子どもは大人に比べて水虫になりにくいのですが、たまにかかることがあります。身近な大人から子どもに水虫は感染するのか、水虫のときの保育園や幼稚園でのプールは可能なのかを解説します。水虫の原因や症状、感染に注意が必要な場面や一見似ている皮膚病、予防法、治し方、完治はするのか、などについてもご紹介します。
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水虫は何が原因で、どのような症状がみられるのでしょうか。
水虫は、白癬菌(はくせんきん)という菌による感染症です。広い意味ではカンジダ菌も原因となります。子どもや赤ちゃんは汗をかきやすく、むれやすいという特徴があります。密閉された靴の中では、高温多湿を好む白癬菌やカンジダ菌が繁殖する可能性があります。
水虫の主な症状は次の通りです。子どもでも大人と同じような症状を訴えます。
・足の指の間の皮がむける
・足指の間が白くふやけ、ジュクジュクする
・足の裏や側面に小さな水疱ができる
・かゆみ
水虫は、かゆいことが多いため、子どもの場合はかいてしまい、傷になります。皮がむけたところは、ジュクジュクする場合もあれば、カサカサする場合もあります。
異汗性湿疹(汗疱)・・・手のひらや足の裏などに多数の小さな水疱ができて、かゆみを伴う。
この病気は、水虫と症状が似ていて見間違えるママやパパもいるようです。しかし皮膚科の専門医によって検査をすると、水虫の菌が検出されず、水虫でないことが分かります。病気によって、処方薬や治療法が異なってくるので、皮膚科を受診することが大切です。
水虫の検査方法や、水虫になったときの治し方をご紹介します。
水虫の検査は、患部の皮膚などを採取して顕微鏡で菌の有無を確認して判断します。子どもでも痛がらない程度のほんの少しの皮膚で検査ができるので安心してくださいね。
検査の前に1度でも水虫用の市販薬を使うと、一時的に菌を確認できなくなり、正しい検査結果が出ず、原因がわからないことなどがあるようです。子どもがかゆがるとなんとかしてあげたいと思ってしまうものですが、ママやパパが自己判断で市販薬を使うのは控えて、疑わしい症状がみられたら皮膚科に行くようにしましょう。
子どもの水虫では、塗り薬のみの処方となることが多いでしょう。薬を2~3ヶ月使用すると完治することがほとんどのようです。
水虫の菌が、爪まで入り込んで炎症を起こしているときには、爪水虫専用の塗り薬で治療します。
水虫は、高温多湿な環境を好んで繁殖します。
プールや銭湯、レジャー施設など、たくさんの人が利用する水を使った施設では、共用の足ふきマットから水虫がうつる可能性があります。一方、海の砂浜は温度が高く、菌が住める環境ではないため、感染の可能性は低いようです。
水虫の菌が付着した床を、裸足で歩くと菌が足につく可能性があります。空手や柔道など乾いた床でも裸足で行う習い事で水虫が感染した事例があります。
靴を履いて長時間、汗まみれで走り回る、サッカーや野球などのスポーツも靴の中が蒸れやすいため水虫が感染しやすいです。
白癬菌は、人間だけでなく犬や猫などペットの体にもついて入り込みます。年をとったペットや、栄養失調などで病気を持っているペットに菌が付着し、そこから子どもの顔や体に真菌が感染する場合があります。
水虫に感染する可能性があるようなレジャーや場所にいった後には、下記のようなことを参考に予防対策をしましょう。
水虫菌は、皮膚の内部に入り込むまで半日から1日程度かかります。プールや銭湯、レジャー施設など水虫にかかる可能性の高い場所からの帰宅後は、なるべく早めに足を洗うなど菌の放置をしないことが大切です。洗った後もよく拭いて必ず乾かしましょう。
靴の中が蒸れると水虫になりやすいため、蒸れやすい夏には、なるべく通気性のよい靴を選ぶようにしましょう。しかし夏の履物でも、ビーチサンダルやラバー素材のサンダルは、底の通気性が悪く、海やプールに行ったときにだけ履き替えるなどするとよいかもしれません。
濡れた靴を長時間履くのは絶対にやめましょう。
子どものなかには長靴が大好き、という子もいるでしょう。しかし長靴も通気性が悪く蒸れやすい履物です。暑い晴天の日などに履きたがることが減るよう、ほかにお気に入りの靴を見つけておけるとよいですね。
裸足だと、菌が直接足に付着したり、靴のなかが蒸れやすくなったりして、水虫菌の働きが活発になる可能性があります。夏用の通気性のよい靴下を履くことが予防につながります。
家族に水虫の感染者がいると、感染する可能性は高くなります。身近に水虫の感染者がいるときには、足ふきマットを1人ずつ分けるなどの配慮が必要です。
水虫のときにプールに入ると、一緒に入るお友だちにうつすのではないかと心配するママもいるでしょう。水虫のときに保育園や幼稚園のプールに入るのはよいのでしょうか。
足洗い漕やプールの水だけで水虫が感染することはありません。水虫菌が付着した、足ふきマットなどを多くの子どもが共有することで感染が広がる可能性があります。水虫の症状が著しく出ているときにはプールは控えた方がよいでしょう。皮膚が乾燥し症状が落ち着いてきたら、医師や園の先生と相談し、許可が出てからプールに入るとよいかもしれません。
ほかにも水虫菌は頭皮にも感染することがあるので、プールに入った日は髪の毛をきれいに洗うことが大切です。
水虫にかかっていない子どもでも、日中共通の足ふきマットを使った日などは、帰宅後になるべく早く、石鹸を使ってしっかり足を洗いましょう。
子どもの手足に発疹ができたり、皮膚がむけたり、かゆいなどの症状がみられると水虫かもしれないと心配になるママもいるでしょう。しかし水虫に似た皮膚の病気は複数あるので自己判断で市販薬を使う前に皮膚科を受診しましょう。
暑くなると、プールやレジャー施設など、水を使った施設に遊びに行く機会もありますよね。水虫の原因や症状、感染経路などの知識を付けて、予防対策をすることが大事です。
水虫のときの幼稚園や保育園のプールは、症状によって対応が異なりますが、医師の診断と通っている園の方針に従うことが大切です。水虫は、感染しても病院で処方された薬でしっかり治療すれば完治できる病気です。正しい治し方でしっかり完治させましょう。
桐谷麻美子(まみこ皮ふ科クリニック)
まみこ皮ふ科クリニック院長。平成5年宮崎医科大(現宮崎大学医学部)卒。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
患者様の皮膚の悩みが改善できるよう、向き合いながら、その方にあった最善の治療を行っている。地元で安心できる、かかりつけ皮膚科医を目指し、あたたかい診察を行なっている。
※記事内で使用している参照内容は、2018年7月17日時点で作成した記事になります。
2018年07月19日
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