子どもの急な発熱で救急を受診する目安とポイント

子どもの急な発熱で救急を受診する目安とポイント

病院を受診するべきか、救急にかかるべきか、正しい選択が迫られる子どもの急な発熱やケガなどの症状。コロナ禍の今、どのような対応が適切か悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。今回は、子どもの発熱やそれ以外の容態の変化などの際の救急を受診する目安と注意点、また保護者がとるべき対応について解説します。

保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)

子どもの発熱から考えられる病気

未就学児に多い、急な発熱。目の前の苦しそうな子どもを見ると、重大な病気にかかっているのではないかと不安になってしまうものです。

毎年12月から2月頃にかけてはインフルエンザが流行し始める時期ですが、今年は同時にコロナウイルスの流行もあり、病院を受診した際に感染するのではないかと不安を感じ、受診を躊躇する方も多いのではないでしょうか。

発熱をともなう病気

そもそも子どもの発熱を伴う病気は、インフルエンザやコロナウイルス以外にも非常に多くあります。

たとえば、

・上気道炎
・気管支炎
・肺炎
・プール熱
・扁桃炎
・中耳炎
・副鼻腔炎
・おたふくかぜ
・はしか
・風疹
・水ぼうそう
・溶連菌感染症
・ 髄膜炎
・ 尿路感染
・ 胃腸炎
・ 関節炎

などの感染症での発熱がほとんどです。

ウイルス感染による上気道炎(風邪症候群)のように水分や栄養をとり安静にしておけば自然治癒するものもあれば、抗生物質など適切な薬の投与が必要なものもありますが、発熱症状だけでは保護者には判断がつきません。だからこそ、子どもが発熱したら、病院を受診するしかないと考えがちです。

しかし、まず覚えておく必要があるのは「子どもの発熱は多くの場合で急を要するものではない」ということ。
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発熱と免疫の関係

生後間もない赤ちゃんの頃は、胎内にいる間に母親からもらった免疫でからだを守っているため発熱はほぼありませんが、生後6か月頃を過ぎるとその免疫が減るため、発熱をすることが多くなります。

発熱の原因の大半は、ウイルスや細菌などの病原菌が体内に侵入することによるものですが、これは、からだが病原菌とたたかっている証拠であり、発熱はからだを守るために必要な仕組み。

小児科で解熱剤を処方される際は基本的に「38.5度を超えた場合に使用」と説明されますが、発熱自体はウイルスや細菌をからだの外に追い出すための働きなので、「ぐったりしていたり機嫌が悪くなければ使用しなくてもよい」と指示されます。

保育園に入園して間もない0~2歳頃は突発的な発熱が続き、悩む保護者の方も多いものですが、成長にともない免疫力がつけば、その頻度は少なくなります。

「発熱するたびにからだの免疫は強くなっている」と捉えると、少し心が軽くなるのではないでしょうか。

急病時の子どもの全身状態の見方と受診の目安

急病時の子どもの全身状態の見方と受診の目安

子どもの急な発熱やケガなどの場合、受診の目安は熱以外の症状があるかどうかです。

日本小児救急医学会は、受診の判断の目安として保護者向けの問診票を作成し、顔つきや会話の反応など、全身状態を見るための12項目を挙げています。
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緊急時の子どもの見方と受診の目安のための問診票
それぞれの項目ごとに4~5段階で評価し(数字が上がるほど緊急度も上昇)、各項目に5がひとつでもあれば救急車を呼ぶ、3がひとつでもあれば受診、3以上が1つでも増えれば緊急受診、2つ増えれば救急車を呼ぶ、など細かく定義されています。

乳幼児は自分の体調や症状を言葉で伝えることができませんが、その時々の体調は全身の状態や顔つき、意識レベルなどに反映されます。

子どもの様子をしっかりみた上で、受診、もしくは救急にかかるべきかどうか、さらに救急車を呼ぶ段階なのかどうかを判断することが重要です。

経過観察の重要性

保護者はひとつの症状だけにとらわれず、子どもの全身の状態をみることが重要です。

ただし、子どもの病気は急激に悪くなったり、逆に病院に向かう間に改善したりすることもあります。いったんは急を要すると判断されなかった場合も、4~5時間後、8~10時間後と時間ごとの変化を必ず確認し、病院を受診するか否かの判断材料としてください。

