後の30日間に、事業主がプレママ・ママを解雇することは禁止されています。妊娠や出産を機に仕事を失う不安を抱えている妊婦は、解雇制度について知っておくとよいでしょう。


会社を休んだ期間を対象とする「出産手当金」

出産手当金は、出産で会社を休んだ期間に支給されます。出産日より42日前~出産の翌日以降56日までが対象期間です。また、出産手当金を受け取るためには申請書を提出する必要があります。これから生まれてくる赤ちゃんの育児費用として使うこともできるので、忘れないようにきちんと申請しておきましょう。

サポート体制の利用経験がある先輩ママの体験談

時短勤務に変更した人の体験談

「夕方になるとつわりがひどくなる体質でした。当時は時短勤務の制度があることを知らなかったため、私の体調を気にしてくれた上司から提案してもらいました。つわりがひどい妊婦にとっては、1時間の短縮でもありがたく感じます」(32歳/銀行員)


部署転換を希望した人の体験談

「立った状態での作業と部屋移動が多い仕事だったため、妊娠初期で部署転換を希望しました。早めに申し出たおかげで他の人に担当を変わってもらうことができ、妊娠8カ月まで仕事を続けることができました」(30歳/食品卸事業担当)


通院休暇を取得した人の体験談

有休を使う社員が少ない環境で働いていたため、通院休暇を申し出ることをためらっていました。結局取得することにしたのですが、法律で決まっているならもっと早く申し出れば良かったと思います」(30歳/出版会社勤務)

妊産婦が仕事をするときには

妊婦

妊娠中の仕事に様々な不安を抱えている女性は少なくありません。法律や労働基準法で定められている妊婦を対象としたサポート体制があることを知っておけば、仕事をする上での働きやすさがきっと増すでしょう。

妊産婦が仕事をするときには、紹介したサポート体制を利用しながら出産に向けて充実した日々を送ることが大切です。

2017.09.12

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