初めての出産はすべてが初めてで緊張しますよね。テレビの出産シーンなどでよく目にする「ヒッヒフー」という呼吸法ですが、いつやるものなのでしょうか。分娩時の呼吸法は必要なのか、また、分娩時にいつやるものかなどを解説します。また、呼吸法の種類や方法、練習は必要かについてもご紹介します。
初めての出産は怖いと思ったり、緊張する妊婦さんも多いでしょう。出産する際に緊張すると力が入ってしまい、自然と呼吸が早くなります。
身体に力が入ると分娩に時間がかかることがあるため、分娩の流れに合わせた呼吸法で緊張を和らげ、リラックスさせる目的があります。
日本産婦人科学会によると分娩にかかる時間は、初産婦で11~15時間程度、経産婦でも6~8時間程度かかることが一般的なようです。
赤ちゃんが外に出てくる準備のために子宮口が少しずつ開いてきますが、それに伴い陣痛の痛みが強くなっていきます。その痛みを緩和させるために呼吸法を行います。また、子宮口が全開になり、いよいよ赤ちゃんを娩出(外に出す)する際も呼吸法を使って力を入れるタイミングを整える場合があります。
陣痛が始まり、実際に分娩台に上がって子宮口が開くまでは個人差がありますが、数時間から十数時間かかる人が多いです。
出産時の呼吸法は、その分娩にかかる時間中、ずっと行うわけではありません。陣痛は波のようにやってくるので、「痛みの波」が来ていないときは、普段の呼吸でOKです。
出産本番では医師や看護師さんの指示に従って呼吸法を行いましょう。
呼吸法にもいくつかの種類があります。どのような呼吸法があるのかご紹介します。
陣痛が始まったばかりでまだ激しくないときには深呼吸を繰り返し、陣痛が激しくなってきたら「ヒッヒフー」のリズムに合わせて呼吸をします。吸うよりも吐く方に意識を集中させることがポイントです。
分娩時に助産師さんからいきむように指示があったら、「フー」と息を少し吐いてから「ウン」でいきむフーウン呼吸に切り替えましょう。
赤ちゃんの頭が出てきたら、助産師さんの指示で「フーフー」と息をゆっくり吐きながら身体の力を抜く「フーフー呼吸」に切り替えます。
陣痛が始まり、子宮口が全開になるまではあぐらや妊婦さんの楽な姿勢で過ごします。陣痛がおさまっているときは、息を吐きながら身体の力を抜いて緊張をほぐし、痛みを感じたら息を吸って、止めます。身体全体に意識を集中させることがポイントです。
陣痛の痛みが強くなってきたら子宮の収縮に合わせていきみを加え、赤ちゃんの頭が出てきたらいきむのをやめて「フーフー」とゆっくり息で呼吸を整えます。
出産中、全身に気を巡らせる気孔と逆腹式呼吸を合わせた医療機関の一部で取り入れられている方法です。息を吸ったときにお腹をへこませて、息を吐くときにお腹を膨らませ、赤ちゃんに「下がれ」と気を送ります。
ゆったりとした呼吸法で緊張をほぐして分娩時間が短くなることもあるようです。
初めての出産は誰でも緊張して身体に力が入ったり、余裕がなくなる人がほとんどでしょう。陣痛の痛みが激しくなると、自然と息を止めがちになりますが、ママの呼吸が止まると赤ちゃんに酸素がいきわたらずに赤ちゃんも苦しくなります。
分娩時にいきなりその場で呼吸法を伝えられても考えながら行うのは難しいため、練習しておくと身体が覚えて分娩時にスムーズに行えるかもしれません。
ソフロロジー法での出産を考えている人は、病院でイメージトレーニングのために聞くCDがもらえるところもあるため、妊娠が分かったらすぐに呼吸法の練習を始めましょう。
分娩時の呼吸法は、産院主催や自治体などで開かれる「両親学級」や「母親学級」などで教えてもらうことができます。「両親学級」は申し込み制になっていたり、出産予定日ごとに日程を事前に指定される病院もあります。施設によって異なりますが、夫婦で参加可能なところもあります。
「母親学級」は、主催者や日程などによって内容は異なりますが、呼吸法の練習のほかにもお産の流れについての説明や分娩台の上に座ったときのイメージトレーニングなどを行うところもあります。
仕事などで「母親学級」に参加できない人もいるでしょう。その場合は、担当医や助産師さん、保健所や保健センターに相談してみるとよいでしょう。
保健所や保健センターの当該地域の母親学級に参加できない場合も、同じ自治体内の別エリアで開催される母親学級の日程を案内をしてくれるところもあるので、電話などで問い合わせしてみるといいかもしれません。
ラマーズ法は本来、旦那さんもいっしょに練習する呼吸法です。ラマーズ法には、旦那さんが出産に立ち合い、妊婦さんの緊張や不安をなくすという目的があります。
ラマーズ法や立ち合い出産を考えている場合は、旦那さんもいっしょに呼吸法を練習しておくと妊婦さんも心強いでしょう。
初めて出産を経験する妊婦さんは緊張や怖さを感じている人も多いと思います。呼吸法を事前に練習して、正しい呼吸法を身につけておくと余裕のなくなる出産時でも慌てずに済み、分娩がスムーズに進むかもしれません。
分娩時の呼吸法にも「ラマーズ法」や「ソフロロジー」「リーブ法」など種類がありますが、まずそれぞれの呼吸法の特徴や呼吸法の仕方を知ることが大切です。夫婦で参加できる両親学級では、パパも呼吸法を教えてもらえます。分娩時にどの呼吸法を使うかをパパと相談して、事前に呼吸法の練習をして出産に臨みましょう。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
2018年11月11日
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