塾を経営しながら「8回目の受験」で弁護士に…北村晴男さんが「それでも焦りはなかった」と言う意外な理由
自分を励ますとっておきの方法とは
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【前編】「あなたは間違っている」とは絶対に言わない…「行列」北村晴男弁護士がクレーマーを黙らせる最強の切り返し がんばったけどダメだった、同期が自分より先に出世して悔しい……そんな時、どのように自分の気持ちを立て直すのが良いだろうか。8回のチャレンジを経て司法試験に合格した北村晴男弁護士に、自分を励ますとっておきの方法を聞いた――。(聞き手・構成=ジャーナリスト・笹井恵里子 後編/全2回)
「がんばったけどダメだった」とき、北村弁護士なら…
仕事や勉強などでがんばっているんだけど、うまくいかないなぁという時、3つの視点をもってほしいと思います。
まずひとつめは主に20代30代の若い方へ。社長や上司、ベテランの社員などがバリバリ働いている姿を見て、あるいは「俺はこんなにすごかった」という自慢をされた時、はたしてあなたと同じ年代の時に、その人は本当にすごかったのか? ということなんです。
私がとても感銘を受けたエピソードを紹介しましょう。
安倍元首相が「麻生さんのご子息に語ったこと」
政治家の麻生太郎さんのご子息の結婚披露宴で、安倍晋三さんがこんなご挨拶をされたのです。「麻生さんは外務大臣や総務大臣、内閣総理大臣まで務められた大変立派な政治家です。新郎は、『親父さんはこんなに立派なのに……』とよく比較されてきたでしょう」と。それはきっと安倍さんご自身の経験でもあるのでしょうね。「しかし、それは全く気にすることがない」と、安倍さんは続けました。
「偉大な政治家である麻生太郎さんも、あなたと同じ年頃に同じように偉大だったはずがないんです。30代の麻生太郎さんと、今のあなたを比較したら、あなたのほうが劣っているということは絶対にありません。だから何の心配もいりません」
実際にそうだと私も思います。最初から有能な人などめったにいません。ほとんどの人が「失敗」と「反省」、そして「努力」を繰り返して、今の「仕事ができる人」になっているわけです。ですから大成功している人を見て、悲観する必要はありません。
しかしそうは言っても、同年代で先に出世をした人がいる、ある人は自分と同じ年の時にもっとすごい結果を出していた、と焦っている人もいるかもしれません。そこで落ち込んだ気持ちを立て直す2つめは、自分の頑張る方向性が間違っていないか? ということです。冷静に柔軟に、自分の能力を分析し、努力の方向性を確認することが大切です。