聞くだけで苦しみと生きづらさが解消する…心療内科医が"コンテンツ処方"として患者に勧める永遠の名曲
人生の選択にあるのは"絶対解"ではなく"納得解"だけ
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人生がしんどいとき、解消するにはどうしたらいいか。心療内科医の鈴木裕介さんは「僕のクリニックでは、相談に来た人のしんどさを軽減するのに役立つであろう作品や本を紹介する『コンテンツ処方』というものをやっている。これまで一番多くの人におすすめしてきた、心のHPが回復するのはこの曲だ」という――。 ※本稿は、鈴木裕介『「心のHPがゼロになりそう」なときに読む本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
人生でありもしない絶対解にとらわれない
僕が生粋のゲーム好きですが、ゲームと現実の人生では、一つだけ大きく違う点があります。
それは、人生には用意された「正解の選択肢」が存在しないということです。
僕たちは得てして、人生の選択の場面において「間違いを選ばない」ことを一番大事だと思ってしまいがちです。
学校、就職、パートナー、ファッションに至るまで、そのすべてにおいて「より間違いのない選択」をすることが、正しい生き方であるかのように感じてしまいます。その考えの裏には、「選択肢の中に『最も正しい答え』があり、それを選び取らなければ、損してしまうのではないか」という価値観が存在します。
しかし、人生の選択に“絶対解”などありません。あるのは“納得解”だけです。
生きづらい人は、自分の選択に不安や後悔を抱えています。自分の決断に自信がないので、どこかで誰かに決めてもらおうと願ったり、多くの人が「正しい」と考えるであろう選択をしがちです。しかし、ありもしない絶対解にとらわれていると、いつまでたっても自分の選択に納得することができません。
自分の物語を生きている人とは、「自分の生き方に納得をしている人」だと思っています。それは、絶えず「正解」を選び続けている人のことではなく、苦悩や迷いがある中でも、その都度に現れる人生の選択を、自分自身でちゃんと納得して決めている人です。
それは決して簡単なことではないですが、良質な知識を得ることや、ある程度「あがく」ことで、納得感は深まっていくでしょう。