【皮膚科医監修】梅雨~夏に起きやすい虫トラブル対処法。子どもの虫刺されはぶり返す!?

【皮膚科医監修】梅雨~夏に起きやすい虫トラブル対処法。子どもの虫刺されはぶり返す!?

春から夏にかけては虫たちの活動が盛んになるシーズン。「たかが虫刺され」と軽く見ていると、通院が必要なほどのトラブルになってしまうことも。そこで、この時期に急増する子どもの虫トラブルについて、皮膚科医の馬場先生に聞いてみました。

大人に比べて子どもの症状の出方はひどい!?

同じように蚊に刺されてもママやパパはたいして腫れないのに、子どもだけ赤くぶわーっと大きく腫れたり、ひどくかゆがったりした経験がありませんか。

それは、大人に比べて子どもは、虫に刺された経験が少ないため、アレルギー反応が過剰となり、症状が派手にでやすいのです。

年齢を重ねるごとに同じように蚊に刺されても、症状の出方が落ち着いてきます。

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「蚊に刺されても最近かゆくないのは歳を取ったからなんです」と、馬場先生

どんな虫に気をつけたらいい?

虫とひと口にいってもいろいろな種類がありますよね。ここでは気を付けておきたい虫について症状などを紹介します。


蚊はデング熱が心配!?

ご存知の通り、刺されると赤くなって腫れ、かゆみを伴います。腫れ方や大きさ、かゆみの強さは人によってさまざま。

刺されると痕が残る場合がありますが、それもだいたい1年ぐらいで消えます。

最近、ママやパパの間で関心が高いのが、蚊がウイルスを媒介する「デング熱」。感染すると、高熱が3~4日続きますが、今のところ重篤な症状には至らないようです。


ハチはアナフィラキシーショックに注意!

刺されると強い痛みとともに赤く腫れるのが特徴です。初めて刺されたときはだいたい1日で症状がおさまります。

何度も刺されると、血圧低下や意識がなくなるなど怖い症状があらわれるアナフィラキシーショックになるケースもあるので要注意です。


家に潜むダニは蚊よりもかゆい!

梅雨時期~秋口にかけて増え、高温多湿で密閉された空間を好むため、マンションなどに比較的多いと言われています。

噛まれた後、1~2日後に赤いポツポツが出て、強いかゆみがあらわれます。蚊に刺された時と似たような症状ですが、かゆみが長引くのが特徴。

ふともも内側や腕の内側など、皮膚のやわらかい部位に症状が出やすいのもポイントです。


マダニは警戒したい虫の1種

マダニは、野山などで多くみられるのが特徴。噛まれると、マダニは皮膚に食いついたままゆっくり吸血し続け、次第に虫そのものが大きく膨らんできます。

通常の大きさは3mm程度ですが、吸血後は1cm以上に巨大化。

また、一度吸血するとなかなか離れません。無理に手取ろうとするとマダニの口顎などが肌内部に残ってしまうこともあるので、病院で取ってもらいましょう。

なによりもやっかいなのが、発熱や倦怠感を伴うライム病などのウイルスを媒介する点です。

嘔吐、下痢、発熱などを症状が現れる「重症熱性血小板減少症候群」は致死する危険性もあるので、要注意。

【屋外】子どものための虫トラブル対策

虫刺されによるトラブルから子どもの肌を守るにはどうしたらいいでしょうか。ここでは蚊やハチなど、屋外での虫対策をお教えします。


肌を露出しない

できるだけ肌の露出する面積を減らすために、薄手の長袖、帽子、丈の長いズボンなどを活用しましょう。


防虫ネットやブランケットで対策

まだベビーカーや抱っこひもなどを使っているなら、防虫ネットでベビーカーや抱っこひもごと覆ってしまうという方法も。

最近は、防虫成分を生地に練りこんだブランケットなどもあるようです。


虫よけ剤などを活用

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©   Studio KIVI – Fotolia

生後6カ月を過ぎたら、肌に塗布する虫よけスプレーなどで対策するのもいいでしょう。

できれば、直接子どもの肌にシュッと吹きかけるのではなく、一度、ママやパパの手に吹きかけたものを、子どもの肌に塗るようにしてあげてください。


シールタイプやブレスレットタイプの虫よけも

「肌に直接するのはちょっと抵抗がある……」という場合は、衣服や靴の上に貼るシールタイプのものを活用するのがいいでしょう。

また、女の子でおしゃれに興味がある子には、ブレスレットのように腕につけるタイプの虫よけも。率先して着用してくれそうです。

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虫の多い場所へ行くなら複数対策を

山や川など、特に虫の多い場所へ行く場合は、「長袖・長ズボン+虫よけ剤」など、複数の対策をしておいた方がいいでしょう。

また、子どもだけでなく、ママやパパの虫よけ対策も忘れずにしてくださいね。

【屋内】子どものための虫トラブル対策

家の中の虫トラブルで多いのが、ダニです。その対策法を馬場先生に聞いてみました。


こまめに掃除、換気を

ダニは高温多湿な場所が大好き。部屋の中をそういった環境にしないよう、こまめに掃除をし、部屋の換気を心がけましょう。


布団は干した後、掃除機かけて

布団はダニの絶好のすみかです。できるだけこまめに布団を干しましょう。干した後、布団に掃除機をかけると、よりダニを減らすのにいいでしょう。

また、ぬいぐるみなど布系のおもちゃもできるだけこまめに洗うように心がけてください。


防虫シートを敷く

部屋の気になるところに敷くだけです。ダニを誘引して捕獲するシートなどを使って対策するのもいいでしょう。

虫刺されの対処法と病院へ行く目安

虫に刺された時の対処法や、病院へ行く目安はどこで判断したらいいのでしょうか。


かゆみをおさえる

刺されたことがわかったら、市販の薬などを使って、なるべく早めにかゆみを抑えてあげましょう。

かきこわすことがなければ、トラブルが悪化する可能性が低くなります。

また、暑いとかゆみが増す傾向にあるので、氷や保冷剤などで冷やす方法もいいでしょう。


腫れがひどい、じくじくしているときは病院へ

腫れがなかなかひかない、かゆみが強い、かきこわしてしまい、じくじくしている場合は、病院を受診してください。


虫が肌から離れないときも病院へ

冒頭でもふれたように、マダニなどは無理に取ろうとすると、虫の一部が残ってしまい、トラブルを拡大する危険性も。病院を受診して適切な処置を受けるようにしましょう。


念のため家族とタオルはわけて

かきこわしてじくじくしている場合など、とびひになってしまっている可能性があります。家族間でうつるのを防ぐために、腫れがひどい、患部がじくじくしている場合は、タオルを他の家族と別々にしましょう。

屋外、屋内それぞれの虫対策を

梅雨から秋口にかけては、屋外ではもちろん、ダニなど家の中にいる虫も活発に動く時期にあたります。

屋外、屋内ともに、子どもの肌に虫を寄せつけない対策をしましょう。

また、刺されたと思ったらまず、かゆみを抑えることがポイント。かきこわすことでトラブルを広げる心配が少なくなり、子どもがかゆみによって不機嫌になるのを防いでくれます。

子どもの健やかな肌を守るために、梅雨に入る前からしっかりと虫対策をあげてくださいね。

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監修:馬場直子(神奈川県立こども医療センター皮膚科医)

滋賀医科大学医学部卒業 横浜市立大学皮膚科講師を経て、1994年より神奈川県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。 横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼任 、 日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会 、日本臨床皮膚科学会会員。NHK「すくすく子育て」などにも出演。3人の子どもを育てた先輩ママでもある。

2017.06.12

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