これで発熱時のお迎えダッシュが不要に…子育て世代が欲しいのは足りない児童手当ではなく“独身時代の自由”
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「子育ては社会で」を徹底的に実現したらこうなる
多くの人が「子どもを持ちたい」と思えるような社会とはどんな社会だろうか。雇用ジャーナリストの海老原嗣生さんは「大前提として、子育ては社会が担うものという認識を共有する必要がある。それには公的保険制度の創設が欠かせない。『介護は嫁がするもの』という古い認識は介護保険制度の創設で消え、介護の外部化が進んだ」という――。
男性の育休取得率のまやかし
少子化は、お金や出会いの確率の話だけではなく、「心」の問題が大きい。その解決のために何をすべきか、引き続き考えていきます。
前回は、「30歳女性の重荷」を軽くする方法を書きました。
今回は、かなり直接的な話です。
出産・育児の負担をどのように減らすか、を考えていくことにしましょう。
まず、ここでも当然の話として、「夫婦間の育児負担の公平化」が挙げられます。近年、イクメン目標が掲げられ、男性の育休取得奨励策も拡充してきました。この方向でさらに政策を推し進めることが必要でしょう。
ただ、こうした公的目標ができると、点取り虫な企業は、「形だけの」数字稼ぎをしがちです。育休については、「1日だけ」取得したとしても、取得率にはカウントされます。なので、「とりあえず1日休もうよ」などという働きかけをしている会社を見てきました。少しましなところでは「1週間休もう」などと奨励していますが、これとて、悲しい話です。女性はまるまる1年休んだり、保育園に入園できるまで育休延長するのが当たり前の中で、男性はたった1週間でも「長いなあ」と称賛されているのですから。
こうしたズルをなくすためにも、ぜひとも「平均取得日数」という指標を新たに設けてほしいところです。