引っ越し業者の「比較サイト」を使うより効果的…1円でも引っ越し代を安くする"とっておきのフレーズ"
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引っ越し代が高騰していると相次いで報じられている。費用を安く抑えるにはどうしたらいいのか。12年間で合計7回の転居を経験し、「引っ越し貧乏」になったというフリーライターの大宮冬洋さんが、「たかくら引越センター」代表の髙倉弘樹さんに賢い節約術を聞いた――。(前編/全2回)
次の引っ越しはできるだけリーズナブルにしたい
新居探し、自治体などの各種手続き、荷造りに後片付け……。引っ越しは「やるべきこと」だらけで気が重い。そして、お金もかかる。新しい家具や家電の購入、不動産手数料に敷金・礼金、そして引っ越し業者への支払いなどだ。
筆者は大学卒業後の12年間で合計7回の転居を経験した。引っ越し好き、では断じてない。退職や離婚などのやむにやまれぬ理由ばかりで、そのたびになけなしの貯金が数十万円単位で減ってしまって苦しかった。再婚してから現在に至るまでの12年間は同じ賃貸マンションで暮らし続けており、貯金も少しだけ増えた。「引っ越し貧乏」という言葉の意味を身をもって知っているのだ。
次に引っ越さねばならないときが来たら、できるだけリーズナブルかつ気分良く引っ越したい。理想の指南役がいる。吉本興業所属のお笑い芸人でありながら、引っ越し業界歴25年。引っ越し専門会社「たかくら引越センター(以下、TMC)」代表の髙倉弘樹こうきさんだ。
福岡県出身で高校生のときから引っ越しのアルバイトに精を出していた髙倉さん。芸人になるために退職したが、引っ越し技術があまりに高すぎて前の勤務先から「戻って来ないか」と声がかかったという逸話の持ち主だ。
30歳のときにTMCを設立。「引っ越しはおもしろい!」というモットーを掲げ、人を喜ばせる引っ越しを追求しながら現在に至る。10人の社員とともに現場作業をし続けつつ、芸人の目線で引っ越しのおもしろさを常に客観視している。コストパフォーマンス最高の引っ越しをぜひ教えてもらいたい人物なのだ。
引っ越し業者比較サイトを勧めない理由
まずは大事なお金の話から。素人考えですぐに思いつく節約法は、引っ越し業者比較サイトを使っての相見積もりだ。しかし、髙倉さんは「お勧めしない」と回答。理由は2つある。1つは、いい加減な見積りでとにかく仕事を得ようとしたり、現場での融通が利かなかったりする「ハズレ」の業者に依頼してしまい、引っ越す当日になってトラブルが生じる危険性があることだ。
「荷物がトラックに載せきれずに、別途料金がかかったり自分で運ぶ羽目になってしまったり。事前に申告していない荷物が出てくることも引っ越しにはつきものですが、ハズレの業者だとトラックの荷台が空いていても『ダンボール10個までで見積もっているので、ダメです』と言われたりします」
もう1つの理由は交渉の煩わしさ。比較サイトに連絡先などを登録して相見積もりを依頼すると、一度に10社以上からメールや電話が来たりする。また、引っ越しが終わってからもインターネットや電気などの切り替えに関する営業の連絡が来る場合もあるという。煩わしいだけでなく、個人情報管理の面でも不安が残る。