出産後に食欲がなくなるママもいるようです。今回の記事ではその原因と対処法について考えました。また、食欲がなくなることで注意したいことや、実際のママたちの体験談も合わせてお伝えします。
産後に食欲がなくなってしまうのはなぜなのでしょうか。その原因は人によってさまざまですが、いくつかのことが考えられます。
妊娠・出産を経て、女性の体には大きな変化が起きます。出産後の体が元に戻るまでの「産褥期」に、体調不良を訴えるママも少なくありません。特に産後2週間程はまだ出産の疲れが心身に残っており、その疲労から食欲不振を感じることがあるようです。
妊娠中、エストロゲンやプロゲステロンという卵巣でつくられる女性ホルモンが増加しますが、産後にはそれらのホルモンが急激に減少します。
また、プロラクチンという母乳をつくる働きのホルモンが増えるなど、ホルモンバランスが大きく変化することが食欲不振につながるようです。
生まれたばかりの赤ちゃんは睡眠時間が不規則なことが多く、月齢の低い赤ちゃんは昼夜問わず1〜3時間ごとに寝たり起きたりを繰り返すので、ママの睡眠時間も乱れてしまうことがあります。
生後6ヶ月が過ぎ、ある程度まとまって眠れるようになっても赤ちゃんが夜泣きすることがあります。睡眠不足が体調不良を招き、食欲がなくなったと感じるママもいるようです。
うつの症状には個人差がありますが、気分の落ち込みや不安、無気力感が大きく、吐き気や倦怠感が続くなら、産後うつの可能性もあります。食欲不振がうつに直結するわけではありませんが、注意が必要です。
産後に食欲不振に陥ってしまったときの対処法としては、少しでも口にできるもので栄養補給をすることです。ゼリーや飲料でもかまいませんので、できる範囲で何でも食べられるもの、そして水分をとるようにしましょう。
また、休養をしっかりとって気分転換することも大切です。家族に相談して協力してもらえそうなら、少しでも心と体を休めましょう。
どうしても食欲が出ない場合は、以下のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。
産後のママにとっては赤ちゃんのお世話をしながらの食事の準備は大変です。時には調理時間の負担のない、デリバリーやテイクアウトで好きなものを食べてみるのもいいかもしれません。いつもと違うメニューや味によって食欲が戻ることもあります。
食欲がないときなので、脂っこいものや味付けの濃いものは避けるといいかもしれません。
産後は赤ちゃんのためにもできる限りバランスのよい食事をとりたいと考えるのはないでしょうか。食事だけではなくサプリメントや健康食品などで効率よく栄養を補給してみてもよいでしょう。
産後のママは赤ちゃんのお世話で忙しい日々が続きます。すべてを完璧にこなそうとするとしんどくなってしまうので「子育ても家事も手抜きしていい」と気持ちを切り替えてみたり、また家族に積極的に手伝ってもらったりすることが大切です。
「痩せるからいい」「ダイエットになる」と食欲不振を放置しないようにしましょう。生活のリズムが崩れて、体力や免疫力が落ちてしまうことがあります。また、出産後に痩せすぎてしまうと、体の回復も遅くなってしまいます。
また、あまりにも食欲がなく痩せ続けるのは甲状腺などの病気の疑いもあります。休養をとっても改善されなかったり体調に異変を感じたら、病院を受診しましょう。
実際に出産後に食欲がなくなった経験について、ママたちに話を聞いてみました。
母乳のために食事をとらなければとプレッシャーを感じるママもいるようです。でも、出産後のママの体は疲れていて、赤ちゃんのお世話も大変なので、簡単に食べられるものを準備しておくといいのかもしれません。
ママたちは産後の食欲がない時期をどう乗り切ったのでしょうか。食欲がなくても口にしやすい、簡単に作れるメニューについて聞いてみました。
1. きゅうりやパプリカ、プチトマトなど野菜をポリ袋に入れて、塩もみして出てきた水分を捨てる
2. 鍋に穀物酢、水を2:1の割合で入れて、沸騰させます。そこに砂糖や白だしでお好みの味に整えてピクルス液を作る
3. 粗熱がとれたら、ポリ袋にピクルス液を入れて冷蔵庫で保存する
4. 丸1日置いたらできあがり
1. 沸騰したお湯に、オクラを切って入れる
2. 市販のわかめスープの素(粉末)を入れる
3. 豆腐、溶き卵を入れてできあがり
1. お茶碗にごはんをよそう
2. 釜揚げしらすを乗せ、お好みで海苔やゴマ、大葉を散らす
3. ごま油と醤油を少し垂らしてできあがり
産後に食欲がなくなるのは、出産の疲れやホルモンの変化などの理由もありますが、慣れない赤ちゃんのお世話でママが寝不足だったり疲れていることが原因になることもあります。
食欲不振によって体重が減り続ける場合は、少し注意が必要です。体重や自分の心と体に少しでも異変を感じたら病院を受診するとよいでしょう。
食欲がないときは、家族や自治体サービスなど周囲の人に相談して、自分の体を労い、休養や気分転換をすることも必要です。時にはおいしいものをデリバリーするなどの工夫もできたらいいですね。
笠井靖代(日本赤十字社医療センター)
日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長。 医学博士、産婦人科専門医、臨床遺伝専門医。 日本周産期メンタルヘルス学会理事。1988年、東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究科修了。米国留学を経て、現職。専門は周産期、出生前相談。専門医としてだけでなく、自ら40歳で出産した経験から、多くの妊婦さんに妊娠・出産への不安や悩みに応えている。NHKの子育て情報番組『すくすく子育て』コメンテーター。著書に『35歳からのはじめての妊娠・出産・育児』(家の光協会)など。
今読みたい記事に出会える!!
