赤ちゃんの下痢便が白っぽいなどいつもと違うときの原因と考えられる病気について解説します。赤ちゃんが下痢をしていても元気なとき受診の目安と病院に行くときの注意点、ホームケアもご紹介します。
赤ちゃんは、消化機能がまだ十分に発達していないため、うんちが軟らかかったり、下痢っぽくなりやすい傾向があります。赤ちゃんは下痢をしていても元気があったり、健康状態に問題なかったりするものですが、うんちの色やにおいによっては感染症や、なにかほかの病気にかかっている症状の可能性があるため注意が必要です。
なかでも今回は白っぽい下痢について見ていきましょう。
赤ちゃんの便が白色のときにはどのような原因が考えられるでしょうか。
胆汁の通り道の胆管が、つまって閉じてしまう病気です。胆汁が消化管に出ないため便が白くなります。生後2週間から1ヶ月ごろの赤ちゃんに見られることが多く、手術が必要になることもあります。
胆道閉鎖症の赤ちゃんのなかには生まれつき胆道がないケースもあるようです。赤ちゃんの皮膚や目に黄疸が見られ、灰白色やうすい黄色、クリーム色のうんちが出たと気きには要注意です。ほかにも濃い黄色のおしっこが見られて、お腹が硬く膨らむような症状がみられたらすぐに受診しましょう。
赤ちゃんの白い便について専門家も以下のように言っています。
白っぽいうんちは、ノロウイルスやロタウイルスに感染している可能性もあるので早めに受診する方がよいでしょう。
乳幼児や子どもがかかりやすいノロウイルス感染症やロタウイルス感染症では、発熱や激しい嘔吐や下痢を伴い、白い便を出すことがあります。必ずこのような便になるということではありませんが、とくにロタウィルスは‘乳児白色下痢症’と呼ばれていたように、大量の白色水様性の下痢で、酸っぱいニオイが特徴です。
白っぽくてもブツブツとしたカッテージチーズのような白いカスが含まれる赤ちゃんのうんちの場合、白い塊は母乳やミルクに含まれる脂肪分が原因であることがほとんどです。赤ちゃんが母乳やミルクを飲んでいる時期に見られることがありますが、心配いりません。
それでもママやパパが不安に思うときは通常の診療時間内に受診をするのがよいでしょう。赤ちゃんのうんちや下痢で受診するときの目安やポイントをまとめました。
赤ちゃんが下痢をしても元気なときは、家で様子をみてもよいのか、すぐに病院を受診した方がよいのか迷うこともあるでしょう。下痢をしている赤ちゃんがどのような症状のときに病院を受診したらよいのか、目安をご紹介します。
・水様便が1日5回以上出る
・発熱や嘔吐を伴うが意識がはっきりしている
・下痢や嘔吐をしているが、水分はとれている
・赤ちゃんや子どもの機嫌が悪く、食欲がない
以上のような症状のときには、通常の診療時間内で受診をしましょう。
・水分が摂れない
・おしっこが半日くらい出ない
・口や唇の中が乾燥している
・下痢と嘔吐が激しく脱水症気味になっている
特に0~3カ月の月齢の低い赤ちゃんは下痢になりやすいものですが、白色のうんちがつづくときは前に述べたような病気にかかっている可能性があるため、発熱や嘔吐を伴っていたり、気になる症状があるときには早めに受診するようにしましょう。
受診すべきかどうかの判断が難しいときには、小児救急電話相談「♯8000」に電話をして意見を聞いてもよいでしょう。
赤ちゃんの下痢で病院を受診するときの持ち物や、注意点をご紹介します。
赤ちゃんの下痢で受診するときには、新しいおむつや着替え、ビニール袋、診察中に便をしてしまう可能性があるのでママやパパの簡単な着替えがあってもよいかもしれません。
ほかに、うんちのついたオムツやうんちの実物を少量持って行くと診断がスムーズに行くでしょう。持参するのが難しいときは、携帯でうんちの写真を撮って病院でみてもらうとよいです。
・赤ちゃんの機嫌
・赤ちゃんの食欲
・下痢の回数や量
・うんちの色がいつごろから普段と違うか
・発熱や嘔吐など下痢以外の症状はあるか
・食べたもの
赤ちゃんの様子や便の状態を把握して、医師に詳しく伝えられると、赤ちゃんの下痢の原因がつきとめやすく、受診するときに役立つでしょう。
赤ちゃんが下痢のときのホームケアについてご紹介します。
下痢のときは、脱水症の危険性があるので、こまめな水分補給が大切です。しかし冷たい飲み物を1度にたくさんとると赤ちゃんの胃腸に負担がかかることがあります。
常温の白湯やイオン飲料、温かい飲み物を少しずつ与えるようにしましょう。
赤ちゃんの様子を見ていて食欲があるようならば、消化のよい食べ物を少しずつ与えるとよいでしょう。おかゆやうどん、野菜スープなどがおすすめです。
しかし下痢のときには、乳製品に含まれる乳糖を上手く分解できないため、牛乳やヨーグルトなどの乳製品は控えたほうがよいかもしれません。キノコや海藻類などの食物繊維の多い野菜も下痢のときには避けた方が無難です。
ほかにも脂肪の多いバターや油は下痢のときには控えましょう。
下痢便は、お尻への刺激が強く、下痢の回数が多いと、オムツかぶれを起こすこともあります。赤ちゃんの下痢が続くときは、シャワーでお尻を流したり、濡れタオルでお尻を拭いて清潔にすることが大切です。
お尻を乾燥させないように、ワセリンや保湿剤でケアをするのもよいでしょう。赤ちゃんの下痢が治まり、元気になったあともスキンケアを続けられるとよいですね。
赤ちゃんのうんちが白っぽい色だったり、いつもと違うと心配になりますよね。白っぽいうんちでも赤ちゃんに元気があるときには母乳やミルクが原因で心配のないこともあります。しかし、白色のうんちは、胆道閉鎖症や、ロタ、ノロなどの感染性胃腸炎などの感染症の可能性があるため、症状がつづくときは受診するようにしましょう。
赤ちゃんの下痢で病院に行くときには、子どもの様子や下痢の状態を把握して、しっかり伝えられるようにしましょう。また下痢をしているときは、赤ちゃんが脱水症状やおむつかぶれを起こしやすいので、水分補給や、保湿などのケアが大切です。赤ちゃんの白いうんちの原因や正しいホームケアについての知識をつけて、赤ちゃんの異常に早めに気づけるとよいですね。
金髙太一(おひさまクリニック)
おひさまクリニック院長。小児科専門医、地域総合小児医療認定医。小児の感染症、アレルギー、免疫・膠原病を中心に東京、横浜の病院で研修・診療の経験を積み、2015年に東京の十条にておひさまクリニック(小児科、耳鼻咽喉科)を開院。
子どもたちが健やかに成長していくためのサポートをしたいと思っております。また、3児の父でもあるので、子どもに関することでしたら、お気軽にご相談ください。
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2018年11月19日
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