「偏食がひどく、暴言を吐く」発達障害の疑いで小児科を受診した4歳女児の家庭で起きていたこと
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“発達障害もどき”の子供には共通点がある
仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは成田奈緒子著『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春新書インテリジェンス)――。
イントロダクション
少し前から「発達障害」「グレーゾーン」といった言葉が巷間で取りざたされるようになった。幼少期に問題となることが多いが、社会に出てから発達障害と診断されたり、疑われたりするケースもあり注目されているようだ。
実際、発達障害とされる子どもの数は年々増え続けているというが、それはなぜなのか。
本書では、数値上の発達障害児が増加している社会背景を説明しながら、発達障害の診断がついていないのに似たような症候を示す「発達障害もどき」が増えている可能性を指摘。
発達障害もどきとみられる子どもは、生活リズムの乱れから脳機能のバランスが崩れ、問題行動へとつながっている場合があるとし、そうした状態から抜け出すための脳の育て方を提示している。
著者は小児科医で文教大学教育学部特別支援教育専修教授。医学博士。発達障害、不登校、引きこもりなどの不安や悩みを抱える親子・当事者の支援事業「子育て科学アクシス」を主催している。『高学歴親という病』(講談社)など多数の著書がある。
はじめに 子どもの「発達障害」を疑う前に知ってほしいこと
- 「発達障害と間違われる子」が増えている
- 「発達障害もどき」から抜け出す方法
- 睡眠が子どもの脳を変える
- 親と先生のスムーズな連携が、子どもを伸ばす
- 子育ての目標は「立派な原始人」を育てること
“発達障害疑い”の子どもが増えた背景は「文科省の調査」
近年「発達障害と呼ばれる子どもが劇的に増えている」といわれています。2006年の時点では、発達障害の児童数は約7000人でしたが、2019年には7万人を、2020年には9万人を超えました。途中から調査対象が広がったことを踏まえても、数字だけ見ると13年(2006~2019年)で10倍に増えていることになります。
多くの子どもたちが発達障害を疑われている背景にあるものをお話していきましょう。文科省は2000年に「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」を行いました。その最終報告で、会議に集まった研究者たちが「通常学級にいる特別な教育的支援を必要とする児童生徒に積極的に対応することが必要」という意見を出したのです。これを受け、2002年に「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」が行われました。
この調査は、小中学校の通常学級の中に発達障害の芽を持つ、特別な支援が必要な子どもがどのくらいいるのかを把握するため、教員に対してアンケートをとるかたちでおこなわれたのです。この結果、通常学級の中には6.3%、人数にして2~3名(40名学級の場合)もの「特別な支援を必要とする児童生徒」がいることが明らかになりました。