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【耳鼻科医監修】子どもの鼻血がよく出る原因と対策
突然の鼻血に慌てないための基礎知識
Profile
横浜市立大学医学部卒。耳鼻咽喉科専門医。補聴器相談医。大学病院や地域の中核病院で研鑽を積んだ後、おひさまクリニックにて耳鼻咽喉科を担当。小児から高齢者まで幅広く対応しています。
子どもが突然鼻血を出すと驚いてしまうこともありますよね。暑さやのぼせ、風邪を引いたとき、夜中に鼻血が出やすいのはなぜでしょうか。子どもの鼻血がよく出る原因と鼻血が出たときの効果的な対処法、鼻血で病院を受診する目安について解説します。
子どもの鼻血
鼻血は、鼻の粘膜や毛細血管が傷つき出血が起こる症状です。
子どもは大人と比べ、鼻の粘膜はやわらかくデリケートなので鼻血が出やすくなっています。
子どもに多い鼻血ですが、新生児期から1歳頃までの赤ちゃんが鼻血を出すことは少ないのです。
なぜ子どもは鼻血を出しやすいのか、原因を詳しく説明します。
子どもの鼻血の原因
子どもが鼻血を出しやすい原因は以下の場合が多いです。
鼻をいじる
子どもが鼻血を出す原因でもっとも多いのは、鼻を手や指でこすり、鼻の入り口付近の毛細血管が集まっている部分を傷つけてしまう「鼻いじり」「鼻ほじり」です。
薄くてやわらかい子どもの鼻の粘膜は、少しの刺激で傷つきやすく、血が出やすい状態です。1度傷ができると、直接鼻をいじっていないときでも些細な刺激で鼻血が出ることもよくあります。
子どもが夜中に突然鼻血を出したときは、寝ている間に無意識に鼻をいじり、粘膜が傷ついたことが原因かもしれません。
また、冬など空気が乾燥しているときは、鼻の粘膜が乾いて傷がつきやすいこともあるでしょう。
暑さでのぼせる
気温が高いときやお風呂上り、運動をしたあと、夜中に睡眠が浅くなったとき、寝起きなど体温が上昇し血行の流れがよくなると、鼻に流れる血液の量が増え、血管が開いて鼻血が出やすくなります。
癇癪を起こしたり、興奮したときに子どもが鼻血を出すこともあるかもしれません。ストレスが原因になるというより、体温の上昇が原因となることが多いです。
風邪・アレルギー
風邪を引いたり、アレルギーの発症が鼻血の原因になる場合もあります。
風邪による急性鼻炎、副鼻腔炎、花粉などによるアレルギー性鼻炎など、鼻の粘膜が弱り炎症を起こしたときは、血管が破れやすく普段よりも鼻血が出やすい状態です。鼻水をかんだり、すすったり、くしゃみの刺激で鼻血が出ることもあります。
特に花粉症などアレルギー鼻炎や鼻の入口に湿疹が出ているときは、鼻に痒みを伴うことも多く、無意識に鼻をいじってしまい、鼻血が出る場合もあるでしょう。
鼻血が出たときの対処法
子どもが鼻血を出したときの正しい対処法をご紹介します。
下を向く
鼻血が出たときに上を向くと血がのどに流れ込み、気持ち悪くなったり、嘔吐の原因になることもあるので注意が必要です。
鼻血が出たときは、まず血がのどに流れないように顔を下向きにして座らせましょう。
鼻血の止血方法は、親指と人差し指で小鼻をギュッとつまみ押さえる方法、ティッシュなどで血を受けながら出血している方の小鼻を親指で押さえ、残りの4本の指を下あごに添える方法が効果的です。いずれもしっかり圧迫して止血を試みます。5分程度で一度はなして、まだ出血するか確認し、止まっていなければ追加で圧迫しましょう。
子どもが鼻血を出したときは、座った状態で下を向き、止血しながら安静にすることを心掛けましょう。
子どもが泣いている、興奮している状態では、血圧が上がり血が止まりにくいことがあるので、まずは子どもを安心させてあげてください。
運動やお風呂は控える
鼻血が止まったあとすぐの運動やお風呂は控えたほうがよいでしょう。身体が温まると血液の巡りがよくなり、できたかさぶたが剥がれ、再び鼻血を出すことがあるかもしれません。
鼻血で受診する目安
鼻血の症状だけだと病院を受診してよいのか悩むママもいるでしょう。
子どもは鼻血を出しやすい傾向にありますが、以下のような鼻血の症状見られるときは、早めに病院を受診しましょう。
- 正しい止血を行っているのに鼻血が10分以上止まらない
- 多量の出血がある
- 顔色が青ざめている
- 鼻血以外に歯や耳など他の部分からも出血がある
子どもの鼻血は、正しい止血を行えば5分~10分程度で止まることが多いです。
止血を続けても鼻血が止まらない、コップ1杯程度の出血がある、顔色が悪くぐったりしているなどの症状がみられる場合や毎日鼻血を出すときも注意が必要です。先天性の血液疾患や鼻腫瘍などの可能性もありますのですぐに病院、できれば耳鼻咽喉科を受診しましょう。
また、頻繁に鼻血を繰り返す場合はアレルギー性鼻炎や蓄膿症など、鼻にトラブルを抱えている可能性が高いので、できるだけ早く病院を受診し治療を開始しましょう。
鼻いじりをしないように鼻のトラブルをケアすることが鼻血予防に繋がります。
子どもの鼻血は成長と共に減っていく
子どもが突然鼻血を出すと驚いてしまうこともありますよね。子どもが鼻血を出したときはママが落ち着いて正しい止血方法を行いましょう。
子どもがよく鼻血を出す原因は、ほとんどが鼻いじったり、鼻を強くかんだときなどに起こる外傷や暑さからののぼせによるものなので、正しい対処法をとり止まれば心配はありません。
鼻血は、鼻の粘膜が弱っているときに出やすいので、風邪や鼻水が出ているときは、普段よりも鼻血が出やすいです。
鼻血を予防するためには、普段から鼻をいじらないように伝える、鼻炎などの症状を治療する、子どもの爪のケアをするなどの対策を行いましょう。
子どもの鼻血は、免疫力が高まり風邪を引きずらくなること、成長と共に鼻の粘膜が強くなることで自然と減っていくものです。繰り返す鼻血が心配なときは、1度かかりつけの耳鼻咽喉科を受診しましょう。
Profile
金髙清佳(おひさまクリニック)
横浜市立大学医学部卒。耳鼻咽喉科専門医。補聴器相談医。大学病院や地域の中核病院で研鑽を積んだ後、おひさまクリニックにて耳鼻咽喉科を担当。小児から高齢者まで幅広く対応しています。