#04 子どもからのSOSサイン

〜私が子どもだった頃〜

#04 子どもからのSOSサイン

「子どものこころが穏やかに育つ魔法の育児法」のタイトルで40000人以上、Facebook公式ページには20000人以上の読者を持つ、作家/子育てアドバイザーLICOさんの連載コラム第4回です。

4回目の今回は、わたしがどうして子育てにまつわるブログを書いたり、講演をさせていただいたり、本を書かせていただくようになったのか、そのきっかけになった出来事についてお伝えしたいと思います。

話は自分の幼少期にさかのぼります。

雲と空
iStock.com/middelveld

幼い頃のことを思い出そうとすると、わたしは当時のさみしかった思いばかりがよみがえってしまいます。小さい頃、楽しかった思い出も、うれしかったこともたくさんあったはず。家もあり、食事も、きれいな洋服も何不自由なく与えてもらい育ててもらったはずなのに、わたしはの心の中はいつも不自由でした。

それは、わたしの育った環境が一般的な家庭とは少し違うものだったからです。わたしの家族はわたしが10歳になるまで父の実家で過ごしましたが、そこは自分の家として、気持ちが安らぐような場所ではありませんでした。

当時、わたしは叔母達から冷たい扱いを受けていたのです。叔母達はわたしの母にもつらくあたりましたが、特に娘のわたしのやることなすこと、それこそ存在すべてを否定されるような言葉を聞かされ続けていました。

毎日「わたしなんて消えてなくなりたい」と思い、そんな本心を口にすると母を悲しませるような気がして、いつも嘘をついていました。

それでも心は正直です。そのうちわたしはSOSのサインとして様々な問題行動を起こすようになり、母の財布からお金を抜き取ったりしました。

本当は母に笑っていてほしかった。

ですが、自分の気持ちを自分で把握し、言語化し、誰かに上手に伝えるにはまだまだわたしは、幼すぎました。なにか困った行動を示す子どもというのは、親など身近な存在の人に自分の苦しさに気づいて欲しいだけです。

画像
iStock.com/kumikomini

この時、母がわたしに「なぜそのような行動に至るのか」と、その行動の奥にある気持ちに耳を傾け、わたしの抱えていた苦しさに気付いてくれていたら、状況は違ったかもしれません。

誤解のないようにお伝えすると、母は、もともと冷たい人ではありません。本来、本当に愛情深い人です。おそらく気持ちに余裕がないほどに、この頃、母もあの当時身を置いていた環境に心を崩していたのだと思います。幼かったわたしは、母の気持ちをおもんばかることができなかったのです。


大人になるまでずっと、この時のことを苦しい過去だと思ってきましたが、自身が子育てを始めるうちに、思いがけず、まだ幼くてことばで上手に伝えることのできない子どもの本当の気持ちが、手に取るようにわかる自分に気づくことになりました。

そして、その時に、親として何ができるのか、何をすれば親自身も子どもと幸せな時間を過ごすことができるのかも。


あの時の自分の体験は今、子どもたちの胸のうちに溢れている心の声を、わたしに聞かせてくれています。

もし、お子さんの言動に不安や問題を感じていらっしゃる親御さんがいらしたら、どうか、なぜそうしてしまうのか、何があったのかと、その背景について、話を聞いてあげてください。

問題そのものを問いただすのではなく、そうしてしまう、その子の悲しみを、吐き出させてあげてほしいのです。

泣いている子ども
iStock.com/Hakase_

子どもたちはみんな、親を悲しませたいわけじゃない。

親を幸せにしたい、親を笑顔にしたいと、心からそう思っています。

そのことを信じて耳を傾けさえすれば、親御さんが感じている不安はきっと、解消に向かうと思いますよ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

次回は現在3人の子どもを育ているわたしが心がけていることついて、お伝えしようと思います。

#05 きょうだいそれぞれの実がなるように

Profile

LICO

LICO

作家/子育てアドバイザーLICO(リコ) 「子どものこころが穏やかに育つ魔法の育児法」のタイトルで40000人以上、Facebook公式ページには20000人以上の読者を持つ、京都在住アメーバオフィシャルママブロガー。 「子育てを大変だと感じる本当の理由」「夜泣きするきみへ」「ママの毎日」などの記事が爆発的な人気となり、シェアがネット上で120万を超えるなど、その等身大の育児観は圧倒的な共感を呼ぶことに。 各種キュレーションサイトの2015年上半期アクセス数ランキングにおいて、ブログ記事が殿堂入りを果たす。ブログを通じてつながったママ達へのアドバイスが話題となり、各方面への講演会出演依頼が続出。2019年4月現在、8歳の娘、6歳、4歳の息子を育てながら、講演活動、育児雑誌や育児サイトなどへの記事連載など幅広く活動している。 著書に『おだやかママの幸せ子育て法』(シリーズ2冊)、『不安なあなたがゆっくりラクになるメッセージ』(すべて主婦の友社刊)。

2019.06.04

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