また、けいれんや無呼吸、反応がないなどの場合はすぐに受診が必要です。

子どもの経過を観察する際、このような明確な目安を活用することで、保護者は安心して冷静に子どもを見守ることができるでしょう。

出典:急病時の子どもの見方と受診の目安/日本小児救急医学会

生後3か月未満の赤ちゃんの発熱はすぐに受診を

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生後3か月頃の赤ちゃんは平熱でも37度前後あるのが一般的であり、この月齢の赤ちゃんの発熱とは38度程度かそれ以上のことを指します。

この時期の赤ちゃんは母親からもらった免疫が残っており、本来、発熱自体少ないことが特徴。そのため、多くの場合、発熱のみでは受診の必要はないと前述しましたが、3か月未満の赤ちゃんが38度以上の発熱をした場合は例外です。

風邪を引いて熱を出すこともありますが、尿路感染や髄膜炎、菌血症などの重い感染症にかかった場合には、熱以外の風邪症状がなく、哺乳不良や不機嫌だけの時もあります。生後の週数が少ないほど、重い感染症の割合は高く、重い細菌感染症であれば病気の進行も早いため、生命に関わることも。

一刻も早い治療を受けるためにも、生後3か月未満での発熱の場合は、必ず小児科を受診しましょう。

また、この時期の赤ちゃんは自身で体温調節ができず、着ている服や室温、気温などの環境条件によって体温が変わりやすく、厚着や布団のかけすぎで熱がこもることはよくあるため、これらを確認し、あらためて熱があるかどうかの判断しましょう。

受診前に相談窓口の活用を

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このように、子どもの急変時には、まずは落ち着いて子どもの全身状態を確認し、時間の経過でどのように状態が変化していくかみていく必要があります。

しかし、頭では理解していても、いざという時はなかなか冷静にはなれない場合も。そんなときは緊急診療を受けるべきか、小児科医や看護師から子どもの症状に応じた適切な対処の仕方や、受診する病院などのアドバイスを受けられる相談窓口を活用しましょう。

こども医療でんわ相談#8000

「こども医療でんわ相談#8000」は、全国同一の短縮番号#8000をプッシュすることにより、居住している都道府県の相談窓口に自動転送され、子どもの症状に応じて相談できるものです。

基本的に一般診療の終わる18時頃から翌朝の8時頃まで対応してくれる場合が多いため、かかりつけ医の診療時間が過ぎてしまっている場合など、まずはこちらに連絡を。

各都道府県の実施時間帯なども厚生労働省のページより確認することができるので、事前に確認しておくと安心ですね。

出典:子ども医療電話相談事業(♯8000)について/厚生労働省

コロナウイルス感染の疑いがある場合

発熱から考えられる病気として、2020年現在はコロナウイルスを心配する場合もあるでしょう。
以下の項目に当てはまる場合はすぐにかかりつけの医療機関、または保健所に相談する必要があります。

・息苦しさや強い倦怠感がある
・38℃以上の高熱が出ている
・重症化しやすい呼吸器疾患や糖尿病などの基礎疾患があり、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある
・上記以外で、咳、37.5℃以上の発熱といった軽い風邪症状が4日以上続いている
小児は感染率の低さ、症状が軽症であることなどが指摘されていますが、その後の家族間での感染リスクなどを考えた場合、やはり相談する必要があるでしょう。

通常の発熱とコロナウイルスとの判別は出来かねますが、たとえば二週間以内に身近に陽性者が出た、厚生労働省が提供する新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAから接触通知があったなどの場合は、いきなり小児科を受診するのではなく、まずは電話で相談してから指示を仰いでください。

子どもの発熱時には、保護者が落ち着いて判断、行動することが適切な処置をすばやく受けられることにつながります。

そのための準備として、異変があったとき、子どものどこを見るとよいかや救急受診の目安となる項目、また相談窓口などがあることなど、正しい知識を身につけておくことが大切です。


監修:保科しほ

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保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)

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日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。

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2020年12月28日

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