▼▼▼今すぐアプリをダウンロード!▼▼▼
2021年10月15日
こうばしい香りと、すっきりとした味わいが特徴の「ほうじ茶」。日常的に飲まれる方も多いことでしょう。今回は「授乳中、ほうじ茶は飲めるの?」といった疑問をはじめ、授乳期間中の飲み物についてお伝えしていきます。
河井恵美(エミリオット助産院)
食事はもちろん、飲み物にも制限のある妊娠中。水や麦茶ばかりで「もう飽きた!」と、感じている妊婦さんもいるのでは。そこで今回は、あらためて妊婦さんが口にできる飲み物をおさらいしてみましょう!お酒を飲んだ気分になれるドリンクや、1度は試してみてほしい麦茶のアレンジレシピなども合わせてご紹介いたします。
河井恵美(エミリオット助産院)
漫画『コウノドリ』取材協力医師であり、今橋先生のモデルとなった新生児科医・今西洋介先生が答える「新生児科医ふらいと先生のお悩み相談室」。これまで回答いただいお悩みをまとめました。
ふらいと先生(今西洋介)
Twitterフォロワー10.8万人!漫画『コウノドリ』取材協力&今橋先生の中の人としておなじみの新生児科医・今西洋介先生に、乳児を育てるママや妊婦さんがいだきがちな不安をテーマにさまざまなお悩みに回答していただきます。
ふらいと先生(今西洋介)
Twitterフォロワー10.8万人!漫画『コウノドリ』取材協力&今橋先生の中の人としておなじみの新生児科医・今西洋介先生に、乳児を育てるママや妊婦さんがいだきがちな不安をテーマにさまざまなお悩みに回答していただきます。
ふらいと先生(今西洋介)
子どもの成長は、たとえわずかでも嬉しいもの。しかし、我が子が順調に成長しているかどうか気になる保護者の方もいるのではないでしょうか。そこで、年齢別の平均身長や成長曲線などのデータを始め、身長が伸びるメカニズム、伸びやすい時期、低身長の基準などを上高田ちば整形外科・小児科 院長の千葉直樹先生に監修していただきました。
千葉直樹(上高田ちば整形外科・小児科)
子どもの足の裏に魚の目? もしかするとそれは魚の目ではなく、ミルメシアと呼ばれる感染症かもしれません。耳なじみの薄いミルメシアとは一体どんな病気なのでしょうか。魚の目とミルメシアの見分け方、対処法や治療法と一緒にご紹介します。
小西真絢(巣鴨千石皮ふ科)
もし赤ちゃんが蚊に刺されてしまったらどう対処したらいいのでしょうか。蚊に刺されたときの注意点や気になる症状についてお伝えします。また、赤ちゃんが蚊に刺されないようにするための予防法やママたちの体験談も合わせてご紹介します。
保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)
読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄先生が、生理中の不調に対するお悩みに答えます。お悩みはオンラインで随時受付中!
宋美玄(ソンミヒョン)
授乳中、食べるものに気を付けている方は多いのではないでしょうか。母乳の質は、食事内容の影響を受けるとも言われています。今回は、授乳中の食事の母乳への影響や注意点について知識を得られる、医師監修記事をまとめました。
大人と比べてとてもデリケートな子どもの肌。保護者は、さまざまな肌トラブルの症状や予防について知る必要があるかもしれません。今回は、夏頃にかけて多い子どもの肌トラブルについて知識を得られる、医師監修記事をまとめました。
男の子を持つママにとって子どもの「おちんちん」の悩みはなかなか相談しづらいもの。しかしネットでは「ムキムキ体操」というキーワードが話題となるなど、多くの方が真剣に考え、悩んでいる問題といえるでしょう。今回は「子どもの包茎」の症状と、治療法について解説します。
山高篤行(順天堂大学医学部付属順天堂医院 )