80代の政治家に日本の将来を任せるぐらいなら…成田悠輔が「ネコを政治家にすべき」と真剣に訴えるワケ
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「知名度が高いだけの元アイドル」が政治家になる本当の理由
選挙や政治家は本当に必要なのだろうか。イエール大学助教授の成田悠輔さんは「将来的には政治家はソフトウェアやアルゴリズムに置き換えられ、自動化されていくだろう。言い換えれば、政治家はネコやゴキブリで代用できるようになる」という。著書『22世紀の民主主義』(SB新書)からお届けする――。
政治家はネコとゴキブリでいい
現在、間接代議民主主義で政治家が担っている役割は主に二つある。
(1)政策的な指針を決定し行政機構を使って実行する「調整者・実行者としての政治家」
(2)政治・立法の顔になって熱狂や非難を引き受け世論のガス抜きをする「アイドル・マスコット・サンドバッグとしての政治家」
私は「調整者・実行者としての政治家」は、ソフトウェアやアルゴリズムに置き換えられ自動化されていくと思っている。
そして「アイドル・マスコット・サンドバッグとしての政治家」はネコやゴキブリ、VTuber(Virtual YouTuber)やバーチャル・インフルエンサーのような仮想人に置き換えられていくと読んでいる。
ネコによる置き換えは「キャラ」問題に関係している。現在の複雑すぎる社会では、政治家が経済や医療や軍事などあらゆる課題を理解して適切な判断を下すという建前には無理がある。
みんな薄々気づいているが、それを言っちゃおしまいなので、人間たちが大問題についてそれっぽいことをまくしたてるテレビの政治討論を倦怠けんたい感とともに眺めている。
本音では、しかし、政治家が果たすべき最大の役割は無数の課題に対する合理的判断ではなく、「いい感じのキャラ」を提供することだとわかっている。人としての器が大きい感じ、マンガ・アニメキャラのコスプレでもして一笑いさせてくれる感じ、単にイケメン・カワイイ・イケボ、そしていつまででも噂や悪口を言いたくなる飽きさせない見出し力といったものだ。